【水泳クラウチングスタートの利点】利き足はスタート台で前?それとも後ろ?

最近水泳競技の一般的スタートである足を前後に開いて構えるクラウチングスタート!

選手はスタート台上で足を前後に開きますが、「利き足は前なのか後ろなのかイメージしにくい」といった声をよく耳にします。

この記事では、いったい利き足はどちらがいいのでしょうか?この点について詳しく解説していきたいと思います。そしてこのクラウチングスタートの利点についても詳しく解説していきます。

水泳のスタートはレースの成否を決定づけるために、極めて重要な要素です。

従ってしっかりと理解してスタート練習に取り組みましょう。

近年、決勝レースにおける勝敗は100分の1秒を争うものでスタートにもとても神経質になってきています。

そして代表的な競技会においてスタートはクラウチングスタートが一般的になり、公認プールにおいてはバックパネルが設置されたスタート台となっています。

このクラウチングスタートで、より速い記録向上を目指しましょう。

いしはら
こんにちは!

けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。

1. 水泳のクラウチングスタート

クラウチングスタート

クラウチングスタート(利き足の位置)

まず最初に効き足と軸足について考えてみましょう。

1-1. 一般的な利き足と軸足

手には右利きと左利きがあるように足にも効き足というのがあります。一般的に右利きの人は利き足は右足ですよね。

手の場合は効率的に仕事ができる手が効き手でわかりやすいのですが、脚に関しては頭がこんがらがってわからなくなってしまうことがよくあります。

例えば右利きの人がボールを投げる手は右手ですが、脚は右足を軸にして左足に体重移動させてボールを投げます。

この場合軸足は右足で利き足が左足なのでしょうか?利き足の左の仕事は一体何なんでしょう・・・

また紙コップが落ちていてその紙コップを足で潰すとき、どっちの足をつかうでしょう。

私は右利きなので右足で紙コップをつぶします。

さらにサッカーボールを蹴る時には左足を軸にして右足でボールを蹴ります。

こうしてみると私の場合ですと、右利きですので右足が利き足で左足が軸足といえます。

細かい足の動きをするには右足が優位です。でも体重を支えたり、利き足である右足の支えになるのは左足です。

では本題の水泳のクラウチングスタートを考えるとどちらの足を後ろにするのか・・・

私の場合には陸上のスタートでは間違いなく左足前、右足後ろでないと力は入りません。すなわち軸足の左を前にして利き足である右足が第一歩を刻み何の違和感もありません。

1-2. 水泳クラウチングスタートの利き足と軸足

でも水泳に関しては陸上スタートと異なり第一歩を駆け出すのではなく飛び込むわけですから、左右どちらが前なのか頭がこんがらってしまいます。

事実、私が知る限りですも利き足は当然後ろという人もいれば利き足は前という人もいます。

きっと水泳は空中から水中へ飛び出すスタートであるために足の動きが走り出す場合と違うのでしょう。

したがって水泳のクラウチングスタートでは利き足を後ろに軸足は前にという一般的なセオリーは当てはまらない人もいると考えた方が良いかもしれません。

まずは陸上競技のトラックスタートをイメージされて後ろに下げる足を決めてやってみるのが良いと思います。

ポイント
その上で、左右どちらも試されて、よりしっくりいく方、またスタートしてプールのハーフラインまでのスピードで判断された方が良いように思います。

2. クラウチングスタートの利点

スタートダッシュのパワーは当然ながらスタートで決まり、自己ベストの更新も勝敗を決めるのもスタートの重要性はとても大きなものです。

このクラウンチングスタートの利点を解説動画から見ていきましょう。

まず、私が理想的と考えられる動画を次に示しましたのでイメージを膨らませて欲しいと思います。

2-1. クラウチング姿勢から空中姿勢

号砲がなって一番最初に動くのは頭、次に腕、そして後ろの足、最後に前の足と流れるような体重移動によってパワーがより加重されて飛び出しているのがこの動画でよく見られています。

この動画ではスタート台のバックパネルがありませんがバックパネルの力を利用できればより一層後ろの足の蹴りだしパワーが増加できるでしょう。

これがこのスタートの最大の利点です。

クラウチングの姿勢で大切なのは両手、そして後ろの足(利き足)と前足(軸足)でしっかりと身体を静止させることです。

まず頭が動き飛び出す方向を決定、次に両手を後ろへ振り上げながら入水姿勢に入ります。そして後ろの利き足で強くスタート台を蹴ります。この時後ろの利き足は高く上に蹴り上げているように見えます。

ポイント
強い蹴る力のエネルギーが入水姿勢の位置まで振り上げられています。そして重要なコツはクラウチング姿勢の腰の高さです。この高さがスタートの落下メリットを生かす最大の利点です。

この高い腰の位置はクラウチングスタートに限らずクラブスタートにおいても同様ですが、その利点は明白です。

そしてまた、空中姿勢は水平姿勢を省略していきなり入水角度を作った入水姿勢に入っています。このタイミングにおいて後ろ足の蹴る力が生きてくると思います。

従ってスタート姿勢から両足同時に蹴って飛び出すよりも後ろ足から前足へと二段のパワーが活用できることも大きな利点となります。

この後ろと前のパワーの入れ方、力の配分が、利き足、軸足、そして後ろ足、前足の兼ね合わせが人によって感覚が違うのだといえるでしょう。

2-2. 空中姿勢から入水姿勢

空中姿勢は前かがみであったり、そり返った姿勢ではなく、まっすぐ一直線の入水姿勢に飛び出しと同時に速やかに入水姿勢を取るのが大切です。スタート台の高さと腰高の姿勢を利用してスタート台を蹴る力を最大限活かして遠くで入水できる利点を最大限利用しましょう。

でも遠くばかりを意識して蹴りだす方向が上方ではスピードが生かせません。やはりまっすぐに前、水平に飛び出しコース台と腰高の高さを利用するのがベストでしょう。

2-3. 入水姿勢から水中姿勢

それから入水姿勢 = 水中姿勢が最適です。そしてそれは入水時の抵抗が最小であり、一点入水が理想ですがこの理想に近い利点も見逃せません。

よく見かけるのですが、空中、入水時に身体を反って、入水時にドルフィンキック効果をねらったような入水をする選手を見かけますが、入水時に大きな抵抗を受けるのは明らかです。

また、いつも練習している所属クラブプールと、競技会会場のプールとは水深が違いますので、入水時に違和感があると思います。

ポイント
練習プールでは水深が浅いのが一般的です。したがってどうしても入水角度を無意識に調整しようとします。競技会ではレース開始前の公開スタート練習で時間の許す限り練習を繰り返して水深を最大限利用できるように配慮しましょう。

2-4. その他の利点

体重移動から姿勢についてイメージの作り方や入水ポイントの利点について述べてきましたが、その他の注意すべきことやこの利点を最大限活用するコツについてアドバイスしたいと思います。

2-4-1. コース台での足の位置

まず利き足を後ろにする場合、足の位置はバックパネルに足の母指球をセットする場合、スタート台とバックパネルの界あたりに母指球をセットする人、様々です。

私の感覚ですと、足を蹴るとイメージよりも後ろへ蹴り上げる感覚で前に体重移動をしますので足の位置は出来るだけバックパネルの高い方にセットします。

でもこれは人それぞれの感覚などとても微妙なところがあるので色々試されて自分にふさわしい位置を決めるようにしてください。

最大の利点であるバックパネルは移動式ですからスタート前に調整をして起きましょう。

2-4-2. 両足の幅

利き足と軸足の間は肩幅間隔が良いと思います。両足が交差するのでどうしても両足の感覚が狭まりますので、あまり狭まると空中姿勢で絡まることがあります。

あまり広げすぎても力が伝わりません。やはり、肩幅が自然でしょう。

2-4-3. スタート台での手の位置

クラウチングスタートではスタート合図と同時に後ろの利き足がスタートしますので、パワーを全て静止状態の時にマックスにしておきたいところです。

従ってスタート台を両手でしっかり握り体重を後ろへ移動させる利点を最大限活用さしましょう。

でも後ろへとの意識が強いとお尻が低くなります。従ってお尻が高い位置の状態のまま体重を後ろに移動させるのがパワーに爆発力があると私は考えています。

2-4-4. 目線

目線の移動はスタートリアクションの最初の動きです。

このリアクションに素早く反応できるのもクラウチングスタートの利点と言えるでしょう。

ポイント
しっかりとターン側のスタート台を見つめ水平方向への飛び出しを意識しましょう。 そしてすぐに水中姿勢の目線に移動します。

なわち顎を引いて両手で両耳を挟むもしくはもっと首の後ろで二の腕がくっつくよなイメージです。

こうすることで入水時の抵抗を最小限にすることができます。

目線移動はスタートをリードする大切なリアクションです。

飛び込みスタート

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3. 利き足は前?それとも後ろ?

水泳のスタートはオーソドックスな両足をそろえて同時に蹴ってスタートするクラブスタートと陸上のトラック競技のように足を前後させるクラウチングスタートの2タイプがあります。

近年、競技会ではクラウチングスタートが一般的となってきています。

流れるような体重移動で強いパワーをもってスタートする利点がよりスピードアップにつながると評価されています。

この二つのスタート方法については私の以下の記事が参考になると思いますのでご一読ください。

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私の場合、スタートは基本クラブスタートです。

遠い昔の学生時代には無かったクラウチングスタートですから、やはり身体がクラブスタートに慣れているというのが理由です。

Takasi
昔は号砲を合図に両腕を1回廻すリアクションをしていましたが、いまでは加齢と共に脚力が落ちているため、スタート台を両方の手のひらで体重を支えるような姿勢で静止して号砲を待ちます。

手を前に振り上げるだけのリアクションで飛び込んでいます

でもクラウチングスタートも興味があって、競技会場ではウオーミングアップの際に行われる公式スタート練習ではクラウチングスタートも練習をしています。

所属クラブではスタート台にバックパネルがないためにクラウチングスタートの練習ができませんので公式レースではクラウチングスタートの経験はありません。

でも地域の大会や記録会などではクラウチングスタートも経験があり互いのメリット・デメリットも理解しております。

しかし、クラウチングスタートの方が断然初速パワーは断然クラブスタートより強力で浮き上がりまでのスピードはより大きな利点だと感じています。

3-1. 利き足とクラウチングスタート

前章で私の場合は水泳のクラウチングスタートで利き足を前にするのか後ろにするのか悩むと言いました。

現実問題、水泳仲間に聞いても利き足を後ろというのが一般的なのですが利き足が前という人も少なからずいて、これはやはり一概に言えないのだと思います。

私の場合はいろいろ試して見たのですが、利き足の右足が後ろで軸足の左足が前というのが、感覚的な違和感はあるのですが、タイミングも取りやすく、スピードもでるので陸上トラックと同じです。

従って私がこれから述べるのは利き足が後ろの場合ですから、もし逆の方には利き足は前ですので「利き足」という言葉は無視していただき後ろ足、前足だけに視点を当てて読んで欲しいと思います。

水泳の場合、後ろに引いた利き足の働きが陸上とはまるで違います。陸上では後ろに引いた利き足がスタートの第一歩です。

もちろん号砲リアクションの第一の動作は両手を振り上げるのかもしれませんが、水泳のクラウチングスタートはまず頭が前方を向き両腕が続き、後ろ足の利き足から前の足へ体重移動がなされまっすぐ前に力のベクトルが進行します。

従って水泳の場合には右と左のうち筋力の強い方が前の方が初速が強いように思います。

私の場合は利き足よりも軸足の方が筋力があるため、軸足の左足が前、利き足の右足が後ろの方がしっくりいくのだと思います。

これは私の感覚ですから、個人それぞれの感覚も違うかもしれません。何度も試されてしっくりいく方を決められるといいでしょう。

3-2. 体重移動と飛び出す方向

利点
クラブスタートは一点からの瞬発力で飛び込みますので体重移動がやりにくく膝の屈伸を使うなど難しいですが、クラウチングスタートでは後ろ足から前足への体重移動が容易だという利点があります。

そして重要なのは飛び出す方向です。

クラウチングスタートでの方向角度ですが、一番遠くに飛ぶためには斜め上方に飛び出した方が距離はあるかもしれませんが、水泳はあくまでスピードですから

スタート台から飛び出す最大パワーで入水できるのはやはり常識的に言っても水平でしょう。

号砲がなった最初のリアクションは目線を前方ターン側のスタート台をしっかり見つめ飛び出すのがベストです。

4. まとめ

以上、水泳のスタートであるクラウチングスタートに焦点を当ててここまで述べてきました。

今回のテーマはクラウチングスタートにおける利き足の考え方、そしてその利点についてご一緒に考えてきました。

あなたにとって利き足は私と同様に後ろがすんなりいくでしょうか、もしくは前が良いでしょうか?まずイメージで考え、そして実地で試してその上で、どっちがしっくりいくか決められると良いと思います。

利き足前を唱える人、利き足後ろを唱える人、それぞれいらっしゃると思います。それはそれだけ、水泳のクラウチングスタートの場合、陸上でのトラックとは全く違った動きをするからです。

従って、今回の記事の内容は極めて感覚的な表現となりましたが、私は長年レースでの体験から、絶対にフライングはしてはならないこと、これだけは肝に命じています。

さてクラウチングスタートはクラブスタートにはない初速スピードなど多くの利点のあるスタートです。

今一度、大切なことは以下の点に集約できると思います。

まとめ

・腰の位置は高く高低差を最大限活かすスタート

・目線は正面水平方向、飛ぶ出す方向は水平

・空中からすでに水中姿勢を!

・そしてクラウチングスタートは後ろ足から前の足への体重移動

この4点に絞られると思います。

より素早い反応で初速を最大限生かしての浮き上がりによってレースの主導権を握りましょう。

スタートだけは誰にも負けないと言った心意気をつかめるように繰り返し練習に精を出してくださいと申し上げてこの記事は以上とさせていただきます。

なお、以下の関連記事も興味深い内容となっていますのでご一読いただければ幸いです。

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