水泳スクールに通っている小学生が練習日に最初に行うプールでのウオーミングアップとも言える「ボビング」
このボビングって何・・・?
私は自分自身がマスターズスイマーであると同時に、ジュニアのインストラクターの経験があり、このボビング練習の重要性を強く理解しています。
このボビングを大人も積極的に水中ウオーキングのバリエーションの一つとして取り入れ運動効果をあげると同時に水泳への導入練習としても活用して欲しいと願っています。
この記事を読まれれば水泳の魅力がさらに深まり、ボビングをやってみようときっと感じてもらえることと思います。
目次
1. 水泳の基本ボビングの意味
ボビングとは水泳用語辞典によれば
ボビング【Bobbing】ぼびんぐ、呼吸、上下運動
水中に立ったあと水底を蹴ってジャンプし、顔を水中と水上に出し入れして、呼吸をしながら上下運動をすることをボビングという。
もうひとつ似たような言葉があります。
バブリング【Bubbling】ばぶりんぐ、バグル、呼吸練習
水中での呼吸の仕方に慣れるために、呼吸筋(内肋骨筋)を収縮させて水中で吐くことをいう。
ボビングとは手っ取り早く言えばプールの底を蹴ってジャンプしながら前進していくことです。
水慣れしていない子供さんにはなかなか難しいこのボビングです。
私が所属していたスイミングスクールでジュニアのインストラクターを勤めていた時、クロールがかなり泳げる子供にも練習開始の最初のウオーミングアップはいつもこのボビングをさせていました。
これはとても的を得た準備運動であると今更のように思います。ボビングでジャンプしながら水中で息を吐き、顔を水上に上げて息を吸い込むことに慣れることはとても重要で意義深いものなのです。
ボビングの意義には二つあります。
呼吸慣れ
1-1. 準備運動
準備運動としてのボビングの意義についてです。プールに入って30℃前後の水温は子供達にとってはヒヤッと感じる感覚があります。この感覚の水に慣れ、今から水泳練習を始めると身体に指令を与えるためにも、このボビングはとても有効です。
そして水中ウオーキングなら頭を水中につけることもないかもしれませんが水泳練習は頭を水没させて泳がなければなりません。その意味でもしっかりと頭を水没させてプールの底を蹴って頭を水上にあげるジャンプは準備運動としてはとても効果的です。
インストラクターとしての私が見て来た限り、泳げない子供は殆どこのボビングに苦戦しています。
頭を完全に水没させることができない、またプールの底を蹴ってジャンプができない子供達にとってボビングをしっかり練習することで水慣れが上手になると言っても過言ではないでしょう。
1-2. 呼吸慣れ
次に呼吸です。いうまでもなく顔が水中にあるときは呼吸ができません。でも正確に言えば水中では息を吐くことしかできないのです。従って息を吸い込むには顔を水上に上げなければなりません。
もっと詳しくいうとボビングは頭を水没させてジャンプしながら前進するわけですから呼吸が上手くいかなければボビングは停止せざるを得ません。
これはまさに水泳の呼吸に匹敵します。
従って子供に限らず、大人でも水泳初心者にはボビング練習はおすすめです。
2. ボビング練習の手順とコツ!
では早速ボビング練習に入っていきましょう。
まず最初に次の二つの動画を見ていただきましょう。
ボビングに必要な息継ぎ練習の動画とこの息継ぎを使って歩く練習の動画です。
このイメージと呼吸に注目して動画を見ていただきたいと思います。
2-1. ボビング練習の手順
ボビングで一番大切なことはいうまでもなく呼吸です。そして空中だけではなく、水中と空中を頭が行ったり来たりする連続動作の中で呼吸をしなければなりません。
この呼吸方法はとても難しいです。初心者であればあるほど、空中で息を吐く時間が必要です。すなわち水中で吐き切れないのです。
この水中で吐き切る練習を最初の動画にあるようにしっかりと練習しましょう。
このボビングウオーク中も呼吸はしっかりと水中で吐き切ることが重要です。
このボビングウオークができるようになれば次にボビングの完成、ジャンプしながら前進してみましょう。
いかがでしょうか、上手にできるようになるまでしっかりと何度も練習を続けましょう。
2-2. ボビングのコツ
ボビングのコツはなんと言っても呼吸です。頭が水中にある間に吐き切ることが最大のコツです。
ジャンプすることはさほど重要ではありません。でもジャンプ中というごく一瞬の間に息が吸えるようになるのは高度なテクニックですからこれは大人も是非練習して欲しいと思います。
そして息を吸い込む意識がなくても息が肺に入ってきます。ボビング中の呼吸は息を吸わない意識がコツです。
息を吐き切れば息は自動的に意識とは関係なく肺に呼吸が入ってくるのです。この体験を是非やってみてください。
ジュニアのインストラクターのほとんどは顔を上げる時に「パァー!」と言いなさいと教えます。
この「パァー!」と発することで水中で息が吐き切れていなくても吐き切ることができます。でもそれをより効果的にするために意識的水中で息を吐き切ることがポイントとなるわけです。
それからボビングのジャンプのタイミングです。
3. 水泳上達の近道(ボビングからクロール・平泳ぎへ)
以上、水泳練習の基本であるボビングの意味、練習の手順や方法について述べてきました。ではどのようにしてクロールや平泳ぎにつなげていくのかについて述べていきたい思います。
何度も繰り返しになりますが、ボビングでジャンプして顔が空中にあるのは一瞬です。この一瞬に息を吸い込むわけですが、これは息を吸う意識ではなく吐き切る意識だと言ってきました。そのために「パァー!」を発せよ!と・・・
これを忘れないようにして下さい。そして頭が水没している間に息を吐き続けるそしてプールの底を蹴って「パァー!」と発する。
さらに、一番楽な呼吸リズムでジャンプする。
この一連の流れはクロールであれ、平泳ぎであれどんな水泳種目であっても同じなのです。一番楽な呼吸リズムでボビング水泳ともに連続運動なのです。
3-1. ゆっくりとしたストローク
このボビングと同様のリズムでクロールや平泳ぎができるようになればとても楽に泳げ最大の推進力が得られます。初心者にとってスピードは不要です。流れるようなストロークが刻むことができれば素晴らしく上手な水泳フォームに完成されてきます。
ボビングが完成されればこのクロール・平泳ぎのストロークと息継ぎのタイミングをマスターすることができるようになるのです。
従って出来るだけ、クロール・平泳ぎでは呼吸は一瞬のうちに完了させるというテクニックを習得できるのです。
3-2. 蹴伸び・水中姿勢(ストリームライン)
息継ぎと同様に重要なポイントは蹴伸び、水中姿勢です。
ボビングは上下の垂直運動ですが、水泳は水平運動です。この水平運動を出来るだけ水の抵抗を受けずに推進力を得るために必要なテクニックが蹴伸び・ストリームラインなのです。
この蹴伸びやクロールなどの泳ぎ方や手順については別の記事に委ねますが、基本はストリームラインと呼吸タイミングです。
いかに楽に大きなストロークで泳げるかが水泳上達の基本です。
クロールで一番目にするのが水車のように両手を交互に振り回している人を見かけますが、これは正しい呼吸をしているとは思えません。不十分な呼吸であるためにほとんど無呼吸・無酸素状態で泳いでいる可能性があります。これでは本来の水泳の趣旨に反します。
クロールや平泳ぎなどの水泳種目とボビングの呼吸リズムとタイミングは同じで水泳の息継ぎ練習にボビングは最適だとここで申し上げておきたいと思います。
4. まとめ
子供達ジュニアの水泳練習でよくやるボビング練習は決してジュニアのためだけのものではありません。子供達はもちろんのこと大人にとっての水泳練習にもとても重要な意味と意義があることをこの記事で述べてきました。
私は競泳出身者ですからどうしてもスピード重視、呼吸を止めてノーブレッシング、いわゆるスタートダッシュ、ラストスパートばかり重点的に若い頃からトレーニングをしてきましたのでボビングやゆっくりと大きなストロークというのは無駄と考えていた時期があります。
でもそれは大きな間違いで呼吸リズムと水中姿勢がどのような水泳シーンにおいても重要であることを思い知っています。スランプに陥った時蹴伸びやストリームライン練習に立ち返りフォームの改造、自分にふさわしいストロークを見つけてきました。
ボビング練習はとても意味のある大切な練習であることを是非再認識してただければ幸いです。 ボビング・バブリング・イルカ飛び・蹴伸び・ストリームラインなどと水泳の基礎は奥深いものがあります。そんな中基本中の基本がボビングです。 ジュニア同様に私たち大人も積極的にこのボビングを練習してより優雅で楽しくハイブリッドな水泳を楽しみましょう・・・
ということでこの記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。ありがとうございました。
なお以下の関連記事も参考にされて水泳上達に役立てていただければ幸いです。
初稿:2019年12月20日
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。