水泳をしている中学生といえば小学生時代から水泳スクールに通って選手コースに進んでいるタイプと中学生から本格的に水泳を始めたタイプとに大別できると思います。
そしてそのトレーニング環境とは学校の部活の水泳クラブか民間の水泳スクールだと思います。
記事を読んでいただければ、自ずとトレーニング内容もその環境にも大きなインパクトを与えられると思います。
さて、最近の中学生では水泳を本格的に取り組もうとすれば水泳スクールが一般的ではないでしょうか!
中学生レベルで一番悩むのが記録の伸び悩みです。
体格が凄まじいほどの成長をしている中でなぜかタイムの伸び悩みが中学生で多いのです。
トレーニング方法に問題があるのか、トレーニング環境にあるのか、また本人のメンタルな面にあるのか・・・
しっかりと検証していきましょう。
1. 中学生に相応しい水泳トレーニング
まず最初に中学生に相応しいトレーニングについて述べていきたいと思います。
中学生と言えば思春期に入り、身体の成長と相まって心の成長も大きく影響を受け、中学生時代に埋め込まれたメンタル性はその後の成長を左右するものです。
従って、中学生に対する、私の重視すべきトレーニングとしてメンタルトレーニングの重要性を強く訴えたいと思います。
1-1. メンタルトレーニング
私は中学生にとってメンタルトレーニングの重要性を強く訴えたいと考えています。
メンタルと言えばトップアスリートだけのテーマだと思いがちですが決してそうではなく、メンタルもトレーニングが必要です。
ある日突然メンタルが強くなるものでもなく、日々のトレーニング次第だと考えています。
日々の水泳トレーニングにどう取り組むのか、トレーニングが辛いと感じたり、競技会本番でいかに能力を発揮できるのかはメンタル面が大きく左右するでしょう。
メンタル面も日頃のトレーニングが必要です。
1-1-1. 中学生に対する禁句
中学生になるとなぜか「どうせ無理!」という言葉に洗脳されている子供達の多いのに驚きます。挑戦すらせずに頭で考えて無理と決めつけているのです。
これには本当に大人の責任は重大だと痛感しています。
大人が常時この言葉を使っているために中学生には深刻に受け止めてしまうのだと思います。
思春期を迎え、こころと身体のバランスが思うようにいかないうえに、自分の上限を決めてあきらめてしまう風潮にはいかんともしがたい状況です。
1-1-2. 嫌なこと、辛いことをそう思わないトレーニング
嫌で辛い水泳のトレーニングと感じるようであれば水泳を続ける意味がありません。
水泳は楽しいもの、そして希望があって目標達成の可能性のきわめて高い運動であり、そのためのトレーニングであることを中学生の子供達に植え付けてあげたいと思います。
それにはやはり、訓練、トレーニングが必要です。
バタ足練習が辛いトレーニングと思わせない工夫、たとえば足ひれをつけたドリルとか、ボートのように大きなビート板を使うとかです。
1-1-3. 本番に強い自信の養成
そして競技会本番ですごい成績を残せるような経験が本人には強い自身につながります。
1-1-4. 集中力の養成
水泳を続けていると不思議に必然的に集中力が向上することは私自身が体験しています。
きっと水泳のトレーニングが集中力を高める効果があると考えているのですが、よりトレーニングの中で集中力をたかめる工夫があれば更なる能力の養成につながると思います。
そのためにも競技会へのエントリーは格好のチャンスだと思います。
1-1-5. イメージトレーニング
それから中学生といえどもイメージトレーニングを教えることもとても大切です。
トップスイマーのVTRを見せて、その泳ぎのイメージを頭に焼き付けるトレーニングはやればやるほど効果があがります。
そしてその目標とするイメージを自分の泳ぎに活かす!
こうしたイメージトレーニングの訓練は将来に大きな差として顕在化すると考えています。
1-2. 基本トレーニング(泳力強化)
1-2-1. 泳ぎ込み
この泳ぎ込みさえ十分であれば本人の技術のレベルは格段に伸びていきます。
そしてこの泳ぎ込みが何よりも本人には辛くてどうしようもなくモチベーションを落とすトレーニングなのです。
キック・プルなどドリル練習を組み入れて、ともかく泳ぎ込みがトレーニングの趣旨だと考えるべきだと思います。
泳ぎ込みが十分であればその個人にふさわしいフォームがおのずできてきます。
1-2-2. ストリームライン
泳ぎ込みに加えて大切なのがストリームラインです。そして完璧なストリームラインをイメージトレーニングを含めて徹底することが重要です。
1-2-3. スタート・ターン
そして、スタート・ターンのトレーニングは気分転換に取り入れながらストリームラインと合わせて日々のトレーニングメニューに必ずいれておきましょう。
競技会前にだけ時間を割いて練習をしても効果が出るものではありません。
1-3. 陸上トレーニング
それから陸上トレーニングですが、これは主に中学生個人の自主トレーニングの部類に入るのかもしれませんが、日常習慣の中に組み込む必要があると思います。
最も重要なトレーニングはランニングです。
ランニングをしている子供の泳ぎ込みはスタミナとリズムに大きな違いが現れてきます。
将来どのようなスポーツに進もうと絶対に有効なトレーニングです。
ランニング以外で必要な陸上トレーニングをあげればともかく、走る、飛ぶ、投げる、木に登るなど人間として必要不可欠な運動能力を鍛えておくことが必要であり、この運動能力が水泳においても最終的には勝敗を分けることとなるでしょう。
例を挙げれば懸垂なら20回、50m走7秒、1500m走5分、立ち幅跳び3m、走り幅跳び5m、ソフトボール投げ40m
こんなところが中学生であれば最高レベルの陸上での運動能力でしょう。
1-4. スピード練習
そして最後のスピード練習です。
このスピード練習は主にインターバルトレーニングになりますが、飛び込みスタートで25mの4泳法ダッシュです。
そしてこのトレーニングのおすすめは、制限タイム付きのスタートダッシュです。
制限タイムは自己ベストです。自己ベスト更新すれば1本で終了です。
その他スタートダッシュでスピード力を養いましょう。
パワーは一定でストローク数を上げてスピードアップを図るドリル、そしてストローク数もパワーも全開でスピードをあげるなど色々なパターンのスピード練習を行って、レースの場合のレールプランに役立てましょう。
2. より速くより強くなるためのポイント

私はジュニアの水泳スクールのインストラクターの経験があります。
自分が水泳競技者であることや学生時代からの競技経験から、小学生高学年の子供達の水泳を見てきました。
小学6年生の子供達はそのほとんどがスクールを退会して中学校に進学します。
でも中には中学生になっても退会せずにスクールを続ける子供達もいるのですが、その彼らと話していて驚いたことは、自分の記録は頭打ちだと勝手に思い込んでいるのです。
でも水泳が好きだから続けているというのです。じゃあ選手養成コースでガンガンやって競技会で頑張ってみないか?
と問うと、きまってトレーニングが辛いからとても出来ないといいます。
こんな想いの中学生にはどのような対応をすべきなのか、考えてしまいます。
2-1. 中学生は遊びからスポーツへ
小学生で始めた水泳スクール、友達もできて順調に進級できて6年生ともなれば個人メドレーも100m、200mと泳げるようになっており、これから中学生になっても続ければさらに上のクラスを目指すレベルに至っていることでしょう。
2-1-1. 水泳スクールにおける中学生
中学に進学して殆どの子供達は新しい部活や塾などへの展開が始まることから水泳スクールを退会してしまいます。
でもそのまま中学生クラスで残る子供達は選手養成コースへの道を歩き出すのですが、なかなか順当にはいきません。
それは中学生といってもまだまだ遊びたい気持ちが強くて楽しい水泳がしたいのですが、練習量が増える水泳スクールが楽しくなく、辛いと感じるようになります。
どのように子供達を精神的に誘導していけばいいのか指導者としては頭の痛いところです。
2-1-2. 中学校でのクラブ活動
小学生から続けてきた水泳であっても、中学校進学と同時に部活動に大きく影響をされ水泳を続けるのかやめてしまうのか大きな転換期を迎えます。
もし同じ小学校に通っていた友達がいれば共に相談したり、相手の友達に影響を受けるとかあると思うのですが、中学校での部活も始めることとなるでしょう。
中学校に水泳部があるというのは公立中学校の場合はまだまだ十分ではなく、水泳以外の部活を始めるケースも多いでしょう。
私は中学校に進学する子供達や親御さんには

とこんな風にアドバイスをしてきました。でもそのほとんどは退会していきます。
水泳をそのまま続けていく子供達というのは水泳が大好きで続ける意識のしっかりとしている子供達に限られています。
進学する中学校のプール施設や環境の問題、そして水泳部の存在の有無も大きな影響要因となります。
2-1-3. 父兄の想い
そして親御さんの想いも大きく子供達に影響を与えるのも当然のことです。
基本的には子供さんの意思を尊重されるのですが、その多くは水泳はもう良いんじゃないのというのが一般的ではないかと思います。
2-2. 自己ベストの喜び
では中学校に進学しても小学校で続けてきた水泳を継続して続けたとして、そのモチベーションをいかに維持継続させていくかという点については、先ほども少し述べた遊ぶ気持ちを少しでも競技スポーツへの意識誘導を指導者や親御さんが担ってあげることが重要となります。
そのためにも定期的な記録会での自己ベストの更新が大きなテーマとなります。
中学生の子供達というのは成長期にあり、泳ぐ度に自己ベスト更新というのが一般的ではあるのですが、タイムの停滞期をどう乗り切るかが課題となりますが、自己ベスト更新の喜びを与えてあげるのはとても重要です。
そしてしっかりと共に喜び、褒めてあげたいところです。
2-3. 競技会で勝つ喜び
そして中学生進学と同時に競技会へのエントリーを勧めてあげて、競技会で勝つ目標を本人に持たせる機会を与えて上げるのも必要なことだと考えます。
所属水泳スクールでの競技会イベント、また地域における競技会へのエントリーも考えて、日頃の練習のモチベーションを高めていくのも必要でしょう。
2-4. タイムが伸びないとき
では練習であれ、競技会であれ、自己ベストを更新できないスランプをどう乗り越えていくのかですが、中学生には褒めてさえいれば必ず自己ベスト更新すると私は考えます。
日々の練習中でさえも自己ベストの更新が可能であり、競技会となれば驚くような記録が出るのも珍しくはありません。
これには大きくメンタルが影響すると思います。
3. 得意種目より個人メドレー練習

では次に得意種目と競技会エントリー種目について考えていきましょう。
一般的に言って得意種目が競技会エントリー種目になると考えられますが、私はそうは考えません。
3-1. 個人メドレーを目指せ
中学生にはもちろん得意な種目、好きな種目があると思いますが、4つの種目が全てある程度のレベルであることが必要だと考えています。
理想的には中学生には個人メドレーを目指して欲しいと思います。
ただ得意な種目があって当然だと思いますが競技会エントリーを考えて、優勝できる可能性の高い種目を専門種目として考えるべきと考えています。
普段は個人メドレー練習主体でトレーニングを行い、競技会エントリー種目が決まれば競技会目指してエントリー種目を中心に練習すると言った具合です。
もしかしたら、自分の一番苦手種目がエントリー種目となるかもしれません。
指導者と相談して、優勝できる可能性の高い種目を探しましょう。
例えばクロールが好きで得意だという中学生は沢山いて、競技会で優勝する可能性は低くなります。
その努力があればクロール以外の種目での優勝は決して難易度は高くないはずです。
なぜ、エントリー種目にそこまでこだわるかは、中学生には早い時期に優勝経験があることがその後の進歩に大きく影響を与えるからです。
中学1年生の夏にもしかして何かの種目で優勝したとすると、その時点を境にその子のモチベーションからトレーニングに対する姿勢がまるで変わってきます。
3-2. 競技会エントリーのすすめ

得意種目と競技会エントリー種目について前章で少し述べましたが、中学生になれば是非競技会エントリーを目指して欲しいともいます。
もちろん個人の問題ですから強制はできませんが、できるなら競技会には全てが参加エントリーできるような配慮と環境を作ることと、エントリーしない選択肢を選択することのないようにしたいものです。
そして同級生同士のリレー種目にもトライさせてあげたいところです。
スポーツである水泳を長く続けていくためのモチベーション維持の観点から競技会エントリーは必須と言えると私は考えています。
もし私が競技会にエントリーしてこなかったら、今の歳まで水泳を続けられたとはとても思えません。
競技会で優勝する、大会記録を更新する。などの目標があったればこその継続モチベーションだったと振り返っています。
自己ベストというのは競技会で優勝するための評価基準でしかありません。
単に自己ベスト更新だけのモチベーションでは水泳の永い継続には難しいと思います。
4 まとめ
以上、水泳を頑張ろうとしている中学生のために、彼らの才能を引き出し大きな目標をたてて水泳トレーニングに日々打ち込む中学生の姿をもっともっと見たいものです。
小学生の水泳スクールという習い事は他の習い事と比較してとても人気のあるものですが、中学校に進学して本格的に競技会を目標にして水泳に取り組むのはまだまだ少ないと思います。
今回の記事では中学生の水泳トレーニングについての私が考える基本的な項目を具体的なトレーニング方法やメンタル面のトレーニングについても含めて述べてきました。
小学生から続けてきた水泳であれば、相当の泳力が養われていることから、体格の向上から自己ベストは競技会の度にいや練習の度に更新されておかしくありません。
もしその自己ベストの更新を阻むものがあるとすればメンタル面の成長如何といわざるを得ません。
中学生本人の良い所を伸ばし、褒めてあげることで、ウイークポイントも修正されていくものと考えています。
本人に「どうせ無理!」という感情を芽生えさせないようなメンタルトレーニングを周囲の大人が気をつけてやるところから始めていって欲しいと思います。
・中学生に対する禁句「どうせ無理!」
・ネガティブをポジティブに変換するトレーニング
・本番に強い自信の養成
・集中力の養成
・イメージトレーニング
そして子供たちのこうしたトレーニングにより、モチベーションが向上され、いつも高いレベルでトレーニングが可能となり、将来のトップアスリートに育っていってくれると確信して、この記事は以上とさせていただきます。
最後までお付き合いいただき心から感謝しています。ありがとうございました。
なお、以下の記事も興味深い内容となっていますのでご一読いただけたら幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。