【水泳競技のリレー種目】引き継ぎのタイミングは厳格に!でも果敢な攻め

水泳競技種目の花形といえばリレー種目ですよね。

このリレー種目にはフリーリレーとメドレーリレーがあり、エントリー選手は個人種目のトレーニングと併せてリレーの引き継ぎタイミングについても十分納得が行くまで練習をしていると思います。

この記事ではリレー種目で共通してタイミングを合わす方法、そしてリレーのケース毎にタイミングを合わす上で重要な点についてまとめて解説しておきたいと思います。

引き継ぎのタイミングというのは一概にこうすべきというものがあまりなく、個人によって得手不得手や、やり易さといった様々な課題があり、タイミングを取る上で配慮する状況が異なります。

最近は全自動計時システムが普及しており計時、そしてフライングの判定など従来、目視判定していた項目がほとんどコンピュターシステム化されていますので、判定が非常に厳格になっている点も配慮しなければなりません。
いしはら
こんにちは!

けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。

1. 水泳競技のリレー種目

リレー引き継ぎ

リレー引き継ぎのタイミング

水泳競技の中でリレー種目にはフリーリレーで4×50m、4×100m、4×200mの3種目

メドレーリレーでは4×50m、4×100mの2種目

そして混合フリーリレーは4×50m、4×100m

混合メドレーリレーは4×50m、4×100mがあります。

いずれの競技も競技会の花形!チームの栄誉をかけて一丸となって力泳する姿は感動を与えます。

さてこのリレー種目の引き継ぎについてルール上の規定、そしてフライング判定についてまず見ていきましょう。

1-1. 引き継ぎルール

まず(公財)日本水泳連盟、競泳競技規則では次のように定められています。

リレー競技においては、前の競技者が壁にタッチする前に次の競技者の足がスタート台を離れた場合はそのチームは失格となる(SW10.11)

これがリレーの引き継ぎ規定です。

では個人レースの場合の規定を今一度見ておきましょう。

出発合図員の号令によって、競技者はスタート台前方に少なくとも一方の足の指を掛け、速やかにスタートの姿勢をとる。その際、両手の位置に関する制限はない。

全ての競技者が静止したら、出発合図員はスタートの合図をする。(SW4)(背泳ぎ・メドレーリレーのスタートは水中から行う。)

こう規定されています。

この規定の違いに注目して欲しいのです。リレーにおける第1泳者は個人レースの適用を受けますが、2泳者以降はリレーの規定の適用範囲内ですから、静止の必要がありません。

従って反動をつけようが、手を振ろうが、スタート台上でステップを踏もうが足の離れるタイミングさえフライングを犯さなければ違反とはならないのです。

では次にリレーの引き継ぎに関する上記ルールの判定はどうなっているのか見ていきましょう。

1-2. 引き継ぎの判定

筆者の私が学生の頃は完全に目視判定です。

ですから引き継ぎに際しては必ず水を飛ばしてゴールタッチをしました。

私は平泳ぎが専門でしたからストローク中は両手は真っ直ぐ水中を伸ばしますが、ゴールの時は両手で水を飛ばしてました。

多分水の方が両手より先にゴールして判定員や計時員の目をごますという姑息なゴールをしていました。(笑)

でも今はほとんどのレースが全自動コンピューター制御による自動計時システムで管理されていますので計時、そしてフライング判定、引き継ぎの成否判定も全て機械が判定しています。

ポイント
スタート台が一種の体重計の働きをしており台が体重を感じなくなればリアクションと判断するシステムとなっています。

そして前の泳者とのゴールタッチのタイミングを判定しますからー0.03秒までが許容範囲とされていますがほぼゼロと言えます。

従って水を飛ばしたからといってなんの意味もなく、前の泳者はいかに速くゴールタッチができるかタイミングを考えなければなりません。

リレーオーダー

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2. 引き継ぎのタイミングは厳格に!

では次に引き継ぎのタイミングの取り方について述べていきたいと思います。前章では引き継ぎについてのルールと判定方法について述べましたのでこの点を十分把握した上でうまくタイミングを取らなければなりません。

引き継ぎの実際の練習風景の動画を参考にしていただきたいと思います。

2-1. タイミング(手振り)

私の場合フリーリレーであれメドレーリレーであれ同じですが、

両足の指をしっかりとスタート台に掛けた状態で、両手と膝の屈伸を使って前の泳者のストロークを追います。

いしはら
1泳がラスト10mに来たらその位置に両手を合わせゴールに近く動作に合わせ両腕が動き最終的にバックスイングをしてその反動で飛び出すという感じです。そして同時に1泳に合わせて膝の屈伸も深くなっていくという感じです。

そして最後のゴールに向かう腕がリカバリー中に飛び出すとイメージです。

そして足がスタート台を離れる瞬間に1泳のゴールタッチが行われるというタイミングです。

2-2. その他考えられるタイミングの取り方

その他考えられるタイミングとしては、以下のようなタイミングが考えられますが個人レースのように全くの静止状態からスタートするというのは少々考えにくいことではありますが、これも正確さから言えばあり得ます。でもここでは省きたいと思います。

2-2-1. 両足をかけて、腕を振らずにスタート

ポイント
手を振らずにスタートすることでタイムロスを無くすという考え方によるものです。手を振らないことで足が離れるリアクションの正確性が増すとは思いますが、飛距離の点ではデメリットがありそうです。

でも練習が十分でなかったり、腕を振らない方がタイミングを取りやすい選手は手を振らずにスタートしています。

2-2-2. 初めはクラウチング、飛び込む時に両足

ポイント
>最近のスタート台はバックパネルが装着されている施設が多いのでこのパネルを使ってクラウチングの姿勢から1ステップして大きな反動を使ってスタートするものです。

世界水泳などの映像を見ていると、台の前に足をかけずに両足ともステップしてより強い反動を使ってスタートする選手も見受けます。

このタイミングは相当の練習を積んでいなければ正確な引き継ぎはできないでしょう。

3. 厳格な上にも果敢な攻めを!

個人レースの場合、日本選手権や世界水泳の映像を見ていて画面にスタートの時のリアクションタイムが表示されますが、素晴らしい反応を見せる選手のリアクションタイムは0.5秒台です。

平均的にいっても0.6秒台でしょうか、マスターズ水泳大会のレースなどでは0.7秒くらいだと思います。

ポイント
リレー種目4人のベストタイムの合計を考えると4人のリアクションタイムがあるわけでリレーの結果タイムは少なくてもリアクションタイムが0.6秒だとすれば0.6×3人の2秒近い短縮が可能になるのがリレー種目となるのです。

この差は非常に大きなものです。決して無視はできません。

いかにルール上認められている静止の必要ない利点を生かして、上手にタイミングをとっていかに飛距離を伸ばして2泳以降がスタートできるかが記録の成否に大きく影響を与えます。

3-1. 引き継ぎのタイミング例

ではリレー種目の引き継ぎをケース毎に特徴を見ていきましょう。

引き継ぎで重要なのは飛び込む泳者はもとより、引き継ぐ前の泳者のゴールタッチのタイミングがとても重要です。スタートで飛び込む泳者は一様のタイミングで飛び込んで来ます。

いしはら
飛び込む泳者はゴールタッチを確認して飛び込んでいるわけではありません。言ってみれば「カン!」で飛び込んで来ます。

従ってゴールタッチが乱れてはフライングを犯してしまいます。ゴールタッチはいつもの練習と同じようにタイミングを合わす必要があります。

3-1-1. 自由形から自由形

まずフリーリレーの場合の引き継ぎを見ていきましょう。

引き継ぎは飛び込む人にとってはスタートであっても、泳いでいる人にはゴールです。そのゴールタッチは完璧なゴールとならなければなりません。

ラスト5メートルになればノーブレッシングで最大の回転数のストロークになると思います。

ポイント
個人種目では次のストロークに入るよりも水中を伸ばしてゴールする場合もあると思いますが、リレーの場合に限ってはこの流れるタッチはやめるべきです。

スタートする次の泳者は泳いでいる自分のゴールのタイミングでスタート態勢に入ります。そのタイミングが乱れないようにゴールタッチすることが重要です。

3-1-2. 背泳ぎから平泳ぎ

メドレーリレーの1泳から2泳への引き継ぎです。泳いでいる1泳は仰向けですからゴールは見えません。

スタートする2泳は1泳者の頭と腕の動きを凝視してタイミングを合わせてスタート態勢に入っています。

ポイント
ラスト5mのフラッグを通過したら何回のストロークでゴールできるかよく理解できていると思いますので、壁が見えなくても見えない壁に向かってラストのペースが乱れないように果敢にゴールしましょう。

3-1-3. 平泳ぎからバタフライ

メドレーリレー2泳から3泳への引き継ぎです。この引き継ぎはとても難しいタイミングとなります。

平泳ぎはスピードが一定ではありません。ストローク中両腕は伸びた時は最高の推進力がありますが、腕を胸に脇を閉めた時から両足が折れ曲がる瞬間には失速します。

このスピードが変化するペースとタイミングを合わすのは非常に難しいところです。

このタイミングは飛び込むバタフライ泳者の腕の見せ所です。

ポイント
平泳ぎ泳者はラストの一かきになるであろう判断を正確に行いましょう。

3-1-4. バタフライから自由形

メドレーリレー3泳からアンカー4泳への引き継ぎです。

バタフライ泳者も平泳ぎ同様に腕が左右対称でのゴールタッチですからこのゴールタッチでタイミングがうまく合うようにするには非常に難しいところですが、自分のストロークのリズムを考慮して上手に距離を合わせましょう。

ポイント
ドルフィンキックでラストタッチするようなゴールはアンカーへのタイミングが狂ってしまいます。ラスト5mのストロークには注意を払いましょう。

3-2. 練習で果敢に攻める引き継ぎ

何と言ってもリレーの引き継ぎは前を泳ぐ泳者はゴールであり必死です。そして飛び込む泳者はスタートです。

この精神的ギャップは引き継ぎに大きな影響を与えます。

従って望ましいのはリレーのオーダーが決まればそれから引き継ぎ練習にも時間を割くことが必要です。そしてその練習如何が勝負を決める、ベスト記録更新の鍵であることは言うまでもありません。

そしてその練習も実際の精神的局面を再現しなければなりません。そのためにもゴールする泳者は100%以上の全力力泳でなければなりません。

少なくても10m以上の距離は必要です。5mくらいの距離では100%のスピードはできません。またストロークのタイミングも実践的ではありません。

一番いいのは25mプールでメンバーでリレーをやり続けるような練習が実践的でスピードアップ練習にも効果的です。

引き継ぎだけの練習を何度繰り返しても実践でのタイミングを合わすには意味がないと私は思います。
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4. まとめ

水泳競技の花形、リレー種目!

このリレー種目へのエントリーがあってこそチームの存在です。

私も所属するクラブでリレーが組めていた頃がとても充実していました。

水泳競技会の要項がクラブに届き公表されれば是非にもリレー種目にも名乗りをあげましょう。

名乗りをあげてもリレー選手にエントリーされるかはまだ未定です。クラブ内選考がありかもしれません。その場合にはクラブ内での競争があり、個人種目のモチベーション向上にもとても効果的です。

そうした副次的な効果が期待できるリレー種目です。「私には無縁!」と考えずに少しのチャンスをもものにできるように果敢にチャレンジしましょう。

いしはら
クラブ内でリレーオーダーが組めない時、無理にでもエントリーして、機運を盛り上げ仲間たちと楽しみましょう。その機運が個人自身のレベルアップにも非常に役に立つことでしょう。

リレー種目はフリーリレーだけでなく、メドレーリレーの両方にチャレンジしましょう。

マスターズでは4人の合計年齢の制限がありますのでイベント要項をチェックしましょう。

最後にリレーの引き継ぎにおけるタイミングの大切なチェックポイントを整理しておきましょう。

チェックポイント

・自分に相応しい、引き継ぎスタートのパターンを決めましょう。

・引き継ぎにおいては体が自然に反応できるようになるまで練習を重ねませよう。

・競技中にはタイミングなど意識せず最高のパフォーマンスを!

そして積極的にリレーメンバーに自らエントリーを希望して新しい挑戦にトライをしましょう。

水泳競技会へのマインドをあげて積極的になる事が個人のレベル向上にはとても大切です。リレー種目を再認識していただければ幸いであると最後に申し上げてこの記事は以上とさせていただきます。

最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。ありがとうございました。

 

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