水泳の基本姿勢とは一言で言って蹴伸び(ストリームライン)ですが、私も含めた中高年にはとても難しい姿勢です。
加齢とともに筋肉の衰えなどからくる良くない姿勢による生活習慣が影響して、中高年世代にはなかなか上手く水泳の基本姿勢が取れない・維持できなという課題があります。
まずは、基本姿勢など忘れて水泳を楽しみましょう。ともかく基本姿勢など意識せずに泳いでみるところから始めていきましょう。
1. 水泳の基本姿勢は蹴伸び!
スポーツクラブのプールレッスン、「初めてのクロール」などビギナー向けのレッスンがありますが、受講している人はほとんどが中高年女性そして男性が1人2人というのがよく見るケースです。
そしてインストラクターから「皆さん!水泳で一番大切な基本姿勢である蹴伸びをしっかり練習しましょう」という言葉を耳にタコができるほど聞かされていると思います。
でもなかなかできず、「もうレッスンは億劫で楽しくなくて・・・」とお嘆きの中高年女性もきっと多いと思います。
ではどうするか、水泳レッスンは何のためにあるのかです。クロールが上手に泳ぎたいからですよね。
クロールが上手になるために姿勢はとても大切な要素ですが、多少姿勢に問題があろうと、クロールでなんとか息継ぎができて25m泳ぎたいわけです。そしてクロールが楽しくなるのが目標だと思うのです。
ですから、まず基本姿勢などと神経質にならずに、初めてのクロールを楽しみましょう。そして25mクロールで泳げるようになったら、かなり姿勢も良くなっているはずです。
さらに基本姿勢がよくなればクロールで泳げる距離が50mに伸びてくると思います。
私はジュニアの水泳インストラクターの経験もあり、中高年の指導経験もあります。子供たちは私のいう練習を素直にやってくれます。
それも子供たちはクロールよりもともかく遊びたいのです。遊び要素のある練習をやらせると本当にうれしそうに練習メニューをこなしてくれます。
でも中高年世代はまず素直じゃないです。思考が先行するのでしょう。「クロールの練習になぜ蹴伸びをやらなくちゃいけないのか・・・」
そして蹴伸びという基本姿勢の重要性が理解できてくると次は「蹴伸びが上手くならなければクロールができない」と思い込んでしまいます。
ともかく思考先行で上手くなりたい一心なのです。それは気持ち十分理解できるのですが、中高年にとって水泳は健康のための趣味なのです。なにも競技会でタイムを競うようなものでもないのです。
2. 初心者・中高年のための目標と具体的練習方法
水泳の前にまず、中高年世代にとっての一番の課題は日頃の運動不足からくる体重オーバーと姿勢の悪さだと思います。もしかしたら健康診断の時、医師からも水泳を勧められたのかもしれません。
そして水泳というのは水中運動と解釈するのが正しいと思います。水中運動といえば水泳だけではなく、水中歩行、水中ダンス、水中エアロなどいろいろな運動メニューがあります。
2-1. 水中ウオーキングで歩く基本姿勢が重要
まず初心者には水泳よりも、徹底的に水中ウオーキングを20分、30分とやってみて、水の中で受ける水の抵抗、そして水中で体重が軽くなる浮力をしっかりと体感なさってください。
さらに体重をまずは5kgは落としましょう。1週間、2週間と続けるとお腹のポッコリがスッキリとなるはずです。
そしてプールに来ればどんなに水泳が得意でも水中ウオーキングは20分くらいはやるように頑張りましょう。
水中ウオーキングは素晴らしい有酸素運動であるわけですからしっかりと消費エネルギーを稼ぐことはまず中高年の健康のためには必須ですから取り組んでみてください。
姿勢での注意点は何と言っても猫背の解消です。
日常生活においては筋肉の衰えも年々顕著となっているわけですから正しい姿勢はなかなか難しいものです。背筋を伸ばして胸を張ってしっかり前を向いて軽快にウオークレーンを歩きましょう。
腕を振るといっても陸上ではありません。水の抵抗を感じながら、歩行ペースに合わせて多少オーバーに腕を使いましょう。
そして浮力を利用して軽快な歩調、水の抵抗をしっかりと受けて運動強度を上げていきましょう。
2-2. 目標と具体的練習方法
ではウオーキングレーンでしっかりと身体が温まったと思いますので、スイムレーンに移動して泳ぎましょう。
ともかくクロールでも平泳ぎでも何でも良いです。泳いでみましょう。もし泳げないのであればプールに常備していあるビート板をつかってバタ足をやってみましょう。
そして今日の泳いだ距離、泳げる距離を測定しましょう。姿勢など考える必要はありません。まず何メートル泳げるのか測定してください。
では次に、プールの壁を蹴ってスタート!蹴伸びです。両腕で両耳を挟む感じです。腕が曲がることなくまっすぐ腕を伸ばした姿勢でそのままの状態で壁を蹴って止まるまでこの姿勢を維持です。
これが水泳の基本姿勢、蹴伸びです。そして止まったところの距離を測定します。まずは5mを目標にして頑張りましょう。
止まったらその地点で立って、もう一度基本姿勢をやり直しすます。次にプールの底を蹴ってイルカ飛びでこの基本姿勢をとり、進みます。また止まるまで姿勢維持です。
これを繰り返し、ターン壁まで頑張りましょう。この時何度イルカ飛びをしたか数えておきましょう。
では今度は蹴伸びスタート、止まる寸前に好きな泳ぎのストロークを開始して25メートルを目指して頑張りましょう。蹴伸びスタートで伸びた分ストロークが少なくなり最初の泳いだ距離は伸びたことでしょう。
蹴伸びスタート、ストローク、停止 この距離が練習を繰り返すことで伸びていきます。1日目、2日目と距離が少しずつ伸びてくるでしょう。そして25m泳げるようになった時、大きな喜びを感じることでしょう。
25メートル泳げるようになったらターンしてまた蹴伸び、ストロークで限界水泳距離を少しずつ伸ばすことが大切です。
クロールについては次の記事に詳しく解説してありますので参考にしてください。
平泳ぎについては次の記事を参考にしてください。平泳ぎは水の抵抗を大きく受ける泳ぎ方です。したがって水の抵抗を極力減らして水泳の基本姿勢に忠実に推進力を失わないように泳がなければなりません。
2-3. 距離が伸びれば基本姿勢がうまくなった証拠
いかがですか、子供ころ水泳教室に通った経験のある方もあると思います。小学校や中学校でも水泳の授業があったと思います。でも中高年世代になっていかに泳げなくなったか思い知られたことでしょう。
自転車は子供の頃、一度乗り方を覚えてしまえば幾つになってもこげるはずですなのに、水泳はなぜか全く泳げないと感じられたかもしれません。それは水の中という非日常環境が影響しているのだと思います。
でも子供の頃に覚えた水泳の運動神経は決して忘れてはいません、練習を繰り返すことでまた復活することは間違いありません。繰り返して水泳を続けてください。
ほとんどに人が25mで休んで、休み過ぎるほどの休憩で身体が少し冷えてから、また泳ぎ出します。
これでは目標50メートル達成はおぼつきません。25メートル目標が達成できたらすぐにターンして30メートルを目指しましょう。次には35m目標です。
ターンして最初にするのは基本姿勢の蹴伸びです。壁を蹴るだけで手足動かさなくても30メートルは泳げるのです。この意思の突破口を開きましょう。
1度の水泳練習で2回の水泳基本姿勢を行えるのです。それも疲労と苦しい呼吸時での基本姿勢です。上手になるのは当たり前です。
ともかくほとんどの中高年の人は25mで休み過ぎるのが最大の難点です。そして「どうしてもっと楽に25m泳げないのだろうか」「もっとうまく息継ぎができないのか」と悩みの連鎖に陥ってしまいます。
顔から笑顔が消え、深刻な表情で休んでいる人の何と多いことでしょう。
25m地点は基本姿勢練習の絶好の場所だということをどうぞ忘れずにターンで浮き上がって休憩、あとはイルカ飛びで50メートルを泳ぐ、こんな感じです。
そしてさらに50メートル泳げるようになったら、また50メートルターンで浮き上がる。そのような意識でどんどん水泳距離が伸びていきます。これほど痛快な満足感はありません。
3. 理想的な水泳の基本姿勢
水泳の基本姿勢とは蹴伸び(ストリームライン)で、蹴伸び練習がとても大切です。そしてこの練習はすべての泳ぎ方の基本練習でもあります。多くの水泳選手もこの基本姿勢を常にチェックしてより速くなるための身体づくりを心がけています。
前章では中高年にはまず少しでもしっかりと泳げるようになる中で、基本姿勢を学んでいく必要あると思います。
そしてある程度泳げるようになると、次からは基本姿勢に力点をおいた練習によってフォーム改造、スタート・ターン強化といつにおいても基本姿勢は外せない基本練習なのです。
レベルレベルに合わせて基本姿勢は進化を続け、理想的な姿勢に近づきます。究極の理想はイルカや魚など紡錘形の姿勢になっていくのです。
この基本姿勢である蹴伸びについては次の記事に詳しく解説してありますから参考にしてほしいと思います。
3-1. 壁を蹴るスタート・ターンの利点
中高年の水泳上達には疲労の軽減が必須です。筋肉疲労、呼吸疲労などが考えられますが、それぞれが筋肉強化につながってきますが、少しでも疲労を抑えて楽に泳ぎたいものです。
そしてそれがまた上手になれた証でもあるわけですから出来るだけエネルギー消耗の少ないハイブリッドな泳ぎを目指したいものです。
そのためにはスタート・ターンでしっかりとした基本姿勢をとって壁を蹴る初速度を活かして距離を稼ぎストローク数を抑えたいところです。その意味でやはり蹴伸びという基本姿勢は常に練習をしてレベル向上を目指したいところです。
そのためにも出来るだけ身体の出っ張りを極力抑えるような姿勢を心がけましょう。
・ひじが曲がらない
・お腹のポッコリを抑えるようにお腹を凹ませる
・体幹部安定のため、インナーマッスルの強化
・足の爪先まで意識を強く
3-2. 基本姿勢で加速
クロールでは常にストロークによる腕を回し続けている印象がありますが、決してそうではなく、どちらかの腕がリカバリーのため空中を移動中、もう一方の腕が先行、最高の基本姿勢により加速しています。
もっと言えば常にクロールの基本姿勢を維持して基本姿勢の軸は全くブレないというのが理想です。
これは背泳ぎでも考え方は全くったく同じです。
平泳ぎに関しては腕で推進力を得ようと思うと状態が浮き上がり、胸で大きな抵抗を受けます。そして呼吸タイミングあり、その他の泳ぎ方と違って大きく抵抗を受ける時間を最小減で速やかに基本姿勢に戻す必要があります。
そしてその基本姿勢で最大の推進力を得なければなりません。そのタイミングとバランスが鍵なのですが、力任せというのは決して上達の決め手にはなりません。
平泳ぎとバタフライは左右対称というルールを活用して望ましい基本姿勢を追求することで記録に挑戦するアスリートの技と力の見せ所という醍醐味がまた面白いところです。
私達のような中高年スイマーには水泳は100%基本姿勢と意識して基本姿勢中の加速と失速の防止に努めています。
3-3. いち早く基本姿勢へ
このいち早く基本姿勢へ戻すテクニック次第でレースの勝負が決まります。中高年スイマーにとっても上手になるために、また上手に見せるためにも基本姿勢への戻しをいち早く行い、少しでも長く基本姿勢を維持しておきたいところです。
このいち早く基本姿勢に戻す、維持するためには体幹部の筋肉トレーニングがどうしても必要です。
4. まとめ
初心者をはじめとして、中高年世代で、水泳は苦しいというイメージが強いですが、決してそうではなく、楽に泳ぐなら、歩くよりエネルギーは使いません。
したがって筋肉疲労はほとんどないと言っても過言ではありません。だらだら泳いでいれば筋肉が落ちるくらいです。
初心者や中高年スイマーにはもっと楽に泳ぐために基本姿勢に忠実に、少しでも抵抗を抑える姿勢を心がけ、少しでも泳ぐ距離が伸びるように頑張っていただきたいです。そして1000m2000m、15分、30分と泳ぎ続けられるようになりましょう。
そのためにも練習中の壁での休憩は最小減にするか、休憩は歩行レーンでウオーキングで歩きながら休憩するなどの工夫により、プールの中にいる間は常に浮力と抵抗を受けていましょう。
そうすれば練習の効果は素晴らしいものになるでしょう。
そしていくつになってもスリムな逆三角形の水泳ボディーを維持して、いつまでも輝いて欲しいと願ってこの記事は以上とさせていただきます。
最後までお読み下さり、心から感謝しています。ありがとうございました。
なお、次の記事も興味深い内容となっていますので時間があれば是非お読みいただければ幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。