【水泳で脇が痛い】その原因と具体的改善方法(フォーム改造のポイント)

スポーツクラブのプールでかなり水泳が上手で30分とか1000mとか止まらずに泳ぐ人でも、たまに耳にする「脇が痛い」という症状!

話を聞けば「筋肉痛」の場合と「擦れて痛い」場合があるようなのですが、どちらの場合も泳ぎをよく見ると、ストローク数がかなり多くて疲れないのかと心配するくらいです。

脇が擦れるのであれば、きっと皮膚も弱いのかもしれません。

この記事では「脇が痛い」とい症状に焦点を当て、その原因や問題点、解決にむけた改善方法について、述べていきたいと思います。

もし、貴方がトライアスロンやデュアスロンなどを目指していて、日々のトレーニングで長い距離の水泳練習をされている場合が考えられます。

この場合、泳法フォームや、スイムペース・ピッチなども修正された方が脇が痛いこともなくなり、より上手にまた楽に、より速く泳げるようになると思います。

いしはら
こんにちは!

けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。

1.【水泳で脇が痛い】その原因と具体的改善方法

脇が痛い

脇が痛い理由と解消法

私は長い水泳経験の中で肩や腕が痛くなっても、脇が痛いといった経験はありません。

広背筋の筋肉痛というのは学生時代によくありましたが脇が痛いというのはちょっと考えずらいのですが、現実にはよく耳にする悩みです。

それも水泳経験の少ないビギナーではなく、かなり泳ぎ込んでいる人にも多いようです。

1-1. 脇が痛い原因を検証

その原因は脇が腕のかき(プル)動作の反復のより起こる前鋸筋の痛みもしくは擦れによるものだと思います。

でも今さらフォームを改善するといった勇気はなく、なんとか現状のフォームで擦れ予防ができないかと考えていらっしゃるかもしれません。

擦れであるならば、脇の皮膚にワセリンや軟膏を塗布しても良いのでしょうが、プールの水質管理のため許可は得られなと思います。

女性の場合であれば水着のサイズ次第で脇が擦れて痛むといったケースもあるかもしれません。

フォームの改造を是非検討されて脇が痛くならないようなフォームを身につけていただきたいと思います。脇が痛くなるようなフォームでは大きな推進力は得られないと考えます。

例えば、マラソンで長い距離を走る場合に脇が擦れて痛いということもまたよくあるケースですが、陸上では対策としてワセリンを塗布するなどが考えられます。

でも水泳の場合は、マラソンほど脇を密着して腕を動かせることはありません。

考えられることはマラソンのように水泳でも脇を密着させる時間が長く、それでいて回転数の多い腕のプルが原因だと思います。

以降、よくあるクロールと平泳ぎのケースで検証していきたいと思います。

1-2. 具体的改善方法

水泳中に脇が痛くなるというのフォーム改造のチャンスかもしれません。ここでは主要な泳ぎ方であるクロールと平泳ぎについて脇の痛みについて検証し、その上でフォーム改造の提案をさせていただきます。

ポイントはやはり、大きなストロークを心がけることが脇も痛くならないですし、推進力もアップすると思います。

まずクロールの場合を検証してみましょう。

1-3. クロールのフォーム改造

脇が密着して肩の回転で痛みが生じるのは腕で水をかく(プル)ですが、ここで、バケツに一杯の水を入れて肩の位置まで上げてくるときをイメージして下さい。

1-3-1. クイズ1、バケツを上げる一番楽な方法は?

次の3つのうちどれが一番楽でしょうか?

問い
1身体の一番近くて脇を締めて身体にそってバケツをあげる。

2身体から少し離れている程度で腕を曲げて、脇を開けてバケツを上げる。

3身体から遠いところを腕を伸ばしてバケツを上げる。

いかがですか、1は脇を締めて上げると楽なようで結構力が入って上げにくいと思います。

それに脇に力が入りすぎてしまいます。

また3の身体から遠いところを腕を伸ばして上げると肩への負担が大きく、かなり辛いと思います。

正解は2の身体から少し離れた軌道を上げるのが力も入りやすく、肩や腕の筋肉にも負担が少ないのです。

では次の質問に移ります。

1-3-2. クイズ2、クロールのプルで一番楽な方法は?

クロールのストロークをイメージしてください。

腕が入水して水をキャッチ、キャッチした水をお腹までプル、そして最後のフィニッシュまで水をプッシュする。この一連のプル動作を次の3つの動作で一番どれが楽でしょうか

問い
1脇を締めて身体にそって身体にそってキャッチ、プル、プッシュする。

2脇を開けて肘を高くして水をキャッチ、手のひらと肘までの腕全体でプル、そしてプッシュする。

3手を入水後キャッチした水を真っ直ぐ垂直にプル、そしてプッシュする。

さていかがでしょうか。

正解は2です。これがクロールのストロークの軌道で、一番楽に腕を回転して推進力をが得られます。

あなたのクロール、プルの軌道は1の脇を締めてストロークされているのではありませんか、

その結果脇が擦れて、そして女性の場合なら水着のサイズが合わなければ、より擦れて脇が痛いのではないでしょうか・・・

脇を締めて身体にそったプルは肘が先行して推進力を得るための手のひらと肘までの腕による可動域が極めて狭く、大きな推進力になりません。

1-3-3. プルのフォームを改造

肘から下全体で水を捉えて手のひらの動く運動幅が狭いか広いかは大きな推進力の差として現れます。

クロールのプルの奇跡をもう一度見直し修正してみましょう。

セオリー的には入水後手の平はスカーリングという浮力を得る動作で少し横に開いてその後腕の軌道はS字を描いてプルというのが一般的ですが、私は入水後真っ直ぐ一直線にフィニッシュまでキャッチ、プル、フィニッシュするのがベストだと考えています。

肘はハイエルボーといって脇を開け肘から下の腕が自由に動かせるというのが水泳の場合の鉄則です。

そしてそれがもっとも浮力、推進力とも得る1番の方法です。

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1-4. 平泳ぎのフォーム改造

テレビ放送で水泳競技で平泳ぎの決勝レースなどを見ていると、どの選手も素晴らしくプルのフィニッシュはしっかりとを締めており、そしてすぐにリカバリーに入っています。

1-4-1. かき過ぎない!

上手な人の平泳ぎを見るイメージで泳ぐとプルはかき過ぎとなります。

どちらかといえば両肘がくっつくようなイメージでの脇締めなのです。

でもイメージでは両手、両脇がくっつくような印象を持ってプルのフィニッシュは両手両脇がくっついた状態で合掌するようにイメージされていると思います。

そのようなイメージは平泳ぎの場合はかき過ぎです。そしてリカバリー動作が遅くなってしまいます。

ポイント
私のイメージで言えば平泳ぎは真っ直ぐ前に伸ばした両手の手のひらを横に開き、開いた両手は素早く肘を合わせるようなイメージです。

そして手の平のスカーリングを上手に活用してリストを効かせて水を後ろにプッシュするといったイメージです。

この単純で少ない可動域のイメージが実際に泳いだときにはちょうど良いプル動作になります。

イメージと現実との差を痛切に感じます。

1-4-2. プルとキックの力加減

従って、このかき過ぎによる無駄な両手両脇の密着による早いストロークが脇の擦れを起こし痛いのだと思います。

平泳ぎはプル:4、キック6とよく言われます。でもそれはアスリートの場合だと思います。ビギナーやシニアにはプル:2、キック8、いやプル:1、キック:9でも良いとさえ私は考えています。

もし脇が痛いと感じているのなら、かき過ぎでキックの推進力が無駄になっているのではないでしょうか。

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2. フォーム改造のポイント

テレビで放送される世界選手権や日本選手権決勝レースはいつも私も食い入るように観ていますが、どの選手もストロークは豪快で大きなストロークなのがとても印象的です。

2-1. ゆっくりとしたストローク

特に日本選手権における平泳ぎでは、渡辺一平選手の200m平泳ぎは自身が持つ世界新記録にあとわずかの素晴らしいレース、

2位以下をブッチギリで引き離す大きな泳ぎはスローでも観ているようなゆっくりとして豪快なストロークでした。

もちろん50mの短距離種目はストロークの回転数を上げたノーブレッシングですから目にも留まらぬ早いストロークでパワー勝負です。

しかし、100、200、それ以上の自由形種目や個人メドレーになると、やはり大きなストロークで最大限の推進力を得て、そのスピードを失速させない水中姿勢と豪快なプルによるものだと考えています。

脇が痛いというのは痛くなるほど脇に衝撃がきているのでしょうから、半端ない回転数のストロークだと思います。

それでいてその回転数に見合うスピードが出ているのかというと少し疑問です。

擦れを防止するパットや軟膏などといった対処法ではなく、肘の高いハイエルボープルを会得して、大きなストロークと長い腕のプルによる推進力を積極的に練習しましょう。

ポイント
シニアや経験の浅いスイマーには水泳はスピードではなく、失速しない泳ぎをマスターするようにしましょう。そして出来るだけストローク数を少なく、大きな泳ぎを心がける方が間違いなくスピードも早く、疲労も少ないと思います。

2-2. スタート・ターンで距離を伸ばす

もっと速い泳法であるクロール、でもクロールのストロークよりも水中を蹴伸びで伸びている方が速いです。

またドルフィンキックで最大限(15m)水中にいる方が速いです。

ポイント
スタート・ターンはしっかりと壁を蹴って最大の初速を得るようにすべきです。
そして水中ではその初速を出来るだけ失速しないように水中姿勢で距離を稼ぐ、さらに強力なキックで浮き上がり加速しながらストロークに入っていく。

また長く疲労度の少ない水泳の場合にもストロークは少なければそれだけ疲労度が低く、持続できるものです。

競技でない水泳の場合には出来るだけゆっくりと大きなペースで優雅に泳ぎましょう。

一方、トライアスロンなどの水泳やオープンウオーターなどの長距離を泳ぐ場合も、疲労を極力抑えるながらスピードを維持するには大きく豪快なストロークがメリットが高いと考えます。

どうぞ、脇に痛みを覚える方にはゆっくりと大きなストロークを練習することをお勧めします。

3. 脇が痛くなくなればスピードアップ!

脇が痛い症状が改善されて、痛みを感じなくなれば相当のレベルアップがみられた証でもあると思います。

どんなスポーツでも脇をしめるのは基本中の基本だと思うのですが、脇が擦れて痛いほどの脇締めはパワーが内側に留まっていることで、スピードなど外へのパワーが発揮されていないのではないでしょうか・・・

その上、水泳は脇を締める泳法はとても限られています。

ポイント
平泳ぎのように呼吸するときに受ける胸への抵抗を最小限にするために脇を締めて前面からの投影面積を小さくする知恵なのですが、それは脇を締めるというイメージよりも両肘をくっつけるイメージの方がより投影面積が少なく水の抵抗は弱くなってきます。

脇の痛みが和らぎ、痛みを感じなくなった頃には相当の修正が行われたと言って過言ではないでしょう。

脇の痛みがなくなればきっとスピードアップにつながっているはずです。

そして疲労度も改善され、より長く楽に泳いでいられるでしょう。

脇が痛いという症状は水泳が上手くなるためのサインだと理解され、どうすれば改善されるかという思考は同時にどうすれば楽に速く泳げるかだと認識していただければ、練習へのモチベーションも上がるのではないでしょうか・・・

4. まとめ

以上、水泳で脇が痛いという症状を例にとって水泳の基本プル(ストローク)について解説してきました。

脇が痛いと悩んでいる人には参考になったかと思います。

痛くなくても脇が擦れる感触を持たれている方にはフォームの改善、ストロークの考え方などについて有益な提案であると同時に、検証の考え方からイメージ転換のきっかけになったのではないでしょうか・・・

最後に

・水泳はプルで擦れるほどの筋肉は不要です。

・出来るだけ紡錘形で抵抗のない身体、そして水中での態勢が基本です。

・力任せのストロークと大きな抵抗の少ないストロークとどちらが速いかは永遠に課題です。選手一人一人の個性によって様々です。また競技種目の距離にも影響します。でも大きなストロークの習得は大切です。

・少なくとも脇が痛いという状況だけは早く卒業しましょう。

繰り返しになりますが、シニアにあっては脇が痛いほどの回転数をもってすればもっとゆっくりとした大きなストロークで省エネハイブリッドなテクニックをマスターされてより優雅により長い時間・距離を泳げるように頑張って欲しいと思います。

これからも楽しく水泳を続けていきましょうとの願いを込めてこの記事は以上とさせていただきます。

最後までお付き合いいただき心から感謝しています。ありがとうございました。

 

なお、以下の記事もとても参考になると思いますのでご一読いただければ幸いです。

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