水泳を始めて最初に経験する練習課題ははバタ足・・・
バタ足ができない。どうすればいいのかわからない。前に進まない!こんな状況を打破できないビギナーの方も多いと思います。
幼い子供の頃に覚えた自転車を思い出してください。
すぐに乗れる人は誰もいなかったと思うのです。自転車の後ろをお父さんに持ってもらったり、補助輪を付けたりしながらいつとはなしに自転車に乗れるようになったはずです。
水泳のバタ足もまた全く同じです。
さらにバタ足は水中の中で行います。自転車よりも難しいかもしれません。でも水の中ですからケガはありません。
慌てることなく、楽しくバタ足練習を続け、そしてクロールへの展開を目指していきましょう。
目次
1. 水泳の基礎!バタ足のやり方と練習方法
水泳で一番最初に習うのがクロールですよね。
そしてクロールで一番最初の練習プログラムがバタ足です。
左右交互に水を両腕でかいて進むクロールなのにどうしてバタ足が必要なのか疑問だと思います。
1-1. バタ足とは?
両方の脚によるバタ足の動きが無ければ足は沈んでしまいます。
沈んでしまえば大きな水の抵抗を受けて失速原因となり腕で得られた推進力を失なってしまうのです。
従って最小限度下半身に浮力を付けて浮き上がらせる必要があります。
加えてなお身体全体に与える浮力、そして推進力の一助となるような足の動きが理想的なバタ足となるのです。
水泳者の技量、テクニックによっていろいろなバタ足があり、そのやり方も千差万別です。
バタ足はクロールの右腕左腕による1サイクルのストロークの中で右左1回ずつキックを打つ2ビートキック、その2倍のキックを4ビートキック、さらに6ビートキックとバタ足のサイクルピッチが一般的には3種類あります。
また人によっては変速ビートといって左右対称でないとかキックを打つ方向や角度が違ったり、深さが異なったりとまちまちの場合もあります。
では実際のバタ足を行っているデモンストレーション動画を下に掲げますので、参考にされると同時にバタ足のイメージを頭に焼き付けて欲しいと思います。
この動画をみればバタ足のやり方がイメージとして理解されると思います。
1-2. バタ足のやり方
では実際にバタ足のやり方について解説していきます。
前章の動画でだいたいのイメージはつかまれたと思います。動画の水泳者はとても軽やかに気持ちよさそうにバタ足をされているのが印象的だったと思います。
まず最初にもっと自分のご身体でイメージを膨らませていきましょう。
1-2-1. 両腕でバタ足(手)物を浮かせて検証
お風呂に浸かって、両腕を前にだして両手の甲で水を叩くようなバタ足キックの真似事をやってみましょう。
次のやり方で両腕のバタ足をやった場合どれが一番推進力があるか?
ピンポン玉でも石鹸箱でも何でも良いですが浮くのもを手の先に浮かせてそれがどう動くかで評価するといいでしょう。
2肘を折ってのバタ足(手)
3脇から肘、手首、指先と全ての関節をしなるように動かせるバタ足(手)
さてこの3つを実際に体験してみてください。どのやり方が一番浮かせた物が速く動くのはどのやり方でしょう?
答えは3のやり方となります。
1のやり方ですと、バタ足による波は手の周囲に同じ力で広がり推進力には乏しいです。浮いたものはあまり動くことなくその位置付近で並みに漂っていると思います。
2のやり方では、起きる波は大きくなりますが1と同様に推進力としてはやはり乏しいです。
でも3のやり方では、腕の付け根から発した力は肘関節、手首関節、指関節と伝わり増幅され、手首関節の滑らかな動きが水を前方へ押しやり浮いたものが漂うのではなく前に進んでいきます。
これがバタ足のやり方なのです。
腕によるバタ足(手)でどのようなやり方のバタ足が効果的かをご自身で体験なさってイメージを膨らませて欲しいと思います。
この両腕バタ足(手)は楽しくて面白く、とても勉強になりますので是非お風呂でやって見て下さい。
浮いたものの動きでバタ足の評価が一目瞭然です。
1-2-2. 効果的なバタ足(手)の振幅と回転数
では両腕を使った効果的なバタ足(手)の振幅とはどう考えれば良いでしょう。
すなわち手の甲を水の中に深く蹴り込むのがいいか、浅い蹴り込みが良いかです。
これは深い蹴り込みが良いに決まっています。そしてさらに回転数が高ければいいに決まっていますよね。
そしてこれは組み合わせが考えられます。大きな振幅に大きな回転数から小さな振幅に小さな回転数など組み合わせが考えられます。
そして、これにはもう一つの要素として体力との問題が加味されます。
どの組み合わせが良いのか個人差もあるでしょう。好き嫌いもあるでしょう。
こういう要素があることを覚えておきましょう。
1-2-3. 効果的なバタ足(手)の位置
では最後にバタ足(手)の位置の問題があります。推進力の一番強りところがどこかという点です。水面上か水中かです。
手が水面から出てのバタ足がいいのか、手が完全に沈んだ状態がいいのかです。
この問題も一部体力の問題もあるでしょう。水没中のキックは水の抵抗を受けて疲れます。水泳者の泳ぐ位置水面上を平行にキックするのが良いと思います。
1-3. 止まってのバタ足の練習方法
ではプールサイドで止まった状態でのバタ足練習をやってみましょう。その練習方法のやり方には次のようなものがあります。
1-3-1. プールサイドに座ってのバタ足
プールサイドに腰掛けて足をプールの中につけて、まずは膝に近いところまで座ってバタ足練習をやってみましょう。
お風呂で行った両腕のバタ手のやり方の要領です。
この場合には膝から下しか使えませんから膝と足首を柔軟に動かせてしなるようにバタ足をやってみましょう。
そして次は腰が少しプールサイドに引っ掛かる程度の浅い座り方で、足の付け根が使えるような形でバタ足をやてみてください。
もし浮いているボールがどうなるか仮定して推進力が得られるようなバタ足に挑戦してみてください。
1-3-2. 両肘をプールサイドに固定した練習方法
ではプールに入りプールサイドに両肘をついて固定させたやり方で、実際に足をつかって足の甲で蹴るバタ足をやってみましょう。
脚の付け根から膝、足首、足指の全ての関節を柔らかく使って鞭がしなるようなイメージで水面上に浮いているテニスボールを蹴り込むようなイメージです。
上手くキックが打てれば「ズボッ!」というような音があります。「バシャバシャ」では効果的なバタ足とは言えません。
1-3-3. 全身を浮かせての練習方法
では次に両手でプールサイドをつかみ、全身を水面に浮かせるようにバタ足を同様にやってみましょう。
やりにくいようでしたらどちらかの手で水中の壁を支えるといいでしょう。
この練習を繰り返せば、バタ足のイメージが膨らみやり方がしっかりと頭に焼き付けられると思います。
1-4. ビート板を使ったバタ足
では次にビート板を使ってバタ足練習をやってみましょう。
ビート板はプールにいつも常備されているアイテムですから遠慮せずに使いましょう。
今までやってきたバタ足練習の実地での練習方法となります。
いろいろなバリエーションの練習方法を試してみてご自分にとってやりやすく、疲れなく、それでいて前に進むバタ足を見つけてください。
そして最初から25mをめざすのではなく、10mでも20mでもいいです。少しずつ日々距離が伸びるという考え方で良いです。
けっして無理をしなようにしましょう。苦しければ楽しくもありません。それに長続きもしません。
バタ足は自転車と同じとお考え下さい。
そして前に進むというのが評価基準ですから、前進しなければ何らかの原因で推進力が得られていないことの証明ですから今までやってきた練習方法のチェックを行い、検証してみましょう。
考えられる良くない点を列挙すると
・膝が曲がらずに棒切れのような足でバタ足
・下半身が沈みバタ足となっていない
大まかに言ってこれら3つのポイントで前進ができないと考えられます。
1-5. グライドでバタ足(ビート板を使わない練習方法)
では最終形のバタ足です。ビート板を使わないやり方のバタ足グライドキックです。
このグライドキックという練習方法は顔を水に沈めてのバタ足となりますので、息継ぎをしなければなりません。
バタ足中に息が苦しくなれば、平泳ぎをする要領で息継ぎをしましょう。
そして息継ぎができたらまたバタ足に入ります。この繰り返しです。
この練習方法はクロールの泳ぎ方全て習得してから行う練習方法なのですが、実際のクロールのスイムストロークに入る前の練習方法としても効果が高いものです。
2. バタ足の上手になる初心者向けのコツ

それではバタ足の練習方法とコツについてお話しさせてもらいます。
細かな練習方法は前章でも説明してきましたが、ここではバタ足のコツに重点を置いた練習方法をご紹介します。
バタ足の手順はやり方については前章で両方の腕で仮想体験するバタ足ななぬバタ手で解説を試みてみましたが参考になったかと思います。
では実際の水泳練習でおこなうバタ足について練習方法をお話しします。
2-1. バタ足は直ぐには上手にならない
子供達にクロールを指導する場合もバタ足は本当に苦労します。ですからもし貴方がシニア世代なら、本当いうまくいかないものだとまず認識いただいて焦らず、のんびりとバタ足練習を行っていきましょう。
「私はなぜバタ足が出来ないのだろうか?」と思い惑う前にこの状態が普通なのだと理解してください。どんな水泳選手でも初めてバタ足をやったときは誰もが通る道なのですから大丈夫です。
2-2. ともかくバタ足をやってみることから
ともかくプールの壁を蹴って、前に前進です。下半身を浮かせる意識を持ってともかく足をバタバタ動かせてバタ足を始めることです。
そして前進のスピード、ご自身の疲労度を実感してみましょう。
壁を蹴る初速がありますから、最低5mは前進するはずです。そして次はプールの底を蹴ってまたバタ足を始めましょう。
5m目標です。
こんなバタ足練習からスタートして、少しずつ前進するように今まで話した練習方法を思い出して少しずつ発展させていきましょう。
2-3. 25mバタ足が出来てからの練習方法
25mまでは特段の練習方法はありません。基本に忠実に素直な気持ちでともかく時間がかかっても25mを目指して頑張りましょう。
2-3-1. 25mのバタ足が出来たら必ずターン
さて、25mのバタ足が出来るようになれば、とても達成感があると思います。
でも25mに達したら必ず、ターンをして壁を蹴りましょう。
ターンのやり方はあまり考えずに底に足がつかないように方向転換して壁を蹴ってバタ足を1、2回やってから止まりましょう。
25mしか物理的に水泳ができなから止むを得ずターンをしているだけなのだと理解して欲しいと思います。
そしてまた50mを目標に頑張って欲しいのです。
2-3-2. 背泳ぎバタ足
では25mのバタ足ができるということはバタ足のやり方が十分に理解されていることの証明でもありますから、素直に喜びましょう。
それだけに水泳にもなれて来たと言えなくもないですが次は背泳ぎのバタ足に挑戦してみましょう。
これこそ背泳ぎキックなのです。
近い将来背泳ぎを始める頃にはもうすでに背泳ぎキックがマスターできているかもしれません。
バタ足練習はとても地味で退屈、苦しいだけの練習方法との誤解が生まれあまり感心しません。
今のバタ足練習の初歩段階から積極的に他の泳法のキックも練習して楽しい練習方法を見つけていきましょう。
2-3-3. 横向きバタ足

次は横向きバタ足です。
水平状態から真横を向いてバタ足を水平に蹴るバタ足の練習方向です。
またビート板に前の方に手の平を乗せるだけでもいいです。
仰向け、横向きとどんな体勢でもバタ足が打てるようになるのはとても素晴らしい身体能力ですので、これからのクロールのスイムにもその他の水泳種目にもとても有効な練習方法ですから遊び感覚でやってみましょう。
2-3-4. バタフライキック
では次の練習方法はバタフライキックです。バタ足を左右の足を同時に動かせるイメージでやってみましょう。
二本の両足が1本の足になったような気持ちでやってみてください。
バタ足のやり方がしっかり頭に入っていれば上手にバタフライキックができると思います。
2-3-5. 潜水バタ足
次は潜水バタ足です。この練習方法はスタート・ターン時に壁を蹴って初速を得ますが、その時に強いバタ足によって浮き上がる練習方法です。
プールの壁を蹴って5mラインを通過する頃に浮き上がってきます。その浮き上がりに失速しないように、そしてさらに加速するイメージでバタ足による浮き上がりを練習しましょう。
そして今度は浮き上がらずに息が続くかりぎ潜ったままバタ足を続けます。
まずはプールの15mくらいまでを目標にして練習をやりましょう。
水中でのバタ足の推進力を体験してみてください。そのスピードと抵抗を受けないご自身のバタ足に惚れ込んでくることでしょう。
2-4. 一番楽なバタ足のやり方とペース
次の練習方法についてですが、
今まで、バタ足のやり方を中心に練習方法を紹介してきましたが、どれも初めての経験だったことで、疲労もかなりあると思います。
ではここでは一番疲れない、バタ足を探しましょう。

この練習方法で安定したバタ足が余裕を持って継続できるメリットがあり、有酸素運動水泳の1泳法となるでしょう。
3. バタ足からクロールへ

それではバタ足練習からクロールのスイムストロークに入っていきましょう。
ここまでの練習方法を説明して練習実績を積まれてきた方なら、多分ほとんどの方がクロールを手と足を使って練習されていることと思います。
今更、ここで手を足のタイミングとかクロールの泳ぎ方などについて解説をする必要はないかもしれません。
3-1. 手と足のコンビネーション
クロールにおける右左の腕のかき1回を1ストロークです。その1ストロークの間にキックを何度打つかで2ビート、4ビート、6ビートと言う具合にストロークに対するバタ足のテンポが異なっています。
速いスピードを要求する場合には6ビートを基本にテンポ・ピッチを上げてスピードアップを測るのが一般的です。
この状態におけるバタ足の推進力は相当なもので船のスクリュウにも匹敵する推進力が出ているはずです。
そして右腕が水中をかきおわり、リカバリーに入り空中を腕がエントリーポイントを目指している頃、もう一方の左腕がプルに入っていきます。
このエントリーしてプルに入るもっとも腕力を必要とする瞬間に強いキックを打ってタイミングを合わすと言うかペースを作っていくような泳ぎ方を水泳選手はします。
私のクロールは2ビートですから、右足キックと右腕プルを同時でキックはそのタイミングに打つ言ってみれば反動合図と言ってもいいかも知れません。
要所要所で強いキックでプルのタインミングを合わせると言うのもコンビネーションスイムの一つ練習方法でありコツです。
3-2. 浮き上がりのバタ足
そしてターン前には必ずバタ足も最速スピードで突っ込むクセづけが競技会などではいい結果を残せます。
ターンスピードが速いければ速いほどスムーズなターンが完結します。
3-3. ゆったりと優雅なスタイルのクロール
それからバタ足からクロールの展開で大切な練習方法はゆったりとした大きなフォームのクロールです。
大きくてゆっくりとしたテンポのバタ足でも、速いテンポのバタ足でもともかく疲れないクロール、疲れないバタ足についても両者ともに試してみてどちらがご自身に合っているか、どちらが速いかを把握しておくことも大切なコツであり、クロールが上手になるためのやり方の一つです。
3-4. バタ足練習で水泳の基礎体力を鍛える

バタ足練習をしっかりやることは水泳に必要な基礎体力や身体能力を高めるためにとても有効な練習方法です。
バタ足は誰もが嫌がる練習方法ですが、上手なればなるほどバタ足練習に時間を割くのが正当なやり方だと私は思います。
バタ足の速い人がクロールを制すると言っても過言ではありません。
そして上手になればバタ足練習が苦になりません。

そんなこともあり、ビギナーのうちからどんどんバタ足練習に精を出して、バタ足が上手と言うのとスイムコンビネーションが上手と言うのは相関があると考えています。
そしてバタ足という練習方法は単に足を鍛えるだけではありません。
長時間のバタ足をするためには相当の体幹部の筋肉の強さが必要であったり、バランス性、効果的な上半身と下半身のタイミンングもとても重要です。
そんなこともあり、水泳練習でバタ足練習はいろんなバリエーションで飽きないようにそしてモチベーションが向上するように知恵を縛らなければならないと思います。
4. まとめ
以上水泳種目自由形クロールの練習基本であるバタ足についてその練習のやり方、そして練習方法について解説を含めてお話してきますが。
いかがでしたでしょうか・・・
早速バタ足に挑戦してみようかと感じ取って頂けば幸いです。
特に私は専門が平泳ぎでしたのですが、平泳ぎ以上にクロールに関してもかなり勉強もしてきました。
そしてジュニアの水泳教室でクロールを教えてきた経験があります。
子供達に難しい理論的なものを教えてもあまり意味がありません。バタ足さえやらせておけば時が来ればバタ足は上手になりクロールも上手になるのですが、そうも言って要られません。
子供達にはこの記事でも述べた楽しい練習方法を教えてやればとても楽しんで頑張っています。
潜水バタ足とか、バタフライキックとか、横向きバタ足などは喜んで夢中にやっていました。
そんな記憶もあり、嫌な練習方法の代名詞的存在のバタ足ですが、少しやり方に面白みを加味させた大いに練習してほしいものです。
バタ足が上手になれば間違いなくクロールは上手です。
そして水泳に必要な身体能力を高めてより優雅に楽しく泳いでいきましょう・・・
この記事は以上とさせていただきます。
最後までお付き合いいただき、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
なお水泳バタ足やクロール関連で以下の記事もとても興味深い内容となっていますのでご一読ください。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。