水泳競技の結果などを表示する略称に「dns」「dnf」「dsq」などがありますが、紛らわしく意味がよく理解できない人も多いと思います。
そして少しでもメンタル面の強化につながってもらえれば幸いです。
私の長い水泳人生で何度も「dns」は経験しています。
でも「dnf」は一度も経験はありませんが、「dsq」については私の専門種目が平泳ぎですから何度も悔しい経験があります。
まずは、勇気を出して何も考えず、無心でスタート台に立ちましょう。
1. 水泳競技会の結果に表示されるDNSとは何?
水泳競技会の電光掲示板に記載される略号の中で紛らわしい3つについて今一度、整理しておきましょう。
・dnf:Do not finish スタートしたにもかかわらずゴールできない「途中棄権」
・dsq:Disqualified 「競技失格」
この中で私にとってはdnfの途中棄権の経験はありませんが、dsqの競技失格は私の専門種目が平泳ぎだったので何度も経験があります。
たとえば昔の競技規則では水泳中、頭の水没禁止、スタートやターン時のドルフィンキック禁止、など厳しく何度もdsqをやりました。
でも今では規則も緩和されてきましたので水泳中の競技違反によるdsqはほとんどありません。
さてdnsのスタート前の棄権については本当に悩ましい問題です。私もこのレース前の緊張感は今でも変わることなく辛いものです。
いきおいdnsの誘惑に駆られ葛藤する日々を送ります。
学生時代のように高い目標とモチベーションで練習を頑張ってきた後の競技会では全力をレースにぶつけるだけで、dnsなどという感情はあまりわいてきません。
たとえ、dnsの気持ちが湧いてきたとしてもコーチや同僚メンバーの手前、その気持ちに打ち勝つメンタルは有していました。
でもシニア世代の競技会にあっては、「そこまで頑張ることもないではないか・・・」などと、そんな甘えと競技会から逃れたい気持ちがどうしてもわいてきます。
この記事ではそんなdns対策についてその傾向と対策、メンタル面を中心に解説させていただきます。
2. dns回避の対応策とメンタル強化
水泳競技会にエントリー後、突然の事故や体調不良によってdnsやむを得ない事態となった場合には水泳担当インストラクターに連絡、決められた手順でdnsの手続きを行わなければなりません。
また、一人で競技会にエントリーする場合には一人で手続きをしなければなりませんので所定の届などの手順を把握することは当然のことです。
でもエントリーはしたものの、水泳競技会の1月ほど前から、緊張感が少しずつ高まり、その緊張感に押しつぶされそうになってきます。
2-1. dns葛藤を検証
水泳競技会にエントリーするのは、また今年も頑張りたいとの強い気持ちから、今年は去年よりも良い記録を出したいとの気持ちが強くエントリーするのですが、レース前1ヶ月くらいになるとdnsしたいとの気持ちが湧きあがってきます。
なぜそんな気持ちになるのでしょう。
2-1-1. 練習が思うように進まない
水泳競技会前1ヶ月になると1500m~2000mくらいは泳ぐと思うのですが、なかなか練習内容の充実が感じられないのでしょう。
なぜレースにエントリーしたのだろうと後悔の念が芽生えていきます。
そして400mとか500mをペースを少しあげて自分を追い込みましょう。すると葛藤を封じ込めるほど水泳に集中できます。
400m3本とか4本とか徹底してハイペースロングでスタミナ練習が効果的です。
そして練習の最後に50m×5とか25m×5とかのスタートダッシュで全力ダッシュをして瞬発力を養いましょう。
dnsの葛藤は少し和らぐと思います。
2-1-2. 練習でなかなかタイムが伸びない
次に練習でなかなかタイムが伸びないときにもdnsの葛藤が沸き上がるケースです。
単調な練習ではなかなか良いタイムはでません。水泳は速さを競うレースなのですから良いタイムすなわち昨日より速いタイムが必要です。
その積み重ねがレースでよい記録が出るものです。
若い時にはいくら練習での記録が平凡であっても、いざレースになれば驚くような自己ベストが出るなどはよくあるケースです。
それは身体の成長期でもあり、水泳環境がいつも練習プールとは違いレース会場となると、身体も敏感に反応して良いタイムが出ることが多いです。
でもシニアクラスになると、練習で出ない記録はレースでは絶対に出ないと考えるべきです。
ですから、自分の目指すタイムは必ず練習で出しておく必要があります。そのためにも練習を頑張らなければなりません。
その強い思いがあって練習を重ねていれば必ず目標タイムは実現すると思います。いや実現するはずです。
目標タイムが実現しないのはレースへのdnsの葛藤があるからです。その葛藤は目標タイムを出すことで乗り切りましょう。
2-1-3. スタート台に立つ緊張に耐えられない
水泳の競技会で最も緊張するのは何と言ってもスタート台、緊張のあまり足がガクガク、動悸が激しくなりスターターのフォイッスルが鳴った時、整然とスタート台に登れないほどの緊張が襲ってきます。
この緊張に耐えられないとの気持ちがレース前1ヶ月くらいの練習中に沸き上がってきます。
練習メニューをこなすのはどうってことは無いのですが、このストレスから解放されたいとの気持ちがもうレースをdnsしたいとの気持ちが強まってくるのでしょう。
その気持ちは本当によくわかります。
でもスタート台に立てる喜びという感情も同時にあるのです。もし重篤な病気やケガで1年、2年と練習ができなければスタート台に立つことは不可能なのです。
緊張感というプレッシャーに打ち勝ってこそ水泳選手アスリートなのです。
コース台に立たなければその辺のごろごろいる水泳愛好家の域に逆戻りなのだと、自分に言い聞かせましょう。
2-1-4. 胃がキリキリと傷みだすほどのプレッシャー
レース前2週間くらいになるとひどい時は胃がキリキリと傷みだすほどの自覚症状を覚えることもよくあるでしょう。
でもそれは良い記録を出したい一心からのプレッシャーでしょう。
胃が傷みだすほどのプレッシャーは良い刺激と受け止めましょう。
2-2. dns葛藤を克服する対応策
前述したように水泳競技会に臨むにあたって1ヶ月ほどまえからdnsしたいとの気持ちが沸き上がり精神的に楽になりたいと考えるのはトップアスリートであれシニアの水泳選手であれ同様の気持ちです。
背中に感じるプレッシャーが強いほどdns葛藤は激しいものです。
でもどのようにメンタルを強くしてレースに臨む、日々の練習に打ち込めばいいのでしょうか・・・
2-2-1. どうして水泳を始めたのですか
あなたはどうして水泳を始めたのですか、水泳が好きだからですか、水泳が得意だからですか・・・
いろいろあると思いますが、本当になぜ今、水泳をしているのですか自分に問いかけてみましょう。
ひょっとしたら答えが見いだせないのかもしれません。
でも私も同じ気持ちなのですが、水泳が好きなのです。泳いでいると楽しくなるのです。
違いますか、水泳を長く続けている人は皆一様に水泳が楽しいのです。きっとあなたも同じ気持ちだと思います。
そして長く末永く水泳と共に生きていきたいと願っているはずだと思います。
2-2-2. どうして水泳競技会にエントリーしたのですか
ではなぜ水泳競技会にエントリーしたのですか、それはクラブのインストラクターからの勧めもあったでしょう。
でも決断したのは貴方自身です。なぜエントリーに至ったのか自分に問いかけてみましょう。
私ならこう答えます。私の人生を振り返って生きてる証、公式記録として確実に残っている生きている、水泳を頑張っていた証です。
いかがですか、貴方はなんと答えるでしょうか・・・
私は子供の頃とても引っ込み思案で内気でした。でも水泳を始めて続けてこられたお蔭で人前に立つ度胸も人前で話す度量も備わりました。
でも今でもスタート台は緊張です。その緊張を乗り越えてスタート台でまっすぐ前を向いて直立する瞬間が最高の晴れ舞台だと思います。
変な姿ではこのステージには立てないと日々練習を怠りません。
と私自身が主人公の物語をイメージしてエントリーしています。
2-2-3. どうしてdnsしたいのですか
ではなぜ、dnsしたいのでしょうか?
わたしの葛藤する中でdns最大の理由は、緊張感から逃れたいと思う気持ちです。
でも緊張感から逃れてdnsの後は、dps後の後悔の念にまた憂鬱になってしまいます。
2-2-4. dnsしてどうなるのですか
今も述べましたdnsすればどうなるのか緊張感から逃れて楽にはなるかもしれません。でもご自身の定めた目標を自らdnsしてしまう後悔の気持ちはきっとdnsよりも強くのしかかると思います。
dnsを申告してその水泳競技会に出席せずに家にいたとします。また競技会場に出向きその中でdnsを決意した場合などいろいろなケースが考えられますが緊張感から解放されたとしても暗い気持ちには変わりはありません。
2-2-5. 楽しくないのであれば水泳競技を止めましょう
でも一つだけ忠告です。どんなにつまらなくても一度でいいですから、遅くても良いのです、スタート台に立って、実際のレースに参加体験してみましょう。
一番短いレースの25mで良いのです。
きっと違った世界を体験することができると思います。そして今まで水泳を頑張ってきた光景とはまるで違ったものが見えるを貴方も感じ取ってもらえると確信しています。
2-3. dns回避のためのメンタル強化
2-3-1. 勇気を出して招集場へ
レースの当日を迎え会場がオープンされれば、クラブメンバーとともにエリアを確保、そしてウオーミングアップに入ります。
沢山に選手が並んで順番を待っていますが、4、5回は練習できると思います。
スタート台の高さや傾斜、そして号砲が鳴って入水までの感触、そして浮き上がりなど絶好の練習チャンスですからサブプールでのウオーミングアップに夢中で公式スタート練習を見逃さないようにしましょう。
さあ、開会セレモニーがあって、個人種目のレースが始まります。
ローカルルースによって5レースほど前には招集場にいかなければなりません。
朝のウオーミングアップから自分のレースまで相当の時間がある場合にはもう一度のウオーミングアップ方が良いかもしれません。
ともかく身体をほぐして万全を期しましょう。
そしていざ招集場へ!
この時最後のdns葛藤が起こります。このまま帰ろうか・・・
水泳とはいかに辛くてメンタル的にも辛い競技なのでしょうか!つくづくそう思います。
でもここまできたのですから、dnsなどという選択肢はもうのこされていません。いざ出陣あるのみです。
やっと待ちに待ったステージに立てる瞬間なのですから・・・
2-3-2. スタート台では無心
さあ、招集会場で1組ごとにレースが済んでいきます。招集会場最前列に座っています。
あとは作業ベルトコンベヤーに乗ったも同然、前のレースがスタートをするのを待つばかりです。
さあ、前のレースがスタートしました。招集員の指示に従ってスタート台に向かいます。
その時プールサイドを見るとごみバケツのような容器に水が満たされています。この水を身体や顔にかけて刺激を与えましょう。
そしてゴーグルを水に濡らしておきましょう。
さあ、前のレースの選手がゴールしてプールが空きました。あとはスターターのフォイッスルを待つばかりです。
細くて長い呼吸をしてホイッスルを待ちましょう。
いざ・・・!
3. 素晴らしいスタート台からの光景を忘れずに
お疲れさまでした。今の爽快な気分はいかがですか!
スタート台の光景はいかがでしたか!最高だったと思います。
dnsとの葛藤に打ち勝って、レースで全力を尽くした後の充実感は最高だと思います。
記録など二の次です。まずはdsqなく完泳おめでとうございます。
さあ、いかがでしたでしょうか、あれだけ苦しんだdns葛藤、済んでしまえばたわいのないことなのです。
でも次のレースにはまた同じような葛藤が沸き上がります。
水泳とは本当に辛い競技だと思います。
陸上競技のスタートとはまた少し違った緊張感があるかもしれません。それは飛び込みがあるからかもしれないですね。
でも一度体験したレース後の感動はまたレースに参加したいと思う気持ちが再燃することでしょう。
辛ければ辛いほどdns葛藤に悩まされます。
苦しい練習なのですが、この練習が気持ち的には楽しいものであるよう自分のメンタルを鍛えていきましょう。
25m×10、50m×10はとても辛いです。
でも問題意識、テーマを持って練習に取り組むこと、単に練習メニューを消化するだけでなく、フォーム重視でいくか、ストローク改善かピッチ改善か、何かテーマを持ってそのテーマに向かって練習メニューに対応する姿勢!
これがメンタルを強くする方法だと思います。
練習を消化するだけ、水泳競技会を消化するだけだと必ずdns葛藤が強くなるでしょう。水泳はとても奥の深い競技です。テーマをもって何か学べるものを会得するポジティブな気持ちで水泳を楽しんでください。
4. まとめ
以上、水泳競技でよくあるケーススタート前棄権dnsについて、
やむを得ない事情の場合は別として、なぜdnsの気持ちが湧いてくるのか、メンタル面のいろいろなケーススタディを中心にまとめてきました。
いかがでしたでしょうか、きっと今後レースに臨まれる方々には参考になったかと思います。
私の水泳歴60年で、dnsは何度あったでしょうか、あまり数えたことはありませんが、仕事の都合でdns止む無きに至ったケースは何度かあります。
でもそれは自分の胸に手を当てれば、仕事という逃げ場所に逃げ込んだだけで、水泳競技の緊張感に耐えられらなかったのです。
そしてレースに参加する身体づくりに対応できる自信がなかったから仕事という簡単な逃げ場所を選んだのです。
でもそのあとの後悔が、やはり次の競技会ではきっとエントリーと決意したものです。
私の例ばかりで恐縮でしたが、少しでも押しつぶされそうなスタート前の緊張感とプレッシャーの支えになれば幸せです。この記事は以上とさせていただきます。
最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。ありがとうございました。
なお水泳関連で次の記事もとても興味深い内容となっていますのでご一読いただければ幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。