スポーツ選手独自のルーティンと言えばイチロー選手、ラグビーの五郎丸選手のルーティンが誰もが目に浮かぶところです。
水泳選手ではどんなルーティンを持っているのでしょう。
瀬戸選手はいつもヘッドフォンをつけて入場してきます。そしてスタートフォイッスルが鳴ると決まって両手をパンパンと叩いている姿が目に焼き付いています。
きっと各選手各様にセルフルーティンがあって、きっとどんなレースにおいても変えないのだと思います。
ではルーティンの意味と必要性とは、そして水泳の場合どのようなルーティンが考えられるのでしょうか・・・
読者の皆様も独自のセルフルーティンを定め、それに従ってレースに臨みましょう。
目次
1.【水泳選手のルーティン】内外トップスイマーの実例
「ルーティン」とは辞書によれば「決まった手順」「お決まりの所作」「日課」などの意味があります。また「ルーティンワーク」業務上、毎回決まって行う作業を意味します。
スポーツにおいては野球でよく使う先発の打順を「先発ルーティン」などと行った表現があります。
1-1. ルーティンとは
またイチロー選手や五郎丸選手のように決まった一連の動作をして集中している光景をよく目にすると思います。
読者の皆さんは日々の生活におけるルーティンはどのようでしょう。また水泳の練習をするときのルーティン、そして競技会のレースにおいてどのようなルーティンをお持ちでしょうか・・・
この記事では水泳選手で特徴的なルーティンを持っている3選手のルーティンを紹介する事で何か参考になればと思います。
その前に水泳の練習におけるルーティンそして競技会におけるルーティンをまず私の常日頃考えているところをお話しさせてもらいます。
1-1-1. 練習ルーティン
練習に際してはそれぞれクラブチームでの練習メニューに従って臨まれると思います。また個人練習をなさっている方にあっても競技会を目標に練習スケジュールを立てて日々トレーニングをされていると思います。
ただ一番大切なことは練習が楽しくなければ意味がないと思います。辛くて苦しいだけの練習では身体にダメージを与えるだけで決して好ましいことではありません。
どんな選手もスランプに陥ります。これから述べる水の怪物マイケル・ヘルプスもまた大きなスランプを経て世界のエースに君臨もし、復活も遂げています。また入江選手も瀬戸選手もスラップの経験はいかほどばかりかと察するところです。

そのためにもルーティンはとても大切なことだと言えるでしょう。
では練習ルーティンで重要なポイント
・1日1本ベストタイムを出す(練習中良いタイミングを見て120%で泳ぎベストタイムを目指す)
・メンバーとのコミニケーション
1-1-2. 競技会ルーティン
では競技会を前にまたレース直前のルーティンについてですが、レースに自分の力を最大限発揮するための準備とメンタルのの向上です。
多くの選手が音楽を聞きながらストレッチや瞑想をしている風景をよく見かけると思いますがご自身に相応しい一連作業(ルーティン)を確立させて以後は忠実にそのルーティンを行う。
このルーティンを確立するためのポイント
・ウオーミングアップの内容とタイミング
・クラブメンバーとのコミニケーション
・招集場での集中
これらはそれぞれ好みなど個人差があると思いますのでこうしたポイントに留意して独自のルーティンを確立されると良いでしょう。
1-2. トップスイマーのルーティン
特に象徴的な3人の選手のルーティンを紹介します。
1-2-1. マイケル・ヘルプス

画像引用:Wikipedia
マイケル・ヘルプスは「水の怪物」の異名を持つアメリカ水泳史上最恐のトップスイマーとの呼び声も高く、オリンピック通算メダル獲得数28個(金メダル23個)、世界水泳選手権では33個のメダルを獲得(金メダル26個)の恐るべき実績を誇っています。
彼もまた「ルーティン」の活用を重視し、常に最高のパフォーマンスを発揮してきた伝説的水泳選手です。
彼のルーティンの手順は
・呼び出しによりスタート台に歩き2回ストレッチをした後つけていた右のイヤフォンを外す。
・名前を呼ばれると左のイヤフォンを外し、スタート台をタオルで拭いてからスタート台に左側から上がる。
・スタート台上で手を大きく後方背中に振り上げ手を叩く仕草をする。
このような手順のルーティンを毎回行なっています。
1-2-2. 瀬戸大也選手

画像引用:Wilipedia
2019年世界水泳選手権(韓国、光州)において、200・400m個人メドレー2冠、200mバタフライ銀の素晴らしい結果を残し2020東京オリンピックの代表権を手にしました。
今2020東京において最も期待されている水泳選手です。
彼もまた集中力を高めレールで最高のパフォーマンスを示すためゾーンに入る必要があると考えており、彼特有のルーティンがあります。
レース直前には彼のスタイルとしてヘッドフォンを付けています。気に入った楽曲をエンドレスでリピートして聞いて集中力を高めているようです。

それからスタート台では両手で柏手を打って気合いを入れています。
彼の場合は少し特殊なルーティンがあってコーヒーはレース当日しか飲まないそうなのです。すなわち勝負コーヒーなのでしょう。
毎日飲んでいるとコーヒーの持つ覚醒作用であるカフェイン耐性がついてしまうとの理由からのようです。
以上が瀬戸選手のレース前ルーティンなのですが、彼にはさらに子供の頃からずっと続けているルーティンがあります。
それは神社へのお参りです。そしてこの神社へのお参りは多くの成功者も同様に続けていることでもあります。
実は私も神社へのお参りは欠かしたことがありません。
瀬戸選手の場合は子供の頃から通っていたスイミングスクールの近くにある出雲伊波比神社へのお参りです。子供時代に神社の祭礼で馬の乗り子をやったことがきっかけに始めたそうです。
1-2-3. 入江陵介選手のルーティン

画像引用:Wikipedia
入江陵介選手は1990年生まれ日本水泳界ではベテラン選手。0歳から水泳をはじめ中学生ではすでに日本中学生水泳記録を樹立するなど美しいフォームの背泳ぎで定評があり、100、200m背泳ぎの日本記録保持者です。
ロンドンオリンピックの銅メダリスト、ペットボトルをおでこに乗せて練習する姿がテレビ放送されるなどバランスと美しいフォームには定評があります。
レースの時にいつも行なっているルーティンはスタート前合図があってプールに入水し、スタート準備を行う時に決まって行なっており、
「両肩にキスをしている」と言われています。
その仕草は彼本人が言うにはゴーグルのズレを防ぐためにゴーグルを抑えているとのことですが、見る人からキスをしているような仕草に見えるのでしょう。
そしてこの「肩へのキス」はファンの中でも話題になり広く浸透しているようです。
ゴーグルを抑えているのかキスをしているのか本当のところはわかりませんが、ルーティン化していることには違いなさそうです。
2. ルーティンによるベストパフォーマンス

では私のルーティンを紹介しながらレースでベストパフォーマンスを発揮するためにはどうすれば良いのか私の考えを述べたいと思います。
私の場合もまた競技会当日は朝起きてからレース本番前まで常に同じルーティンを行なっています。
競技会場への車で出かけることが多く、競技会開会セレモニー前のウオーミングアップに間に合うように時間をて考え起床は4時です。そして自分のレースに備えます。
ここでルーティンについてレース直前と日常に分けて解説します。
2-1. レース前のルーティン
多くの選手がヘッドフォンやイヤフォンで音楽を聴いているのですが、私はプールの自然な音の中に身を任せて呼吸をコントロールすることで集中をしています。イヤホンなどで耳を塞ぐとかえって集中できないタイプです。
招集場で自分のレースを待つ間はずっと目を閉じて自らコントロールする呼吸で集中しています。
招集場からスタート台に向かうとき背筋をしっかり伸ばしてお腹を力一杯凹ませてスタート台に向かい座らずに立ったままゴーグルの内側を舐めて合図を待ちます。
スタート合図の長いホイッスル時の動作
・左胸を右手力こぶで2回叩きます。
・「ついてる・ついてる」を2回呟きます。
この私のレースに際してのルーティンはまずは自分の泳ぐレーンに一礼をして土俵や道場に入る気持ちになることから始め、右手の力こぶで左胸の心臓に刺激を与え、頑張ろうを誓います。
その上で、「ついてる・ついてる」と2回呟いてスタートの体勢に入ります。この呟きは招集場から心でずっと唱えています。
呟き、心の中で唱えることで集中に入れる私自身のルーティンの一つです。
2-2. 日常のルーティン
私の場合、日常生活もルーティン化して、無駄な時間を出来るだけ排除するように心がけています。
起床時間、就寝時間はもとより、仕事をする時間、昼食の時間など、判で押したような生活です。
少し変わったところで、瀬戸選手同様に神社へのお参りは毎日やっています。そしてウオーキングに出かけた途中にある神社も必ずお参りをしています。
神社でのルーティンは2礼2拍1礼を済ませ、「祓い給え、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」を唱えます。
この唱え言葉は作法によるものですが、私の気持ちの中では願い事では、感謝の気持ちで唱えています。今も現役のマスターズスイマーであることに感謝、肩の故障で苦しいけれど頑張れることに感謝・・・
私は願いよりも感謝の方が良い結果が出ることを経験上知っています。
感謝ですから、日々の賽銭はしません。大晦日にお札を新しいものに交換する時に感謝の気持ちで1万円のお礼をしています。
2-3. レース用アイテム
競技会場でのアップにはいつもの練習用水着を着ますが、レース用にはSpeedo社の勝負水着に着替えます。そしてスイミングキャップ、ゴーグルも勝負用にスイッチして招集場に向かいます。
これは若い頃からSpeedo社ファンだったこともあり、他社の水着が着れなくなりました。これもルーティンの影響だと思います。
2-4. 十人十色自分独自のルーティン
さて、ルーティンなど不要との考えのスイマーもいると思います。
それはそれで、ルーティンが存在しないルーティンと言えるのでは無いでしょうか・・・
レースで自己ベストが出た時の動作・精神状態を参考に独自のルーティンを作って見られたらいかがでしょう。
最も大切なことは、レースで最大限のパフォーマンスが発揮できるにはどうすれば良いのかと言う視点で導けば言い訳で、少しずつ改良を加え、ルーティンとして固定すれば良いと思います。
3. まとめ
以上水泳選手にとってのルーティンについて具体的な実例をあげて紹介してきました。水泳選手の中でも世界的なトップスイマーはさすがに話題性のあるルーティンがあってそれは神聖なものであって他人が踏み入れることのできない領域でもあります。
最近ヘッドフォンをつけている選手が多いですが、音楽で集中するならイヤフォンでも良いようなものですが、ヘッドフォンにこだわるのは大きな意味があります。
それはヘッドフォンを付けていることで他の選手から「近づないで!声をかけないで!」とのサインでもあります。一人で集中するにはヘッドフォンは有効です。特段、音楽を聞くのではなく、ヘッドフォンだけを付けている選手さえいます。
プール内での雑音をシャットアウトして集中しているのだと思います。
こうしたルーティンの典型がイチロー選手であり、五郎丸選手であるわけですが、このルーティンの必要性をまとておきますと次のようなポイントがあると思います。
・オンとオフとのメリハリをつける
・決まった事をすることで不安やストレスを最小限に抑える
・最大限のパフォーマンスに導く
ぜひ、ご自身に相応しいルーティンを作り上げてこれからの競技人生、そして人生そのものに生かしてもらえたら幸いです。
この記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。ありがとうございました。
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けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。