平泳ぎのキックが進まない!
この原因は平泳ぎのキック自体に推進力がない場合と、平泳ぎ中にキックでの推進力が減衰する場合の2つのケースが考えられます。
さて、クロールのキックは足の甲で水を押し出し推進力を産み出しますが、平泳ぎは足の裏、足の内側でしっかりと水を捉えなければなりません。
平泳ぎの場合、クロールと同様にビート板を使ったキック練習に多くの時間を割いて、今の平泳ぎのコンビネーションスイムで泳ぐスピード以上の推進力をキックで作り出せるようにしっかり練習しましょう。
1. 平泳ぎのキックが進まない原因とは?
冒頭にも述べましたが平泳ぎのキックで進まない原因として考えられるのは
・キックそのものの推進力が弱い
・キックで生まれた推進力をスイムフォームが抵抗を生み出し相殺されて推進力が低下する
この二つが考えられます。
それぞれを検証していきましょう。
1-1. キック力の向上
平泳ぎが進まない原因でキックそのものに問題がある場合にはキック練習を徹底的に行ってキックだけでプールサイドを歩くくらいのスピードが得られるように練習しましょう。
大きいビート板や小さいビート板を使ってのキック練習、そしてビート板を使わないグライドキック練習などです。
単調になりがちなキック練習ですが、どのような蹴り方をすれば良いのかいろいろ考えて試してみましょう。
次に大切なポイントは足首が柔らかいことです。平泳ぎにおいて足首が固いのは致命的です。陸上での柔軟体操でしっかりと足首を回しておきましょう。
足の大きさサイズはどうしようもありませんが、足首の柔らかさは体操次第で如何様にも柔らかくなりますから頑張って足首の柔軟性を高めましょう
平泳ぎの具体的なキックのテクニックについては以下の記事を参考にしていただけば幸いです。
1-2. 水の抵抗を抑えるスイムフォーム
強いキックで生じた推進力を最大限泳ぎに生かすためにには平泳ぎのスイムフォームが出来るだけ水の抵抗を抑えるもの出なければなりません。
でも平泳ぎのブレス時に肩や上半身に受ける抵抗は半端なく、この抵抗を最小限に抑えなければなりません。そしてキックとストロークとのタイミングもしかりです。
このスイムフォームと水中姿勢(ストリームライン)についてのテクニック解説は以下の記事に譲りたいと思います。
そして紡錘形のスイムフォームをしっかり維持して大きなキックによる推進力を生み出すように心がけましょう。
2. 推進力を高めるキックのポイント
では具体的に推進力を高めるキックのポイントを解説しておきましょう。
詳しいテクニックについての記事を参考にして欲しいと思います。
強い推進力ためのキック力を解説するために腕によるデモストレーションを紹介します。
2-1. 足首の活用
まずプールでもお風呂でも良いです。腕を足に見立ててデモをやってみましょう。
両手を前に真っ直ぐ伸ばします。手のひらを上に小指どうしがくっ付く水面近くです。
この状態から平泳ぎのキックをイメージして腕を肘から曲げていきます。
手首を柔らかく手のひらが水面下を並行に移動するように肩に近づいてきます。
マックスまできたら、溜め込んだ肘のエネルギーの反発を利用して手のひらと腕の内側を使って蹴り出します。
この蹴り出しのフィニッシュは手首の反発を利用して手のひらが上を向き小指どうしがくっつき、さらに水面近くに浮上するようなキックのフィニッシュを迎えます。
いかがでしたでしょうか、腕で行うデモで手首の重要性が如何に大切だと言うことが理解できたと思います。
この腕のデモで水流が真っ直ぐ後方に発生するキックが最善のキックだと言えるでしょう。
そこでキック方法で一番良い方法を自ら検証してみてください。その方法を提案すると以下のようになります。
キックデモのポイント
・両手(足)の間隔
・蹴り出し角度
・フィニッシュの方法
以上が腕によるデモの解説でした。この腕でイメージができたら、現実に自身の足によるキックを試してみましょう。
両足がお尻に接近してきた時、足首の柔らかさが強い推進力を産み出します。
平泳ぎのキックは足の大きさ、足首の柔らかさが大きなポイントとなります。
2-2. フィニッシュに意識
フィニッシュの重要性については既に解説したところですが、このフィニッシュ如何で推進力に大きな違い出てきますのでよく練習して欲しいと思います。
いくら回転数が上がってハイピッチになったとしてもこのフィニッシュが効果的に生かされていなければなりません。
大切なポイントを指摘しておくと
もちろん足は決して水上には出現しません。
もし、この強いフィニッシュのあるキックの後方に人がいたとしたら、その人はキックによる強い水流を感じるはずです。
大きく両足が開くようなキック、そしてその足を挟み込むようなキックでは大きな推進力は望めません。
足首が大きく円を描くような一撃のキックでフィニッシュまで持っていけるようなキックが実現するようにしっかり練習して欲しいと思います。
3. 推進力を維持するスイムのポイント
次にキックによって生じた推進力を減衰させないスイムのポイントです。
上の画像は平泳ぎのレジェンドスイマーの北島康介選手の呼吸タイミングの画像です。
あの強靭な肩幅の北島選手が最も抵抗を受ける呼吸時、進行方向に対する投影面積のマキシマムな姿が感動的です。
脇を締めて肩をまるめ、まるめた肩幅の投影面積の中に腕全体が隠れてしまっているように見えます。
この水の抵抗を最小限にしようと意識的なスイムフォームには心を打たれます。
どうぞこのストロークのイメージを忘れないように練習して欲しいと思います。
ただ、この北島選手のストロークのようなテクニックを我々がやろうと思ってもなかなかできるものではありません。
3-1. かかないイメージ
キックによる推進力に加えてストロークでも推進力を生み出そうと言う考え方については私は反対です。
従ってスロークは呼吸するタイミングを作り出すスカーリングだとイメージする方が返って良い効果を作り出すと思います。
キックが進まないような状態では尚更です。
3-2. 失速状態がないタイミング
それから、呼吸時に上半身に大きな抵抗を受け、極端な場合失速状態で呼吸しているスイマーをよく見かけます。
この呼吸時の減速・失速が発生しないように呼吸時のフォームを鏡をみて研究してみてください。
是非試してみてください。
4. まとめ
平泳ぎのキックが進まない!
この状態を改善するための2つの視点を詳しく解説してきました。
すなわち、キックそのものの強化方法、そしてキックによる推進力を失速させないスイムフォームについて検証させていただきました。
さらにそれぞれに重要なポイントを詳しく解説してきました。きっと参考になったことと思います。
平泳ぎの練習にはキック練習に多くの時間を割いてキックだけで今までの平泳ぎのスピードが得られるくらい練習すれば、格段に平泳ぎが上手になります。
すなわち平泳ぎキックで進まないのはキックが弱すぎるのです。もっともっとキック力をつけるようにしましょう。
そしてそのキック力はパワーではなく、足首の柔らかさであることもしっかりと頭に入れておきましょう。
テレビを見て寛ぐ時も常に足首を回して柔らかくする努力を惜しまないようにしてください。
平泳ぎはパワー勝負ではありません。非力な人でも大きなスピードを作り出せる泳ぎ方です。苦しくて辛い種目ですが、知恵の勝負が平泳ぎです。
このことを申し上げてこの記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。
ありがとうございます。
なお、以下の記事もとても興味深い内容になっていますので是非ご一読いただけたら幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。