水泳スクールに通い始めた小学生が一番気になるのが「級」!
各水泳スクールではローカルの進級基準が定められており、幹部指導者の判定により新しい級に進級するかどうかが決まります。
この「級」によってスイミングキャップの色が変わり、またワッペンがもらえます。
小学生には大きなモチベーションにつながる「級」制度です。
でもひとたびこの級制度が子供達本人を苦しめることになってしまえば本末転倒!いきおい退会につながる事態にもなりかねません。
なにはともあれ、小学生スイマーの全員が明るく元気に所属水泳スクールに通って水泳を楽しんで欲しいものです。
目次
1.【小学生の水泳進級基準】一般的なローカル基準
水泳スクールに通う小学生の子供達は幼い頃からずっと通っている子供もいれば小学生になってから通い始めた子供達も様々です。
でも現実的には子供達の水泳能力によってクラス分けがなされています。
そして毎月毎に各水泳スクールの進級基準にしたがって級が与えられ、泳力によるクラス分けがなされています。
各水泳スクールの進級基準は様々で特色もありますが小学生レベルになるとすでに水慣れのレベルは卒業してクロールのバタ足からカリキュラムが始まるのが一般的です。
そして級区分によってキャップの色とワッペンが定めれており、キャップの色とワッペンによって子供達の現在の泳力すなわち級が一目でわかる仕組みになっています。
1-1. 進級基準の一例
水泳スクールの進級基準についてはそれぞれ特色のある基準が定められています。
などそれぞれローカルな進級基準が定められています。
そして進級には進級テストが1ヶ月毎であったり、2ヶ月であったりと様々ですが担当インストラクターもしくは幹部インストラクターによって評価され進級判断がなされます。
1-2. 評価の基準優秀な場合
小学生になると身体能力や泳力に個人差が現れ、伸びる子供達の進歩は目覚ましいものがあります。
例えば25mクロールなら直ぐにバタ足を覚えプールハーフラインまでのクロールをいとも簡単に出来る子供もいればなかなか息継ぎができない子供もいて様々です。
一様に子供達を進級基準にしたがって評価するのも問題がないとも言えませんが、多くの小学生を安全に管理しながら教えておくにはどうしても「級」によるクラス分けが必要となってきます。
なかでも進歩目覚ましい子供には飛び級といった特例によって早く進級させることも制度化されているスクールが多いと思います。
1-3. 進級基準に満たない子供達の救済策
また一方ではなかなか進歩が目に見えて現れてこない小学生もいるわけで、1ヶ月もしくは2ヶ月毎に行われる進級テストで基準に満たない子供達は停滞期となります。
そこで停滞期に至った場合には補習制度を設けているところもあります。
同じ月会費内で月に数回の補習をみとめているところもあります。
入会に際してはこうしたところの配慮も検討の1つとして頭に入れておかれると良いと思います。
1-4. 全国統一の泳力認定について
各水泳スクールにおけるローカルな進級基準が設定されていてその基準に従って級付けがなされているのですが、この級という泳力が全国統一の基準に従った泳力認定といったものがあります。
・文部科学省認可の一般社団法人日本スイミングクラブ協会がさだめる泳力認定制度
などがあります。
この泳力判定のための制度がありますので所属水泳スクールに問い合わせいただき希望すれば受験することができ、全国レベルでの「級」などが認定されます。
2. 公益財団法人日本水泳連盟が定める資格級と泳力検定制度
公益財団法人日本水泳連盟が定めている全国統一の泳力評価のための基準として資格級と泳力検定制度が小学生の年齢区分でありますので少し見ていきましょう
2-1. 資格級
小学生の年齢区分では
8歳以下から12歳まで1歳区分ごとに自由形ですと50mから1500mまで1級から15級まで標準記録が定められています。
またその他の泳法については50mから200mまで同様に定められています。
そして1級から5級はB級、6級から10級まではA級、11級から15級はAA級とさだめられています。
この記録を見てもらえば分かるように、相当にレベルが高いもので幼児からかなりの練習を積んだ小学生の基準と言えます。
詳細は公益財団法人日本水泳連盟、資格級を参考にしていただければ全ての級が掲載されています。
2-2. 泳力検定制度
また泳力検定制度(Swimming Badge Test)は日本水泳連盟が1998年(平成)10年に創設され、全国統一の泳力評価全国統一の泳力基準としてひろく小学生についても受験制度がありそれぞれの泳力を公式に認定します。
合格者には認定証とバッヂ、記念クリアファイルが授与され、日本水泳連盟ホームページや月刊水泳・スイムマガジンに氏名が掲載される特典もあります。
詳しい受験案内は公益財団法人日本水泳連盟泳力検定受験案内を参照してください。
この泳力検定の泳力基準は1級から7級まであって、小学生では7歳から8歳、9歳から10歳、11歳から12歳までの年齢区分となっています。
また7級では4泳法中の1泳法を標準記録以内で完泳となっています。
ちなみに25mバタフライ(53.0)、25m平泳ぎ(54.0)、25mクロール(45.0)、25m背泳ぎ(50.0)となっています
3. 一般社団法人日本スイミングクラブ協会が定める泳力認定制度
また一般社団法人日本スイミングクラブ協会においても泳力認定制度があります。
ジュニアについては17歳以下の泳力認定基準が定められています。
詳しくは日本スイミングクラブ協会泳力認定を参照してください。
少し内容を紹介しますと
3-1. 検定受験資格
日本スイミングクラブ協会が定めた全国統一の泳力認定基準に基づいて受験者の泳力を認定するもので、協会加盟のクラブ会員ならびに日本に在住するすべての水泳愛好家が対象となります。
そしてこの認定会は協会加盟のクラブ主管で実施され、協会で認定を受けた泳力認定員によって検定が行われます。
なお段位については泳力認定員が常在している加盟登録クラブの会員のみ申請ができることとなっています。
3-2. 認定基準
認定基準は級と段の2つのコースとなっておりジュニア1級から6級まで、段位は水泳初段から水泳十段となっています。
その後1泳法ずつ泳げるようになって級が上がり、ジュニア1級では個人メドレー200m完泳となっています。
ただ、ジュニア2級では100m個人メドレーの他にスカーリングなどの種目も入っています。
そして段位には水泳初段でジュニア1級の認定を受けた後の泳いだ距離合計が110,000m以上であることという基準がさだめられており、その後の泳いだ距離数で段位が上がる基準となっています。
そして水泳十段には水泳名人の称号が与えられます。
3-3. 検定料など
ジュニア1級の検定料は550円、認定料は1650円となっています。
それぞれの級毎に、そして段位についても所定の料金が必要となっています。
4. ローカル進級基準と公的組織がさだめる進級基準との関係
小学生が通う水泳スクールが日本スイミングクラブ協会の加盟クラブであれば日本スイミングクラブ協会の泳力認定制度を視野にいれたローカル進級基準が定められている場合が多いと思いますが、一概にはいえません。
選手養成コースといった別なクラス分けがなされているスクールもあって、こうした選手養成的なクラスにおいては各競技会へのエントリーと合わせて、公的組織がさだめる泳力認定制度を活用して子供自身のレベルを本人と家族そして指導者が共有するためにもこの認定制度を活用するのはとても意味があると思います。
そして将来のトップスイマーを目指して、日本水泳連盟が定める資格級と照らしながら日々の練習のモチベーションの向上に努力されるべきものと考えます。
こうした認定制度が創設された目的はトップアスリートの養成であったり、将来の水泳指導者の育成を想定した制度であると思います。
そしてジュニアの水泳練習への向上心を高め、安全で楽しく日々練習をしていくためにも互いに進捗を共有していくものだと考えます。
5. 級制度における小学生の大きな壁
ここまで述べて来た「級」制度は小学生の泳力評価を示すもので、水泳を続けるためのモチベーション維持にとても大切な制度であると思います。
そして小学生はその級を励みに頑張って上を目指すべきものなのですが、ローカルの級、そして全国レベルでの泳力検定においても子供達にとってはどうしても乗り越えなければならない壁が存在します。
5-1. 25mから50mの壁
それに50mということはターンが行われなければなりません。
日本スイミングクラブ協会の認定基準にはターンの方法について明記されていませんが、各水泳スクールではクロールの場合にはクイックターンの完成を求めている場合もあり子供達にはなおさらハードルは高いと思います。
小学生の高学年では25mから50mへの距離はさほどでもないかもしれませんが、下級生には身体的な問題もあって大変です。
この壁をどのように突破させるかが指導者の腕の見せ所となって来ます。
5-2. 学業との両立の壁
今も小学生の習い事のトップは男女を問わず、水泳であることは広く知られているところです。
でも小学校高学年ともなると学業との両立の問題が出て来ます。多くの小学生は水泳スクールに通いながら学習塾にも通うといったケースがとても多いです。
それに中学校進学を前にして中高一貫校入学の進路を考えている子供達には水泳をあきらめて、学業に専念する子供達も現れて来ます。
この問題に家族や本人の悩みな尽きないところです。
5-3. スポーツ少年団活動との両立の壁
そして次に各地域の公民館管轄区域ごとに存在するスポーツ少年団組織の活動があります。
主に少年野球やサッカーなどいろいろ多種多様なスポーツ活動を展開しているクラブもあって水泳だけをやっている状況を見直さなければならない状況が起こります。
基本的に水泳スクールは週1もしくは週2のクラス分けとなっているのですが、この水泳とスポーツ少年団活動との折り合いが合わないとどちらかを断念せざるを得なくなり、難しい選択を余儀無くされるばあいがあります。
私はジュニアのインストラクターをしていた頃、小学生にこう言ってました。
これからも水泳は忘れることなく、たとえ今の水泳スクールを退会することになっても、水泳を忘れないでどんな形でもいいから続けてください。
こんな風に子供達や父兄に伝えて来ました。
6. まとめ
以上小学生にとっての水泳における「級」制度の実情と今の小学生が抱える問題点、水泳を長く続けていく上での阻害要因について述べて来ました。
子供達をそれぞれの水泳スクールで定めるローカルな評価基準で級によって区分、クラス分けをするのは致し方ないのかもしれません。
でも小学生低学年まではともかく水泳は遊び感覚というのが一般的な姿だと思います。
素質があり、水泳に秀でた子供もたくさんおられます。
そういう子供達はその才能を伸ばすためにも相応しい水泳スクールへの転向も考える必要があるように思います。
また一方では、なかなか進級基準をクリアできなくて停滞する子供もいますが、水泳を楽しい運動であることだけは忘れさせない工夫や仕組みが必要なのだと思います。
それは言うは易く行うは難しではありますが、大人になっても水泳が楽しいものでなければ上達も泳力の向上も期待できません。
指導者は優れた経験と技術に秀でた人達です。常に指導者とのコミニケーションを持って子供達が明るく楽しく水泳を楽みながら続けられるように願い、この記事は以上とさせていただきます。
最後までお付き合いいただき心から感謝しています。ありがとうございました。
なお、以下の水泳関連記事も興味深い内容となっていますのでご一読いただければ幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。