潜水といえば子供達の大好きな遊びだと水泳愛好家にとってはほとんど練習しないかと思います。
でもこの潜水こそクロールがより速く、より上手になる秘密があります。
紡錘形の美しい体型をしたイルカが美しい姿で水中を猛スピードで泳ぐ姿を思い浮かべ、ダイナミックでかつ優雅に泳ぐクロールを目指しましょう。
そして潜水練習をメニューに含めることで単調になりがちなクロール練習に遊び心で補いながら楽しく泳ごうではありませんか・・・
1.【クロールVS潜水】速さの秘密
水泳で一番速い泳ぎはクロールです。これは世界記録や日本記録を見れば一目瞭然です。
では潜水はどうなんでしょう。
スタートおよび折返しの後、身体が完全に水没してもよい距離15m を除き、競技中は泳者の身体の一部が水面上に出ていなければなら ない。壁から15m地点までに頭は水面上に出ていなければならない。
(財)日本水泳連盟 競泳競技規則(自由形)より抜粋
1-1. クロールの速さ
バタフライとクロールとの速さの比較はどうなんでしょう。水泳競技で考えてみるとバタフライは両手タッチゴールがルールであるためターンでクイックターンは認められていません。
でも競技のファイナリストでフリーリレーでバタフライで泳ぐ選手は見たことがありません。フリーリレーですからバタフライ・クイックターンで泳ぐのも理論的にはあっても良いかもしれません。
こうした現実からやはりクロールが最速だと言えると思います。
そのためスイマーのパワーをスピードに最大限活かせる泳ぎ方はクロールに上がるように考えています。
1-2. 潜水の速さ
潜水のスピードは飛び込んだ初速を減速することなく前進するために水中での抵抗を最大限抑えることができればその速さは素晴らしいです。
先ほども述べましたが水泳ルールで認められている潜水状態は15mと定められていることから各選手ともスタート・ターンとも浮き上がるまでは潜水状態で速さを維持しているのが想定されます。
イルカで例えるとイルカの推進力はテールを使ったドルフィンキックと紡錘形の体型ですので、人も速さを追求するには強いドルフィンキックと紡錘形に近い水中姿勢を維持する潜水技術を会得すれば15mの潜水を有効に活用することが可能になります。
1-3. 潜水VSクロール
では潜水とクロールを比較してみましょう。どちらが速いのかを比較するよりはメリットデメリットをみていきましょう。
1-3-1. 呼吸
クロールのメリットはクロール開始と同時に呼吸が可能ですが潜水は浮上するまで呼吸ができないのは言うまでもありません。
そこでルール上認められた15m有効に活用した心肺能力があれば非常に有効です。
1-3-2. 水の抵抗
次に水の抵抗ですが、クロールは浮上してストローク開始と同時に水中抵抗と波の大きな抵抗を受けます。この大きな抵抗を受けながら速さを追求するにはより強力なパワーが必要です。
でも潜水は水中の抵抗だけですから紡錘形の姿勢が維持できれば減速は抑えられます。
従って紡錘形を維持しながら推進力を生み出すキックがドルフィンキックが有効です。
1-3-3. ストリームライン(蹴伸び)
潜水が上手になるにはまずストリームライン(蹴伸び)の技術が必須です。水泳選手の素晴らしいストリームラインはまるで芸術的です。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
2. より上手に泳ぐコツ
クロールを例にしてよりクロールが上手に泳ぐために潜水練習はとても有効です。是非日々の練習メニューに入れて欲しいと思います。
潜水は何よりも遊び感覚で取り組めることができます。
2-1. 水中姿勢
上手なクロールの実現のためには水中姿勢如何にかかっています。決してパワーではありません。
非力な子供達や女性がマッチョ男性より速く泳ぐシーンを見れば一目瞭然です。いかにパワーでないかが理解してもらえると思います。
すなわち水中姿勢いわゆるストリームライン(蹴伸び)です。
クロール(水泳)が上手かどうかはこの水中姿勢で判定できるほど大切です。
上手な人は練習でこの水中姿勢が自ずと会得してくるのです。言い換えれば練習で泳いだ距離に比例するでしょう。
ですからこの水中姿勢をよく練習した人はクロールの上達の速さが大きいと言えるでしょう。
その意味で潜水練習いや潜水遊びを楽しみましょう。
2-2. 初速のパワーアップ
上手に泳ぐためには速さよりも楽に泳ぐことが必要です。速く泳げば直ぐに疲れその疲労は姿勢が乱れより抵抗を生み出し、これは負のスパイラルに陥ってしまいます。
ですから楽に泳ぐことを考えましょう。そして少しでも長く泳ぐことを第一優先に考えましょう。
・素早いストリームライン
・お腹を凹ませストリームラインを維持
・有効なドルフィンキック
これらのポイントは何も上級者向けではありません。初心者もしっかりと意識しましょう。
そしてこれら全て潜水テクニックと共通ですから潜水練習はとても有効です。
2-3. 心肺能力
水泳練習は自然に心肺能力が向上します。でもより早く向上するためにも水泳練習を頑張りたいものです。
そんな中で遊び心満載で取り組める潜水はとても効果的な練習です。
ドルフィンキック潜水で軽々と25mターンできるようになるとそれはそれは素晴らしい心肺能力が備わっていることでしょう。
2-4. 注意点
辛くなると無酸素状態となり、肉体には無酸素状態となり乳酸が蓄積され悪影響を及ぼします。選手向けの練習なら積極的に乳酸練習をやりますが、水泳愛好家はあくまで常に有酸素水泳を頃がけるようにしましょう。
そして苦しい時は第1ストロークで必ず呼吸をしましょう。この第1ストロークで呼吸しないで泳げるような心肺能力を早く身につけましょう。
3. より速く泳ぐコツ
上手に泳ぐことこそ、より速く泳ぐことにつながります。
速さを追求するために陸トレで筋トレばかりするのは私は反対です。競技目的ならまだしも一般の愛好家にとっては筋トレする時間があれば泳ぎ込みに費やした方が有効だと思います。
ただ、特にシニアスイマーにはウオーキングだけは怠ってはなりません。水泳練習だけでは下半身の筋肉の衰退は免れません。折に触れて下半身を鍛えることはしっかり頑張りましょう。
私は筋トレというよりもウオーキングで十分です。速く歩いたり、速く歩いたりをミックスすれば足腰を鍛えるに十分です。
ではより速く泳ぐためのポイントを3点解説していきましょう。
3-1. スタート・ターンの重要性
速く泳ぐためにどうしても身につけたいテクニックはスタートとターンです。
プールで泳ぐにはこのテクニックで速さは大きな差として現れます。一般的に言って、水泳が上手な人はスタート・ターンは水泳のレベルに比例して上手なのは言うまでもありません。
だからこそ、スタートやターンの練習は日々の練習で時間を割いて頑張って欲しいと思います。
特に強調しておきたいターンのポイントは以下のとおりです。
・ターンから浮き上がりにはドルフィンキックで初速を維持
・ターン時、壁を蹴るパワーがMAX
クイックターンについては以下の記事を参考にしてください。
スタートについては以下の記事を参考にしてください。
3-2. 第1ストロークの無呼吸
スタート・ターン終了後浮き上がり、一番最初のストロークは一般的に利き腕でかき始めると思います。
さらにこの励行によって心肺能力の向上が期待できます。
初心者にはまだまだ無理があるかもしれませんが速さを追求するには有効な手段であることは頭の片隅においておきましょう。
3-3. 常に紡錘形を意識
水中姿勢で一番速い姿勢は何と言っても紡錘形の姿勢です。
一番抵抗のかかる両肩は極限まで伸ばした両腕で耳を塞ぎ込むような姿勢で上半身の紡錘形姿勢が維持できます。
下半身の沈み込みは体幹部の筋力でカバーしましょう。
これらの練習を潜水で身に付けると楽しく練習できると思います。
4. まとめ
潜水とクロールとの速さについて検証することで水泳がより上手に泳ぐコツが見えてきたと思います。特により速く泳ぎたいとの願いを実現するために水没中のテクニックがとても重要である点を強調してきました。
でもここで別の視点から考えると、泳ぎの速さの追求はいかに楽に泳ぐかととても深い関連があります。
速く泳げる人はとても楽に泳ぐことにも長けた人です。
ひょっとして楽に泳ぐことをマスターする方が速く泳げることに繋がるかもしれません。
1日の練習の中でゆっくりと楽に泳ぎながら、より紡錘形に近い姿勢をイメージして練習する。
そして自分を追い込むハードな練習やMAXの速さで泳ぐスピード練習。
こんなメリハリのある練習がより上手により速く泳げることに繋がる気がしています。
そして、シニア世代にも是非どんどん潜水など遊び心のある練習もやっていただき、気分転換を取り入れて泳いで欲しいと思います。
そんな練習の中で新しいイメージが掴めるかもしれません、どうぞ飽きのこない練習を続けていきましょう。
と言うことでこの記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。
ありがとうございました。
なお、以下の記事もとても興味深い内容となっていますのでご一読いただけれ嬉しいです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。