水泳は筋トレ効果が期待できるのでしょうか?
この問いに答えるとすると、水泳における筋トレ効果は泳ぐために必要な筋肉は強化できますが、意識的に練習しなければ筋肉強化は難しいと言えます。
もっとかみ砕けば、上半身や体幹部の筋トレ効果は期待できても下半身の筋肉を鍛えることは意識しなければ難しいと言えるでしょう。
もし貴方が水泳で筋トレ効果をより高く期待するのであれば陸上での筋トレを併用することをお勧めします。
筆者が長年、水泳に親しんできた経験をもとに、水泳における筋トレ効果について筆者の考え方を詳しくお伝えします。
もしダイエット目的の筋トレであるならば、この記事がとても参考になると思います。
そしていつまでも健康で永く泳いでいられますよう、心から願っています。
目次
1. 水泳で筋トレ効果を高める具体的方法
基本的に水泳は重力に逆らって泳ぐ運動です。いやもっと言えば泳いでいる間は身体に重力という負荷はかかりません。
でも浮力と推進力を得るためにキックやプル(手で水をかく)という運動で泳いでいるのです。
陸上の運動であれば、常に重力と自分の体重という負荷があり、その負荷に対抗して走る、歩く、飛ぶなどの運動をするわけで、足腰に必要な筋肉が強化されます。
そして一般的に筋トレ運動とは重力+自重+自重以外の負荷重量によって効果的に鍛えられます。
1-1. 水泳で筋力強化
でもスピードを上げたり、早いペースで泳ぐとなると相当の筋肉強化になることは歴然です。
でもクロールのキックとは水を蹴り込む、蹴り上げるなどは陸上での重力運動とは全く性質のちがう運動です。
本来歩く生き物である人間にとって重力に耐えて動く足腰の筋肉は水泳ではあまり意味をなさないのです。
陸上のすべてのスポーツ選手ががっちりとした足腰の筋肉質であるのに対して、全く違った体形をしているのが水泳選手です。
私もまた同様に、お尻は小さく足は細いですが、股関節や膝関節、足首はとても柔らかいです。
でも優れた有酸素運動であるためにエネルギー消費は徒歩やジョギング以上の効果を短時間で得ることが可能です。
1-2. 水泳の特色(有酸素運動)
このきわめて軽い負荷に対していかにスムーズに泳ぐかは水の抵抗をできるだけ抑え、初速度を維持するかがポイントとなります。記録を目標とするアスリートであっても無駄な筋力は大きな抵抗を生じるだけなのです。
ですから、筋肉隆々の人は水泳には向かないとも言えるでしょう。
アスリートでなく、健康のために水泳を楽しむのであれば、ほとんど筋肉など必要はなく、通常の生活をしている人であれば泳ぐ技術さえ身につけばほとんど筋トレなど不要だと思います。
それはほとんど筋トレなどしていない、子供たちが大人よりも速く上手に泳いでいるからです。
さて、25mをクロールで泳ぐと、何回手で水をかくでしょうか。
右、左の腕で水をかくのを1ストロークとして数えると、アスリートなら10ストロークもかかないと思います。
それにスタート、ターンという水中ではドルフィンキックは多用しますが浮き上がるまで手をかきません。
それはどういうことかというとスタートすれば25mプールのセンターラインまで全くストロークがないということなのです。
首、肩、腕、腹筋、太もも、膝、足首など相当の運動量ですが、のんびりゆっくりと泳げばさほど筋肉疲労はないでしょう。
1-3. 筋トレ効果を高める具体的練習方法
1で述べたように、主に上半身、首、胸、肩、腕、体幹部の筋肉を鍛えるには水泳はとても効果があります。そのためにはある程度の負荷が必要ですので練習の距離とスピードが必要です。
1-3-1. インターバル練習
好ましいのは短い距離のインターバル練習です。
1-3-2. キック練習
そしてキックで浮力を得て、さらにキックでも推進力を得るためにキック力を鍛える。これがキック練習です。アスリートはこのキック力を強化するためにこの練習を欠かしません。
足腰の筋トレとしてとても効果が期待できます。それも固い筋肉目的ではなく柔らかい筋トレなのです。
1-3-3. 体幹部の強化
水泳で一番大切なのが抵抗のない水中姿勢が最重要です。
陸上で正しい気を付け!の姿勢をとったとします。するとほとんどの人はすこし背中が湾曲していると思います。
もし壁の前で頭、お尻、かかとをくっつけて気を付けの姿勢をとるとお尻から背骨当たりに空間ができると思います。
でも理想的な水中姿勢は背中に空間ができるような姿勢ではベストではありません。
この水中姿勢を維持するために体幹部の筋肉を鍛える必要があります。
それは腹筋、インナーマッスル、背筋です。
この筋肉を鍛えるために何度も何度も正しい水中姿勢を意識して練習をかさねます。
2. 部位別留意点と練習メニュー例

筋トレ目的で水泳を考えたとき、その効果の特徴を部位別に整理してみましょう。
2-1. 腹筋・背筋、インナーマッスル
一般の人が期待する筋肉といえばまず、腹筋でしょうか!

もちろん、集中的にマシンでシックスパックを目指すのがてっとり早いと思いますが、水泳の場合はバランスの良いスマートな筋肉質という感じになります。
この意識さえあれば腹筋、背筋、インナーマッスルは自然と鍛えられて、筋トレ効果が期待できます。
事実私はジムで腹筋マシンなど全く使いませんが、もしジムで腹筋マシンを使うと相当の不可レベルだと思います。
2-1-1. 水中姿勢

もっと深掘りすれば脂肪のついている部分の筋肉を鍛えていると言えるのです。
したがって水泳で筋トレをすることで脂肪の燃焼はもちろん、脂肪がつきにくい身体に改造するというイメージになります。
2-1-2. ストローク中
クロールにしろ、平泳ぎにしろ、泳いでいる間手と足をタイミングよく、リズミカルに推進力を得る運動をしています。このストローク中にお腹や下半身が沈んでいてはブレーキになるばかりです。
ストローク中も腹筋などの体幹部には意識的に筋肉に働きかけ、身体を浮かせるイメージが必要です。
こうした意識により腹筋、背筋など体幹部の意識的な筋トレ効果と言えるでしょう。
2-2. 太もも、ふくらはぎなど下半身
手にビート板を持ってキックだけで前に進む練習です。
まず泳ぐ前にプールサイドの壁に手をついてキック練習をするのも効果があります。
クロール、背泳ぎ、バタフライのキックは蹴り込み運動と蹴り上げ運動の2つがありますが、大きな推進力が得られるのは蹴り込みキックです。
2-2-1. 蹴り込み
コツは足を真っ直ぐに棒のように蹴り込むのではなく、しなやかに動かすことが大切です。
そしてインパクトまでも鞭のようにしなやかに動かせてインパクトを迎え、そのインパクトで蹴る力が最大になるように動かします。
水泳のキックも同じです。水を大きな力で蹴り込む時に足が伸びきった時に最大の水に対する推進力を生じさせます。
2-2-2. 蹴り上げ
蹴り下げがマックスになった時、足の先はかなり深いところにあります。力強くインパクトを迎えたあとフォローキックで足は水面を大きく離れてしまいます。
2-3. 腕、肩
腕や肩の筋トレ効果を水泳で期待するのはとても効果的だと思います。
どんな泳ぎであろうと、スムーズに泳ぐためにはストローク中、腕は身体から出来るだけ前方遠くの水をキャッチ、そのつかまえた水を効果的に身体に近寄せ、そして足の方の後方に水を押し出す動きによって最大の推進力が得られます。
その意味において水泳の上半身の筋トレ効果は大きなものがあります。
2-4. 水泳練習の特徴
筋トレの効果を考える上で水泳練習の特徴を頭に入れておく必要があります。
水泳の目的が違えば全く筋肉の使い方、そして運動の内容が大きく異なります。
水泳目的の代表的な練習過程はざっと次の4種類になると思います。
2-4-1. ビギナーが25m泳げるようになる
クロールでも平泳ぎでも25mを泳げるようになるために必要なのは、呼吸法、泳ぎのタイミング、25m泳ぎ切るに必要な心肺能力で筋トレ効果を期待するのは難しいでしょう
2-4-2. クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの4種目を泳ぐ
一般的にクロールで100mほど泳げるようなると、次の種目が泳げるようになりたいと思うのが人情です。
一見他のスタイルは難しいと思う先入観がありますが、水泳のスタイルはほとんど水中姿勢とタイミングという意味で同じです。
クロールができたらどのスタイルもそう苦労することはないでしょう。
この新しいスタイルへの挑戦はとても楽しくて、アクティブでワクワクするものです。こうした目的の水泳もとても筋トレ効果は狙えません。
2-4-3. 出来るだけ長い距離を泳ぐ
私たちシニア世代のもっとも多い水泳目的です。
健康のため、有酸素運動として出来るだけ長く、優雅に泳ぎたいと願っています。
そこにはスピード追求は全くありません。
自分の心肺能力に耐えうるマイペースで疲労を最小限にして30分60分と泳いでいたいと願うのです。
この目的もとても筋トレ効果は期待できません。
もちろん、否応無しに、腕や肩の筋トレにはなるでしょうが、筋肉の不可も最大限に抑えることが長く泳ぐ秘訣ですから、出来るだけ力を抜くことを意識します。
もしこの目的で水泳をなされるのなら、必ず陸上でのウオーキングを忘れないようにすべきです。そうでないと下半身の筋肉は退化してしまうでしょう。
2-4-4. 短距離をより速く泳ぐ
より速く泳ぐためにはその人のパワーを有効に活用すると同時に水の抵抗を最小限にする必要があります。
この速く泳ぐ目的の場合のみ筋トレ効果が期待できるでしょう。
2-5. お勧めする練習メニュー例
水泳に筋トレ効果の多くを期待するのは自ずと限界があるようです。
でも優れた有酸素運動である水泳を行いながら、筋トレ効果も狙いたいと思うのも無理もないところです。
今まで述べてきた水泳の特徴をよく理解されてご自身の筋トレ効果を探っていただきたいと思います。
例えば一日のプールでの練習で
・25m、50mのインターバル練習、(インターバル30秒〜45秒)強化する筋肉を意識して
・50mキック×5本〜10本 足の筋トレ
・クールダウン兼有酸素運動 (200m〜500m)
このような練習メニューで有酸素運動と筋トレも含めたトレーニングができます。
でもなかなかビギナーの方々には消化するのは困難だと思います。
3. 注意すべきポイント

今まで述べて来たように水泳は有酸素運動の代表格としてとても効果的ですが、筋肉強化となるとある程度の運動負荷が必要となりますので、初心者には不向きです。
この点を十分理解した上で取り組んで欲しいと思います。
具体的な筋肉強化をする上で注意すべきポイントを整理しておきます。
3-1. 注意事項
ビギナーの方々にはさほど感じたことはないと思うのですが、水泳は全身運動で強い心肺能力を要します。
3-1-1. オーバーワーク
ついついオーバーワークになることがよくあります。
長い距離、長い時間水泳を楽しまれる方には是非注意が必要です。
3-1-2. ウオーミングUP・DOWN
シニア世代になると特に肩、腰、膝の関節に支障が出ることもあるので無理な水泳は控え、自分の能力に合わせて、心拍数や筋肉の疲労度、関節の異常などに気を配って水泳を楽しみましょう。
私も長い水泳人生の中で、肩、腰、肉離れなど、なんどもケアを余儀なくされたこともあります。
特にレースに向けた練習やレース当日の故障には十分注意をしています。
3-1-3. 冷え防止
長時間水の中にいるとどうしても身体が冷えてしまいます。
泳ぐなどの運動を休止して壁で止まっていると足寒頭熱となってしまい。身体に支障をきたします。
冷えてきたなと感じたら、上がってお湯に浸かりましょう。
3-2. 水中運動の取り組み
水泳はプールで行う水中運動の1つですが、水泳以外にも水中ウオーク、水中エアロ、ダンスなど多くのレッスンメニューが用意されています。
ついつい単調になりがちな水泳ですが、こうしたその他の水中運動も1日のメニューに入れておくと楽しみが向上すると思います。
水泳以外の水中運動にしても筋トレ効果を狙うためには水の抵抗を負荷として活用するなど、また用具を活用して負荷を高めるなど方法はありますので、ご自身の筋トレ効果の目的内容を把握した上で取り組まれることを希望します。
4. まとめ
水泳における筋トレ効果について詳しく述べてきましたが、お楽しみいただけたでしょうか・・・
水泳は筋トレというよりはやはり、楽しく優雅に楽しむのが適切だと言えるのかもしれません。
そして、水泳はとても楽しいスポーツです。
そして60代70代、80代とどんなシニア世代でも始めることができます。
若い世代ですと日頃のストレス発散と運動を兼ねてプールを利用される方も多くあります。
私はもっともっとたくさんの方々に水泳を楽しんで頂きたいと思っています。
健康のために日頃の運動不足解消に水泳はとても手軽で取り組めます。
プール施設はクアハウスのような感覚でレジャー感覚で家族みんなで楽しめる空間ではないでしょうか、そんな水泳をほんの少しでも長く泳げるようになれたらこれほどの喜びはないと思うのです。
もちろん、筋トレも期待できますので若い世代の人にも効果的な運動です。
多くのダイエッターの方々に失敗のないダイエットのために効果的な筋トレに有酸素運動によりもっともっと健康を手にして欲しいと願っています。
その目的達成のために優れた効果を発揮できるのが水泳だと思います。
これからの人生に是非、水泳と仲良く!と申し上げてこの記事は以上とさせていただきます。
最後まで読んで頂き心から感謝しています。ありがとうございました。
なお以下の関連記事も興味深い内容となっていますので是非、ご一読いただければ幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。