水泳を始めようとプールでクロールにトライ! 子供の頃、泳ぎ方を習ったクロールなのに今は25mも泳げない!
こうお嘆きの初心者さんもたくさんいらっしゃると思います。
水泳は運動不足解消にはご承知の通り、絶好の運動ですから水泳が楽しくなれたら素晴らしいですよね・・・
そのためにもまず、クロールはいや水泳が楽しくなければなりません。
では特に初心者さんにはどんな泳ぎ方をすればいいのでしょう?この記事できっとヒントがつかめることでしょう。
さあ、少しでもクロールが楽しくなってプールに通って水泳する楽しみの一つにして欲しいと思います。
1. 初心者向けクロールの泳ぎ方【基 本】
私がプールでよく見かける「はじめてのクロール」という初心者向けの水泳レッスンがあります。
女性やシニア世代の初心者の人たちのメンバーがビート板をもってバタ足練習や息継ぎなどクロールの泳ぎ方を習っています。
でも初心者さんたちは一様に暗い顔をしていらっしゃいます。
それはなかなか進まない、上手く呼吸ができない。
どうすれば上手に泳げるのかと首をかしげながら懸命にインストラクターの指示を忠実に、先生の泳ぎ方をイメージをしながら頑張っていらっしゃる姿を見ると本当にほほえましく思います。
そして同時になんとかそんな初心者さんたちのために何か伝えてあげられるものがないかと常々感じています。
そこで感じるのは、初心者さんたちの立場に立てば思うようにならない。いくら練習しても上手にできない歯がゆさからますます苛立ち顔から笑顔が消えてしまっています。
初心者ご自身がクロールについての捉え方を変えるべきだと思えてなりません。
指導者サイドもどうすれば初心者を楽しくさせてあげられるか!
そんな視点にたてば例えばクロールの泳ぎ方というのは少し捉え方が異なってくるような気がします。
初心者さんにとって楽しい水泳とは、また楽しいクロールとは、楽しい泳ぎ方とは・・・
こんな視点でこれからお話しを進めていきたいと思います。
まず以下の動画をご覧になってクロールのイメージをつかんで欲しいと思います。
1-1. 初心者のための呼吸(息継ぎ)
背泳ぎや平泳ぎは泳ぎ方次第で呼吸は自己意思ですからある意味不安はは少ないですが、クロールはまるで自由ではなく常に顔が水中にあるため不安が伴います。
このような不安は緊張となり身体は硬直し、呼吸も止まってしまいます。
初心者さんはまずこれを克服する必要があります。
ではどうすればいいのかです。
私たち人間は日々の暮らしの中で呼吸は全く意識していません。意識するとすれば緊張する場面で自分を落ち着かせるために深呼吸をします。
すなわち日常生活で呼吸は全くの無意識呼吸です。でも意識呼吸の方法を知っています。
その意識呼吸とはまず細く長く息を吐き続け、最後に全ての息を吐き切り、息を吸ってまた細く長く息を吐きます。これはまるで座禅や瞑想状態にする場合の呼吸方法です。
水泳は特にクロールはこうした呼吸方法なのです。
ぜひ初心者さんにはこの瞑想呼吸を日常生活にも取り入れられることをお勧めします。
出来るだけ細く長く息を吐き続け最後に全てを吐き切り息を吸ってまた同様に吐き続ける。誰にでも出来る意識呼吸です。
こうした初心者ご自身の呼吸リズムでクロールをすればどうなるか、
水中で息を吐き続け、最後に吐き切る。そして顔を横にあげて呼吸する。そしてまた顔をつけるのです。(クロールの息継ぎ)
そしてそのご自身の呼吸にクロールのストロークを合わせる。もしそれが難しいのであればストロークに吐くリズムを併せていく!
これができるように練習すれば初心者にも楽にクロールができるはずです。是非呼吸方法(息継ぎ)を試してみてください。
1-2. 初心者のための推進力
課題は推進力を生み出すために初心者さんがやっている手足の動きは推進力を出そうと右手で水をかき始めたとします。
その時の体勢はどうなっているでしょうか、まず進行方向に対して大きな抵抗(ブレーキ)になっていることが想定されます。
まず、頭が浮き出て、下半身が沈んでいるのではありませんか、さらに水をかかない左手さえもブレーキとなっているのが考えられます。
水泳とは推進力とは抵抗を最小限にすることなのです。手のかき(泳ぎ方)ではなく、抵抗を受けないまっすぐな体勢を覚えることが大切です。
・お腹は沈めずに腹筋などの体幹部の筋肉を使って水面近くを維持する。さらにキックを使ってさらに推進力と浮力を支援する。
これが水泳の特にクロールの泳ぎ方であって初心者さんのハードルはすべてこれ即ち水中姿勢が泳ぎ方の根幹となるのです。
どうぞこの呼吸と姿勢を日々の暮らしのなかで意識するのが水泳が楽しく面白くなる秘訣ですから頭の中の片隅に止め置いてください。
2. 楽しく上手になるコツ【①バタ足キック】
では初心者のために楽しく上手になる具体的な泳ぎ方のコツについて実際のクロール練習に入りましょう。
でも水泳スクールで「子供たちにどんな練習がきらい?」と質問するとほどんが「バタ足」と答えるほど嫌いなバタ足(キック)です。
子供たちにその理由を聞くと、「つまらない」がほとんどです。
そしてギャラリーから眺める親御さんからも「あの先生はバタ足ばかりさせている」とクレームがくるのもバタ足です。
もしバタ足が楽しかったらクロールに対する感覚は一変すると思うのです。
2-1. 初心者のバタ足キック
ではバタ足の泳ぎ方です。
引用動画:Wikipedia
上の動画を見て欲しいのですがクロールの左手だけでの泳ぎ方のアニメーション動画ですがこの足の動きのイメージを頭に焼き付けましょう。
少しローリングしながら足はダウンキックとアップキックがとてもリズミカルで鞭のようにしなって動いています。
腰から膝、足首そして足の爪の先までがピーンと伸びた一本の棒でなく、鞭がしなるように右左同じリズムで動いていると思います。
そしてローリングする体幹とキックがしっかりバランス良く動いています。
さらに頭から骨盤までの軸がしっかりと足の親指まで一直線で全くこの軸が揺るぎません。
さあ、初心者の皆さんは、バタ足練習をビート板を使ってやってみましょう。
2-1-1. ビート板練習でまずはトライ
まず初心者はビート板に身体を預けるような気持ちでバタ足をやってみましょう。顔は水面から上げたままでいいです。
ともかくバタ足で25mを目指してやってみましょう。頑張るのではなく、出来るだけ楽にです。
小刻みなバタ足キックがよいのか、大きなキックがよいのかいろいろ試してみてください。
そして足をつかず25mバタ足ができるようになりましょう。
2-1-2. 顔を水中につけたバタ足キック
最後の一息を吐き切ったら顔を水面からパーっと声を出して息を一瞬で吸います。
息を吸い込むという意識は不要です。
水の中で息を吐き切ってからパーっと声を出して顔を上げると吸い込む意識なくても自然に空気が肺に入っていきます。
この呼吸の感覚は息を吸う感覚というよりも息を吐き切るという感覚です。
この顔をつけたバタ足でまた25mを目指しましょう。
2-1-3. 片手バタ足キック
手のひらを上手に動かせてバランスを取るのもいいでしょう。でも身体から離しません。
両手をビート板に乗せて顔を水中につけている時と同様にバタ足キックをします。息をするときは顔を横にあげて息を吸います。
目線は息をゆっくり吐き切るまではプールの底が見えます。顔をあげて息を吸うときは真横にあげてコースロープが見えるはずです。
すこし身体のローリングさせて身体を横に向けると気道がまっすぐでやりやすいと思います。
2-1-4. ビート板なしバタ足キック
次の泳ぎ方はビート板を使わずにキックをやってみます。
初心者には少し難しいかも知れませんが、
毎日少しずつ距離が伸びていくはずですから、毎日のバタ足距離を記憶しておきましょう。
そして、このバタ足距離を25mから50mへと目標を随時高めていきましょう。
2-1-5. 距離を稼ぐコツ
楽に距離を稼ぐには壁を蹴ってスタート時に蹴伸びをして距離を稼ぐことです。
25m以上泳げるようになったらターンをします。そのターン時にもしっかりと壁を蹴って抵抗を受けないように上手に蹴伸びをします。
この蹴伸びについては
次の記事を読まれるとよく理解できますのでご一読して欲しいです。
2-2. 距離を伸ばす
さあ、初心者がビート板練習から初めてビート板を使わないバタ足キック練習に続いて次の課題は距離を伸ばす泳ぎ方です。
すこしスタート・ターンでの蹴伸びのお話をしましたが、クロールに限らず水泳で距離を伸ばすコツは疲れない泳ぎ方、苦しくない呼吸の泳ぎ方です。
まず陸上で呼吸コントロールする場合の一番楽なリズムと息の深さを作ります。
細く長い吐く息、そして吐き切った瞬間の吸う息、このコツはともかく吐き切ることです。
この自分で意識する呼吸のリズムにバタ足キックのリズムを合わすことが楽にキックができる泳ぎ方です。
2-3. より速く
初心者からレベルが上がり、ある程度の距離をバタ足でできるようになれば次は楽に速く泳げるように練習してください。
身体のなかで抵抗を受けているところは無いか、もっと楽にバタ足ができないだろうか
そんな視点に立って練習してください。
同じリズムで泳ぐために呼吸のリズムを活用すると言いました。
その息を吐き切るときのキックを一番強く打ちます。
これは難しいと思いますから上級者向けの泳ぎ方ですが、初心者も覚えておくと良いでしょう。
3. 【②呼吸と姿勢】
バタ足練習で楽なバタ足キックができるように慣れましたでしょうか。
でもそうそう初心者には簡単にはいかないとは思いますが、少しずつ距離を伸ばすことを心がけてバタ足のタイミングとリズムをしっかり身体に覚えましょう。
では次にストロークの泳ぎ方に進みましょう。まずは次の動画を見て下さい。
引用動画:Wikipedia
クロールを横からみたアニメーション動画です。
人間ではありませんから臨場感がありませんが、泳ぎ方の全てがこの動画で現れています。
速く泳ぐというイメージではなく楽に泳ぐイメージであること忘れないようにしましょう。
そして初心者にはその楽に泳ぐ泳ぎ方が貴方にとって一番上手な泳ぎ方です。
水泳の場合、その技量のレベルによって泳ぎ方も変化していきます。どんなレベルであろうと上手ではなく楽な泳ぎ方を練習しましょう。
3-1. プル
まずプルです。水をキャッチ、身体の近いところまで水をプル、身体の後方へ水をプッシュ!
片方のプル全体がフィニッシュするまでもう一方の腕は前の進行方向にあって邪魔をしない。
片方の腕のリカバリーが始まったらもう一方のキャッチがスタート
この片方の腕のキャッチからプッシュ、フィニッシュするまではもう片方の腕は肩甲骨を前に出すことによってより進行方向に引っ張るというイメージです。
初心者さんが楽にクロールをするためにもこの泳ぎ方をしっかり覚えておきましょう。
3-2. コンビネーション
キックとプルのコンビネーションです。クロールの泳ぎ方の全てはこの腕と足のタイミングとリズムです。
私のクロールのコンビネーションを紹介します。これは一例ですから参考にご自身の一番楽なタイミングとリズムを作り上げていって下さい。
私のコンビネーションのテーマは疲れず30分は泳ぎ続けるクロールです。
初心者が富士山登山の成功は最初の一歩のリズムです。本当にゆっくりとした一歩だと思います。それが酸欠にならず山頂を目指すことができるコツです。
動画をみてほしいのですが、このアニメーションの水泳者の左右の腕1回のストローク中におけるキックは右左2回ずつの4ビートに見えます。
私の場合は基本4ビートですが、右手のストロークで右足は1キックで反動をつけてストロークの開始。
次に左手のストロークの場合もどうように左足の1キックで左手のストロークが開始となります。
この2回のキックを強くキックダウンです。その他のキックはリズムをとる程度の軽いキックです。
したがって他の人が見ると2ビートのコンビネーションに見えると思います。
これが私の場合のクロールの泳ぎ方です。キックダウンするときに「ズボッ!」という音がします。この音を心がけています。
私にとっては最も効果的なキックです。
3-3. 呼吸(息継ぎ)と姿勢
このコンビネーションをできるだけ楽にするための泳ぎ方ですが、自分の意識する呼吸、細く長い吐く息、吐き切ってあとの短い吸う息、この楽な呼吸(息継ぎ)タイミングにクロールのコンビネーションのリズムを合わせています。
このリズムが変わるとてきめんに疲れます。
呼吸の乱れがない限り長く泳ぎ続けることができます。
息を吸うとき横を向きますが楽に呼吸ができるように気道が圧迫されないように身体がローリングします。私は右サイドで呼吸しますから右サイドのローリングは少ないです。
意識的なローリングというイメージではなく、あくまで楽な呼吸のためのローリングと理解する方が私は良いと思います。
でもこのローリングですが頭のてっぺんから骨盤の真ん中を突き抜け、両足の指先の親指が触れそうな点までの軸は決してゆがまないように一直線をイメージして泳ぐことが大切です。
水泳において、これは初心者からトップスイマーまで決して変わりません。
楽にクロールができないのはこの軸のブレによる様々な抵抗や呼吸の乱れなのです。
この呼吸(息継ぎ)に関する詳しい内容は以下の記事をご覧ください。
3-4. 呼吸からコンビネーションのリズム修正
次に少し上手に泳げるようになったら呼吸のリズムを早めることを覚えましょう。
吐く息の時間を短縮してリズムを上げます。
5を数える時間に息を吐き切っていたリズムを3くらいで吐き切るリズムでコンビネーションのリズムを速めてクロールをします。すると2倍近いスピードが得られます。
200mのクロールの時、最後の25mで呼吸リズムを速めてスピードアップしてゴールの200mを目指します。
こうした練習でコンビネーションのリズム修正でスピードコントロールをします。
上級者にあってはこの泳ぎ方を覚えるとより一層運動強度をあげることができますのでダイエットなどに効果が上がるでしょう。
4. 【③クロールを優雅に楽しく】
以上、初心者のためのクロールの基本的な泳ぎ方とそのコツについて解説してきましたが、最後のコツは優雅に楽しくです。
私の理想とするクロールの泳ぎ方の基本は疲れない泳ぎです。この疲れないクロールが覚えておけば例えば万が一の事故においてもサバイバルにも貢献できると思います。
プールで水泳を楽しみましょう。優雅にゆっくりと泳いでクラブメンバーの注目を浴びましょう。
スタート壁を蹴って蹴伸び、そしてバタ足キックで浮上、そして最初のストロークが始まります。
水をしっかりと捕まえていることを確認して、ゆっくりとプルからプッシュです。
その最初ののストロークが呼吸する側なら呼吸ができます。ゆっくりとリカバリー中に自然なローリングが行われて、楽に呼吸ができるはずです。
そしてもう片方のプルが始まっているでしょう。
このゆっくりとしたストロークにゆっくりと細い吐く息、足は無駄なキックは極力避けて、身体中の緊張を解してクロールを楽しみましょう。
さあ、このゆっくりと優雅なストロークでさて、何ストロークで25m泳げたでしょう。
次の25mは泳ぎ方をチェック、何か気になるところがあれば泳ぎ方を修正をしましょう。
最初のストローク数よりも少なければOKです。同じストロークや多いストロークであれば何か問題があります。
このストローク数のチェックと泳ぎ方の修正であなたのクロールは見違えるように上達するでしょう。
水泳の楽しさとはこういうことの繰り返しです。
言葉は悪いですが、自分が上手に泳げていると思える満足感と注目を浴びているという顕示欲が満たされればクロールに限らず水泳の楽しさが倍増してきます。
誰よりも少ないストロークで誰よりも優雅に泳いで満ち足りた満足感に浸りましょう。
5. まとめ
水泳の醍醐味!初心者でも十分に楽しめるクロールの泳ぎ方の基本と楽しく上手になれるコツについて詳しく解説してきました。
いかがでしたでしょうか!お楽しみいただけたでしょうか。
技術的な部分で少し理解しがたいところも多々あったかもしれません。一読されてまずはプールで実践!
またこの記事を読まれて反復練習されるとまた新しい気づきがあると思います。
水泳は呼吸(息継ぎ)が自由にできないだけに不安やストレスがありますが、自分の呼吸をコントロールして一番楽な呼吸タイミングでクロールを引っ張っていきましょう。それがクロールが上手になる最大のコツなのです。 そして、クロールが上手になる頃には、あなたはストレスに強い、頭脳明晰な人格さえも手に入れることができるでしょう。
近いうちに貴方は30分くらいは楽にクロールでゆっくりと優雅に泳いでいることでしょう。その泳ぐ姿をクラブのメンバーが羨ましそうに眺めていることを願ってこの記事は以上とさせていただきます。
最後まで記事を読んでくださり心から感謝しています。ありがとうございました。
以下の関連記事で、クロール以外の泳ぎ方も詳しく解説しています。
初稿:2019年1月22日
2稿:2019年9月28日
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。