【水泳長距離の練習方法と考え方】必要な筋トレと推奨メニューそして注意点

水泳の長距離といえば800m、1500m自由形と言った種目でしょう!そしてオープンウオーターやトライアスロンなども含むと思います。

この記事ではこれら長距離自由形をより速く泳ぐために必要な筋トレ、そして長距離に強くなる練習方法やそのメニューについて解説していきたいと思います。

ところで、自由形以外の種目にはこのような長い距離の競技はありません。

それは、自由形すなわちクロールが最も長距離に相応しい泳ぎ方と言えるのではないでしょうか!

事実私は専門が平泳ぎなのですが、平泳ぎで400、800m競技はとてもじゃないけれど泳げません(笑)

水泳の長距離を目指す選手の皆さんへの適切なアドバイスをお伝えできたらと思います。

いしはら
こんにちは!

けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。

1. 水泳長距離の練習方法と考え方

長距離種目(筋トレ)

長距離種目(筋トレ)

魚で例えてみましょう。回遊魚のカツオやマグロはひたすら泳ぎ続ける魚で人間でいえばマラソンランナーのようなタイプで彼らの魚肉は赤身の魚です。

でも海の底に潜んでいるヒラメやカレイなどは獲物が現れた時に瞬発力でゲットする瞬発力が特徴的なスプリンター的な白身の魚です。

カツオやマグロは有酸素運動主体で身体に酸素を沢山取り入れてひたすら泳ぎ続けているのです。
一方ヒラメやカレイなどは適切ではないかも知れませんが無酸素系の運動であるために酸素を必要としません。筋肉や血液中に含まれている糖分やグリコーゲンをエネルギーに瞬発力で獲物を捕らえているのです。

従って筋肉の性質が全く違います。

このことは水泳においても同様に考えられます。

1-1. 長距離と短距離との違い

短距離種目は瞬発力勝負であり両距離種目は持久力勝負ということになってきます。

すなわち水泳の練習方法も当然ながら両者には違いがあって然るべきなのです。

短距離種目はスプリント系の練習が必要で、長距離種目には持久系の練習となってきます。

この記事では主に長距離系に焦点を当てていますので、当然ながら持久系の練習でマラソン選手のように泳ぎ続ける能力を鍛える必要があります。

とは言っても1500m自由形競技も最近ではマラソンのような完全持久力勝負とはいえずある意味中距離種目と言って過言ではないかも知れない状況にあります。

トップスイマーであれば1500mを15分を切って泳ぐのが当然と言ったスピードが要求され、100m自由形のスプリンター15人がリレーするようなもので、練習方法も自ずと工夫が必要となっています。

しかし、水泳の800、1500m競技やオープンウォーター、トライアスロンなど長距離種目では基本的にしっかりと長い距離を泳いで持久力をつける練習が基本であることには違いありません。

では水泳の長距離種目の練習方法に入ります。

ここでは長距離種目すなわち800、1500m自由形を想定してその泳ぎ方と練習方法について述べていきたいと思います。

1-2. 長距離の泳ぎ方

まず長距離種目の基本的な泳ぎ方について確認をしておこうと思います。

例えば1500自由形と100自由形とはまるで泳ぎ方が違います。

最も異なるところはストロークの大きさ、回転数、そして1ストロークにおけるキックのリズムがまるで違います。

ポイント
短距離の場合は1ストローク中に6キック主体でしょうが、長距離では2もしくは4ビートで泳ぐことが多いと思います。

筋肉に乳酸の蓄積を抑え、疲労度の少ない省エネハイブリッド泳法が重要となります。

ストロークピッチを上げずに1回のストロークでスピードと距離を稼ぐ泳ぎ方を目指す必要があります。

無駄なローリングを避け、1キックごとにストロークに乗せて等速度の泳ぎ方でラップを刻んでいくための練習が必要となるでしょう。

1-3. 練習方法、練習メニュー

ではその練習方法ですが、出来るだけ長い距離を泳ぎたいところです。

でも1500m自由形を考えた時に、練習で2000mとか3000mとか言った練習の意味を理解する必要があると思います。

陸上競技で考えた時には1500mは長距離競技でしょうか中距離なのでしょうか!

長距離といえばマラソンや駅伝、1500mは中距離の範疇だと思います。

従って、水泳でいう長距離競技の800、1500は中距離の範疇かも知れません。

それに陸上ならトラックであれロードであれ、長い距離もある程度モチベーションが続きますが水泳の場合は25もしくは50mのプールでラップを刻まなければなりません。

このラップを刻む精神的苦痛は計り知れません。

これは練習においても同様の精神的ストレスが排除できません。

従って練習においては工夫が必要となります。

1-3-1. 練習の考え方

エントリー種目が1500自由形だとすれば1500を3本練習してより速いタイムを目指すと言った練習がいいのか、

短く刻んで本数を多く練習した方が良いのかです。

日本のトップスイマーは今1500を15分を切って泳ぎます。このタイムのラップを考えれば100mを1分のラップで刻むことなります。

ポイント
であれば100を15本練習しその1本の制限タイムを1分にして練習をすれば効率的であり、選手のモチベーションを上げることも可能のではないでしょうか!

そして休息インターバルを短くして持久力をつけていくと言った練習が効率的で有効だと思います。

そしてさらに、この場合1本の制限タイムを1分05秒にするとか、55秒にするとかによって練習の負荷を調整し、1500を泳ぐペースコントロールを養成することが可能となります。

でもここでお話ししたのはあくまで1500自由形など長距離種目をより速く泳ぐための練習であって、もし1500完泳を目指す練習であるならばひたすら1500m以上の距離を泳ぐ練習をすべきたと考えます。

では具体的な練習メニューについて紹介していきたと思います。そしてこの練習目的は1500をより速く泳ぐための練習です。

1-3-2. 具体的練習メニュー

練習メニューの1例

・ウオーミングアップ 400mフリー

・100キック、100プル、100スイムを5セット

・200フリーを3本

・100フリーイージー・ハードを10本

クールダウン 400mフリー

トータル:3900mの練習例です。

この練習メニューで重要なのは、200×3、100×10のインターバルの考え方です。

1-3-3. インターバルの設定方法

ポイント
長距離泳者の場合の練習にはインターバル10秒とか15秒に設定するよりもスイムと休憩を合わせて3分に設定する方がラップを刻むトレーニングに優れていると思います。
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速く泳げばインターバルが長く、遅ければ短くなります。

上のメニューであれば200×3本ではサークル3分30秒あたりをまず設定してあとは調子をみて調整すると良いでしょう。

また100イージーでは1分50秒サークル、100ハードでは1分40秒サークルあたりから設定し調整すると良いでしょう。

2. 長距離に必要な筋トレ

次に水泳長距離種目に必要な筋トレについてお話していきましょう。

長距離は基本的に有酸素運動系の持久力強化が目的です。たとえばもし、1500m自由形にエントリーするとして強化すべき筋トレがあるとすればどのような筋トレが効果的なのかについて検証していきましょう。

2-1. 筋トレの必要性

水泳の短距離種目であれば弱い部位を徹底的に鍛えるという筋トレメニューが必要になってきますが、長距離の場合ですと、上半身や下半身の具体的部位の筋トレ強化というよりは体幹部の強化が重要です。

長距離を泳ぐわけですから、できるだけ浮力を維持しながら泳ぎたいところです。

疲労が出てくると決まって下半身が沈んでくる、もしくは腰だけが沈み湾曲するといった失速原因が起こります。

したがって体幹部の筋力トレーニングには時間を割くべきと考えます。

体幹部の筋トレといえば腹筋、背筋、お腹周りのインナーマッスルなどを提案したいと思います。これらの筋トレならジムへ行く必要も無くプールサイドで十分行える筋トレですから水泳練習の合間にも筋トレを組み込めます。

2-2. おすすめ筋トレメニュー

水泳では長距離に限らずすべての競技種目にあっても腹筋背筋など体幹部の強化はとても重要です。

なかでも長距離種目は強い体幹部でストリームランと泳ぐ軸をまっすぐに安定させるには腹筋・背筋の筋トレは欠かせません。

でもあまり強い負荷を与え水泳練習に支障を来たすような筋トレは控え、筋肉痛が翌日にのこらないような筋トレメニューが重要だと考えます。

2-2-1. バランスボールを使った筋トレ

バランスボールの上で座っているだけで体幹部の筋肉は刺激をうけて筋トレ効果があります。

バランスボールを背にして、腹筋、バランスボールの上でうつ伏せになり背筋、という具合にいろんなバリエーションが考えれます。それに負荷は自重ですからそんなに大きな負荷にはならない方がいいでしょう。

2-2-2. ジムでの筋トレ

ジムにおいてはいろいろなマシン設備がととのっていますので、インストラクターのアドバイスを参考に鍛えたい筋肉の筋トレにジムマシンも上手に使いこなしましょう。

2-2-3. 何よりも泳ぎながら筋トレ

ポイント
先ほど紹介したトレーニングの一例がありますが、その練習においていかに体幹部に意識をおいて泳ぐかどうかで、筋トレ効果がまるで異なります。

十分な意識付けを行い、テーマをさだめて泳ぎこみましょう。

2-2-4. その他筋トレで鍛えるべき部位

腕であれば、キャッチポイントで明確にプル動作に入れる強い腕や胸や肩の筋肉を鍛える必要があるでしょう。

そして水から大きな推進力を得るために肩を痛めない強い関節や筋肉づくりのための筋トレです。

また下半身であれば柔らかい股関節、ひざ間接、足首間接を上手に活用できる柔軟性です。

徹底したストレッチも必要になるでしょう。

ポイント
でも決して忘れてはならない筋トレは体幹部の筋トレです。腹筋、背筋、そして体幹部のインナーマッスルです。
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3. 長距離水泳が苦手の人へのアドバイス

以上長距離水泳についてより速く泳ぐための練習の考え方やメニューそして鍛えるべき筋トレの重要なポイントについてお話しをさせていただきました。

ここで少しレベルを下げて長距離水泳が苦手の選手やシニア世代の方々に対する800、1500自由形についての取り組み方について少し述べてみたいと思います。

長距離水泳が専門の選手のみなさんには読み流して欲しいと思います。

まずはゆっくりとしたペースでいいですから、1500mフリーの完泳を体験してみてください。

1日1本でいいですから、ウオーミングアップのつもりで泳いでみて下さい。

そして2回目には少しペースを上げて泳いでみましょう。その少しペースをあげるだけで1500完泳に失敗されたのでしたら、また元のペースに戻すという感じで繰り返し練習をすると、1500フリーのタイムがどんどん向上していくのを体験できるはずです。

ポイント
そしてやがて、ペース配分が自分のものになり長距離水泳の楽しみ、面白みがわかってくると思います。

こうした練習によって、案外自分は長距離向きではないのかと思えるようになるかもしれません。

100、200の競技種目はエントリーする人も多く優勝するレベルまでは相当の練習が必要です。でも長距離種目では基本エントリー数が少ないですから、優勝は無理だとしても入賞する可能性は極めて高いです。

そして長距離練習は100、200の種目にも確実に活かされてきます。

長距離が苦手というのは長距離水泳の経験が浅いと同義語です。

長距離の経験を積めば格段にスタミナが付き、100、200種目にも好影響を及ぼすことでしょう。

トップアスリートで無い限りは1500フリーでもエントリーできる泳力を身につけて欲しいと思います。

もちろん、マスターズ水泳において1500など長距離種目は限られており、またエントリー標準タイムが設定されており、日本水泳連盟が定める資格級の認定が義務付けられている場合もあるでしょう。

競技会にエントリーするだけでなく、ご自身の泳力認定への受験を目標にされるのも一つの考え方だと思います。

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4. まとめ

以上、水泳における長距離競技である800、1500m自由形などについて詳しくその練習方法やメニューについて長距離水泳の特殊性から解説してきました。

長距離をより速くと練習されている選手にとって指導者や補助者の存在はとても大切です。

闇雲に独学で長距離が速くなれるものでもありません。

しっかりと記録管理を行い、練習プランをいつも検証、修正を繰り返して積み上げていくべきものだと思います。

趣味レベルで行うのであればそんなストレスを感じることなく練習をされれば良いですが、長距離競技を目指すのであれば、指導者と詳細にわたる面談をおこない効果的な練習を行うようにすべきだと思います。

そして練習で得たデータを基にして、目標とするレースにむけてしっかりとしたレースプランを作り上げる必要があります。

レースプラン

・レース設計

・ラップのコントロール

・ライバルとの比較チェック

・フォームチェック

こうした綿密なプランを策定して練習に取り組むのが練習効果をあげるポイントです。

さてこの記事はいかがでしたでしょうか!

長距離水泳の参考になった点も多々あったかと思います。

どうぞ長距離が専門の選手の方にはこれからの成長を心からお祈りしています。

また長距離未経験の方にも是非その醍醐味を味わってもらえたら幸いです。

以上この記事はここまでとさせていただきます。

最後までお読みいただき、心から感謝しています。ありがとうございました。

なお、以下の記事をとても興味深い内容となっていますのでご一読いただければ幸いです。

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