水泳が上手にそしてより速く泳げるようになるためにはプルの強化練習は欠かせません。
そして水泳中、陸上において具体的な練習方法について具体的ポイントについて解説していきます。
とはいえ、なによりも大切なことはコンビネーションスイムによる泳ぎ込みが重要です。
その泳力強化とプル・キックのバランスのよいタイミングと抵抗のないストリームライン(水中姿勢)が何よりも大切であることは言うまでもありません。
速くなるための特効薬が無いのはどんなスポーツも同様なことなのですから・・・
水泳競技4種目で、比較的キックのウエイトが高い平泳ぎであってもプルの強化・練習如何で勝負が決まると言っても過言ではありません。
さあ一歩も二歩も頑張って前進していきましょう。
1. 水泳トレーニングにおけるプルの強化
水泳が上手になりたいということは即ち、速く泳げるようになると同意語だと思います。
したがって速く泳げないというのは上手ではない、上手に見えない、見ていてどことなく違和感がある。
でも速い人は見惚れてしまうような安定感と美しさ、芸術性さえ感じると思いませんか・・・
1-1. 速くなるためには
禅問答のようですが、水泳が速くなるためには上手にならなければなりません。また水泳が上手なるためには速くならなければなりません。
プルとキックを効果的にタイミングが合っていて、軸のブレないまっすぐに泳ぐ安定感のあるコンビネーションスイムが乱れていてはプル、キックといえども強化練習をしてもデメリットにしかなりません。
今日はプル練習だとかキック練習だとか、偏った練習はあまり私は賛成できません。
今日はメインがプルの強化練習であったとしても必ず時間をとってコンビネーションスイムでタイミング合わす必要があります。
プルが強化され、かえってタイミングが合わなく遅くなる場合だってあるのですから!
そしてプルが強化されれば、コンビネーション練習でキックも強化されていきます。
逆にキック強化でプルも自動的に強化され相乗作用を求めていきましょう。
1-2. コンビネーションスイム
今ご自分が持っているのプル力、キック力を有効に活用してタイムを上げる練習をやっていきましょう。
でも決してストローク数を上げて回転数をあげて速く泳ぐのではなく、同じストローク数で同じタイミングでその上でタイムを上げていく練習です。
そのために必要なことは1回1回のストロークをしっかりと刻んでいく、軸をまっすぐに姿勢の狂いはないかどうか意識しましょう。
もっと簡単にいえば5割6割の力でタイムを上げていくことが大切です。
1-2-1. ストローク数を知る
もちろん、泳力は5割6割の力で泳いだ時の25mのストローク数です。
そして念のため、8割の泳力で泳いだ場合のストローク数も数えて記録しておきましょう。
1-2-2. コンビネーションスイム練習で泳力をつける
そして毎週1回くらいは効果測定のために自分の泳力5、6割程度のスイムでのストローク数をチェックしていきましょう。
もし1回でもストローク数が減っていれば素晴らしい泳力がついたことになります。
この泳力とはプル・キック共に筋力アップ、タイミングの良さ、水抵抗の削減がなされており、各段の上達、伸展であることがうかがえます。
1-3. プルの考え方
では本題のプル強化に入っていきましょう。
まず私のTwitterのこのツイートをご覧ください。
水泳は水を力でかき分けて進んでいくものではありません
最新の泳ぎは指先に全体重をのせ、そこを基点に前へ重心移動させるとのこと
身体が前に乗っていない状態で強くつかもうとすると水は逃げてしまう
何か意識の上で大きな変化が…!
水をかく→→水をとらえる→→水を引っ掛ける
🙂— 石原孝@水泳歴60年爺 (@hayaokitori) June 1, 2019
水泳は水を力でかき分けて進んでいくものではありません。
水を指先でひっかけるイメージです。ひっかけるとは指先に力をいれてしっかり体重をかける感覚です。
1-4. 重要なキャッチポイント
この指先で水をひっかけるイメージについて解説します。

どうずれば力強く遠くに投げられるかです。
まずボールが手のひらから落ちないように手のひらを下から支えると思います。
力強く腕を動かして手の可動域全部を使ってリリースポイントでボールが離れ、そしてそのあとホロースルーが続くと思います。
これはまさにクロールのプルのイメージにピッタシではありませんか。
スカーリングとかS字プルとか、そんな感覚はまるで無くリカバリー後エントリーして直ぐに水をキャッチそしてプル・プッシュと一気にまっすぐ一直線に水をかき切るというのが私の感覚です。
このイメージが理想的で最強のプルだと私は考えています。
でも水泳の場合には環境が空気ではなく、水ですから、水を上手にキャッチするためにポイントを探す時間もエントリーからフィニッシュまでの時間もコントロールすることができます。
その人の筋力、感覚力によって推進力の違いが出るとは思いますが。
これが私の理想とするプルなのです。
2. 種目別プル強化練習

前章後半でクロールのプルについての考え方について解説しました。極めて私の持論で恐縮ですが、スピードに乗っていく、前へ前へとまるで何かに引っ張られているようなダイナミックなプルを感じてもらえたと思います。
ではクロール以外の水泳種目ごとに見ていきましょう。
2-1. 背泳ぎ
背泳ぎは基本的にクロールと同じです。
背泳ぎはクロールとはうつ伏せ、仰向けの水泳姿勢のため全く違う動きだと考えていらっしゃると思いますが、先ほどの仰向けになってボールを投げるイメージはまさに背泳ぎのプルそのものなのです。
背泳ぎも仰向けで横になって肩のラインより下をかいているわけではありません。
背泳ぎは頭は固定されていますが効率よくローリングが行われ、腕の動きはクロールとまるで同じイメージです。
ただ見ていて複雑な動きに見えるだけなのです。
2-2. バタフライ
バタフライのプルのイメージは先ほどの仰向けに寝転んで、ボールを投げる時に両手でバレーボール、バスケットボールを投げるイメージです。
クロールと何ら変わりません。ただ両手というだけのイメージで良いと思います。
2-3. 平泳ぎ
次に平泳ぎです。イメージ的には他の水泳種目と同じなのですが、平泳ぎは水泳競技規則によれば
両手はヒップラインより後ろに戻してはならない。
両手は一緒に胸より水面・水中または水上から前方へそろえて伸ばし、水面または水面下をかかねばならない。
こう規定されているためにほかの水泳種目のようなイメージでは平泳ぎのプルにはなりません。
従って平泳ぎのプルで大きな推進力につながるようなプルは不可能なのです。
従って平泳ぎのプルにウエイトを置くのは好ましくないと考えます。
プル強化にはまずプルのイメージを変えることが大切となります。
では次に何をすればプル強化ができるのかというとコンビネーションスイムで強化を図るのが最適です。
2-4. プル強化はキックとのタイミングを忘れない
すこしイメージトレにポイントを置き過ぎましたが、実際のプル強化には基本、スイムで強化されるものと考えます。
上記のイメージが変わればスイムの泳力は格段に伸びると思います。
でも腕の力が弱いとかより速く自己ベストが競技会優勝レベルに達したいと願う水泳選手にとっては個別的なプル練習やキック練習などのドリルが必要になるでしょう。
3. 水泳中・陸上別プル練習メニュー

水泳経験の少ないビギナーの練習にはビート板をつかったバタ足などのキック練習により水泳の特殊性や浮きながら進むこと、そして呼吸の方法などを学ぶのですが、中上級レベルになるとパドルと呼ばれるプルの補助板を使ったプル練習も入ってくるのが一般的です。
ではプル強化の具体的な練習について解説したいと思います。
3-1. 水泳中のプル強化練習
水泳中、水泳の練習メニューの中でのドリルとして一般的なプル強化練習をご紹介します。
3-1-1. プルだけの練習
プルブイの使用やビート板を足に挟んでキックを封じてプルだけで行う強化練習です。
この練習はキックが打てませんからとてもバランスが悪く、プルの動きも不安定ですが、腕のプルだけで推進力を維持するという狙いがあります。
このプルだけの練習ではできるだけキックもコンビネーションスイムも行うのが好ましいと考えています。
プル(P)キック(K)コンビネーション(C)とPKC練習と私は呼んでいます。
3-1-2. パドルの使用

次にパドルと呼ばれるプル補助板と使っての練習です。
手の平にパドルと呼ばれる手の大きさ大の板を装着してコンビネーションスイムを行います。
またこのパドルを装着してプルだけを行う練習もあります。
このパドルはプルに必要な筋力を鍛えるためにパドルの大きさはS、M、L、LLとサイズがあって負荷が異なります。
水泳者のニーズによって選べます。
ただ、私の考えはプルの強化というよりは、水を的確にキャッチするポイントを狙いとしてこのパドルを使います。
ということで私のおすすめはご自分の手の平サイズがベストだと思います。
3-2. スピード練習で昨日タイムを更新
では仕上げのプル強化練習に入ります。
ここでは主にクロール背泳ぎを想定しています。
今までやってきたプル強化練習をスピードに活かしていく練習です。
3-2-1. スピード練習の考え方
でも例えば25mダッシュを5本と仮定すると2〜3本は8割のパワーで泳ぎます。
この8割のパワーで昨日の最高タイムより、速いタイムが出ればベストです。
そして残りの2本は10割のパワーで全力力泳をします。そしてそのタイムが今日の最高タイムより速ければ強化練習効果はベストということになります。
当然といえば当然ですが、一日の仕上げには8割パワーと10割パワーをぜひやってみて下さい。
3-2-2. 究極のスピード練習
そして極め付けのスピード練習をご紹介します。
もう少し噛み砕くと、スピード練習に制限タイムをつけてその制限タイムを1本目から突破するとそのスピード練習はそれで終了です。
もし制限タイムを突破できなければ突破するまでこの練習が永遠と継続するということになります。
この制限タイムが自己ベストなのです。きっと気後れすると思います。でも果敢にトライしましょう。
まだまだ経験の浅い選手は勢いよく1本目から突破できるかもしれません。
でもベテラン上級選手になれば自己ベストが大会記録であったりする場合もあります。
このような選手には試練の何者でもありません。
でも今までやってきたプルの強化練習が上手く功を奏せば自己ベストも実現の可能性はとても大です。
そして来るべき競技会においても、強い自信に支えられたレースが展開できるでしょう・・・
3-3. 陸上でのプル強化練習

3-3-1. ゴムチューブ練習
では次に陸上でのプル強化練習には私のおすすめはゴムチューブを使ったプル練習です。
冒頭説明しました。キャッチポイントで水を捉えるという点に力点を置いたゴムチューブ練習がおすすです。
3-3-2. デスク、会議用テーブルを使った練習
そして次に机とか会議用テーブルの前面に力を入れて腕全体の筋力アップのための強化練習です。
腕のリーチの長さがに匹敵する机や会議用テーブルがあるといいですね。
その時手の平は指先、手の平の指先側、中央、手首側などどの位置に一番力を入れるのが効果的かをチェックしながら練習すると良いと思います。
3-3-3. バスケットボールを使った練習
この練習でエントリー、キャッチ、プル、プッシュの全ての動きが一瞬の動きとして体感することができます。
両手、右、左、交互にやりましょう。
3-3-4. 逆利き腕練習
それから右利きの人は毎日の生活を左利きに変えて生活します。
すなわち、箸を使うても通常の逆です。危険を伴う場合以外は全て利き手と逆の手を使いましょう。
これはとても楽しいです。
4. まとめ
以上、水泳でよく行われているプル練習ドリルについて、プルをより強化するための効率的な練習方法についてまとめてきました。
初めて触れる考え方もあったかもしれません。
そしていつも行なっている練習で新鮮味に欠けた内容だとの感触を持たれた水泳選手もいらっしゃるかもしれません。
私はプル、キックの練習ドリルを個別単独で行うのに決して反対するものではありません。
でもプル強化練習に重点をおいたメニューであっても必ずキックもコンビネーションスイムも行いながら進めるべきというのが私の考え方です。
水泳は本来筋力を鍛えて速く泳ぐものではないと考えています。
上手く泳いでいてこそ、筋力が向上していくものだと思います。
どうぞ水泳練習は楽しくなければいけないと私は思います。辛い練習は続けることが難しく気持ちが暗くなってきます。さあ今日も頑張ってプールへ・・・!
この記事は私が考える理想というか考え方に基づいた今回のプルの強化練習についての内容だという点を最後にお断りしてこの記事は以上とさせていただきます。
なお、以下の記事もとても興味深い内容となっていますので併せてお読みいただければ参考になると思います。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。