水泳競技会前のテーパーメニューとは!メンタルも忘れないで・・・

水泳競技を控えた練習でテーパー(調整)を意識した練習メニューについてはとても関心のあるところです。

本来テーパーの必要性が高いのはマラソンに代表されるような持久系の競技には必須とされています。

しかし、水泳競技においてもやはりレース本番に最高のパフォーマンスを出すためにもトレーニングでの疲労を解消して万全のコンディションでレースを迎える調整はとても重要です。

この記事では水泳競技を想定したテーパーの考え方やメニューについてまとめてみました。

特にマスターズスイマーにとってはレースへの不安からかえって本来調整を行うべきレース前1ヶ月になるとかえって練習量が増えると言った傾向も感じられます。

日々のトレーニングメニューとテーパーメニューとで注意しておくべきポイントについて詳しく解説していきたいと思います。

いしはら
こんにちは!

けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。


1 水泳競技にテーパー(調整)が必要なのか

フルマラソンに代表されるようなとてもハードな競技に関して日々の練習量は相当なものでその疲労たるや部外者には想像を絶するものがあります。

精神的なプレッシャーも加味するとレース前1ヶ月ともなれば心身ともにその不安や苛立ちも多いことと思います。そこでレース前3週間あたりから少しずつ練習量を落とすなどのテーパーリングが必要とされ、コーチなど指導者も含めてテーパーを意識するのが一般的です。

このレース本番を前にしたテーパーは競技のいかんに関わらず必須と私は考えています。

ただそのテーパーメニューについては各選手個人の個性があり、個人差も考慮すれば10人と色と言えるのではないでしょうか。

必要なことは競技会の1週間前には確実に選手本人のレースの合わせて最高のパフォーマンスが発揮できるように心身ともにベストコンディションに持っていけるように調整テーパーが必要となってきます。

従って水泳競技には当然ながらテーパー期間は必要であり、指導者と選手本人との意思疎通のあるテーパー練習が必要です。

通常練習が泳力強化スタミナ強化目的であればテーパー期間中はスピード強化・スタミナ調整といったメリハリのあるテーパーメニューが必要となるでしょう。

水泳競技の特色

水泳競技は陸上競技にも匹敵し、スプリントと持久力も要求される競技です。

しっかりとした目標と綿密な計画に沿ったトレーニングの蓄積がなければ自己ベスト、大会記録を突破するのはとても難しい競技です。

そしてハードな練習をしたからといってその練習に見合う記録が出る可能性も低く、どうしても練習が荷重となり肩や膝などの故障といった弊害も出てくるものです。

これらは水泳に限ったことではありませんか、コーチや先輩など指導者と綿密な意思疎通に基づいた日頃の練習が重要です。

練習がかなりハード

水泳は水の中で泳ぐと言う基本運動を競う競技であることから、単に筋力アップだけで速く泳げると言うものでもありません。

速く泳ぐ結果としてどうしても身体が受ける水の抵抗は大きく、筋力アップだけの要因だけでなく、水の抵抗と言う要因を無視できず、いかに水の抵抗を少なくするかと言うフォーム・姿勢の要因が大きな競技です。

そのため、どうしても練習は長い距離を泳いぐ必要があるものの、必要最低限の筋力アップにとどめ、抵抗を抑えるテクニックが必要となります。

競技会を目標にするのであれば競技会日程とレース当日までの練習日程をよく検討して練習計画を立てなければなりません。

その中でテーパー期間をどうするのかも併せてプランニングしておかなければなりません。

テーパーが難しい

レース経験の豊富な選手であってもその時々の体調や精神状態など複雑な要因が絡み合い、レース前になるとテーパーに苦労するのが通例です。

選手個人で練習計画を立ててテーパーを個人でも行いレースに臨むと言うケースもありますが、通例は仲間のメンバーが居てお互いに競い合いライバル意識を持ちながら練習するのが一番好ましいとは思いますが、何もかも一人でとなると本当に骨が折れます。

競技会前1ヶ月になってやっと本格的な練習ができるような場合も仕事を持っているマスターズスイマーであればよくあるケースです。

こうした場合には本来テーパー期間中であるはずが、本格練習をしながらテーパーを考慮して身体を作らなければなりません。

最低1週間前までには身体を作りスタミナ練習によって泳力をつけ、最後の1週間をテーパー機関として調整をしながらスプリント能力を上げていく必要があります。

2 テーパーの基本的な考え方

それではテーパーについて述べる前にそもそも競技会の目的は「より速く泳ぐ」なのです。そして自分自身が「誰よりも速く泳ぐ!」これが究極の目的です。

ではより速く泳ぐためにはどのような練習をすればいいのかです。

レースの本番に置いて最大のパフォーマンスを発揮させる!これに尽きるわけです。

この最大の目的があればレースの度に自己ベストが出て当然なのですが、決してそううまくはいかないですよね。

筆者の例

私の場合を例にあげると、40代の前半までは日頃の練習で記録はイマイチ自己ベストが出なくてもレース本番では自己ベストが出る確率が非常に高く、時には驚くような記録が出たといったケースがありました。

そして、これが私の頭にあり私自身の認識でした。

でも40代半ばを過ぎてからは練習で出せない記録はレースでは出ない!

私の記録データから言えるのは練習時とレース時の記録の様相が40代を境にして一変しました。

これは単なる固定概念として定着しているのかもしれませんがデータが物語っている結果なのです。

従ってテーパー期間中のテーパーの目的としては

・30代まで(疲労の排除)

日頃の練習による疲労や筋肉のコリなどをほぐして競技会のスケジュールに体調を合わせる工夫が大切でした。

いしはら
そのためにもレース当日前3週間くらいには練習量を2割削減しました。トータルスイム距離の削減はもとよりインターバルトレーニングも同様に2割の削減をしました。

そして2週間前にはさらに2割の削減を行い、1週間前にはスタートダッシュ、ターンダッシュ中心に行いました。

・40代以降(良い記録を目指す)

そして40代以降は目標タイムをテーパー期間中に出すと言うのを目標にテーパーを行いました。

いしはら
1日の練習アップ終了後を中間に2本のタイムトライアルを行って100%パワーで泳ぐ練習をしました。

そしてそれは今の同様な考え方で無理のない疲労が翌日に残らない配慮をしています。

テーパー期間中に悩まない

テーパー期間に突入すればストレス・プレッシャーも相当なものとなります。

この段階ではレースプランは既にできていなければなりません。

簡単に言えば最初から飛び出していくか、前半は抑えて後半にスパートをかけるかです。

どちらも一長一短、どちらも正解です。

そして最後まで悩みます。自分のレースが次!と言う最終段階になってプランを変更するといったケースもあり得ます。

私の場合にはこう言う時は必ず良い結果にはなりません。

そしてどちらのケースも経験済みです。

意識の中ではスタートから飛び出していくレース展開が私の場合成功例が多かったです。

前半抑えると言うのはレース本番においてはその加減が極めて困難です。たとえ80%に抑えたとしてもレースでは他のレーンの影響を受けてしまいます。

従って、最初から飛び出していくレース展開を前提にしたテーパーを考えて練習を行いました。

100mのレースであれば最初の25mで自己ベストを出すイメージでスタートするテーパーを行いました。

いしはら
そのために出来るだけテーパー期間中は全体練習量を抑えて、タイムトライアルは1日2、3本行い、その他の練習は25mのインターバル中心に練習メニューを立てました。

これは私の経験と自分自身のデータから考えたことなのですが、これは人それぞれ千差万別だと思います。

ご自分でレース展開、レースプランをしっかりと立てて、そのプランに沿ったテーパー練習メニューを立てるべきと思います。

3 テーパーメニューの実例

これから実際の練習メニューについてお話しをさせていただきますが、この記事での基本的な考え方を中心に説明していきます。

従って実際の練習メニューの立案については選手本人の力量に照らして配慮されることが大切です。

練習メニューの基本パターンの1例

メニュー例

up      400 im

s1  s  50  k 50  p 50  s 50 × 5set

s1   100 × 2

s1     75 × 3

s1     50 × 4

s1     25 × 8

down   400 im

total 2625m 

こう言う練習メニューを想定したとします。

これは私が若い時によくやっていた練習メニューなのですが、s1は自分のエントリー種目ですが練習ではs1にこだわることなく苦手は種目であったり泳ぎたい種目であったりと自由に選択して泳ぎました。

もしこのようなメニュー例があった場合において以下の課題に当てはめてメニューをどう考えるかです。

基礎的な泳力(スタミナ)をつけるメニュー

では基礎的な泳力(スタミナ)をつけるメニューについて考えていきます。

泳力がスタミナだとすればトコトン泳ぎ込む練習が必要なのかもしれませんが、疲労を考慮すると短時間で泳力を高め合理的に考えるべきと思います。

従って、上記の練習メニューの泳ぎ方に注目すべきと思います。

水泳の練習メニューでよく見かける記号にA1、EN1、AN1と言う記号をよく見かけると思いますが、

EN系

A1:(Aerobic1)ウオーミングアップやクールダウンでよく使う記号で心拍数を120/minくらいにあげるパワーを言います。

EN1:(Endurance1)持久力トレーニングをさします。1〜3段階のパワーで現しています。

(EN1:心拍数120〜150、EN2:心拍数170、EN3:最大心拍数)

このように練習メニューにそれぞれ泳ぐパワーを考慮して練習効果をあげるものです。

この時期において泳力(スタミナ)をつけておく必要がありますので、EN1、2のパワーでしっかりと心拍数を上げていく必要があります。

各練習メニューにおけるインターバルは15秒程度が望ましいでしょう。

瞬発力(スピード)練習メニュー

次に競技会の1ヶ月ほど前になればスピード練習を取り入れる必要があります。

スピード系の練習を入れていかなければなりません。

AN系

AN1:(Anaerobic1)スプリント瞬発力トレーニングをさします。これも1〜3段階のパワーで現しています。

(AN1:最大心拍数、AN2:最大心拍数(全力泳)、AN3:自己ベストを狙う)

先ほど述べた練習メニューの中にAN1、2練習などを入れていくと言う考え方です。

ENパワーとANパワーを練習に入れていくことでよりスタミナもスプリント能力も狙っていきます。

そしてインターバルはENと異なり2分くらいのインターバルをとって行います。

それはこのANパワーは乳酸を蓄積させるのが目的ですから2分と言うインターバルでしっかり休息をとると同時に乳酸が蓄積し始めるのが2分後と言われていることから身体が動きにくい状況でまた同じパワーを引き出すという狙いがあります。

テーパー期間メニュー

では競技会1週間、10日前となりました。テーパー期間となりました。

この段階では全体練習量(Total距離)を落としましょう。

そしてAN系主体の練習に切り替えていくのがいいと思います。

ウオーミングアップが終われば早速スタートダッシュ練習を行いましょう。狙いはタイムトライアルです。

そしてAN1、2、3とAN系の強度も高めていき、自己ベストを狙っていきます。

AN3では完全に自己ベスト狙いです。それも短い距離で頑張っていきましょう。

インターバルは2分以上取って自己ベストが出るようであれな1本で十分だと思います。

そして練習メニューにあるS・K・P・SでEN1レベルで調整を行いましょう。

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4 より重要なメンタルテーパー

前章まで私が考えるテーパーリングについて基本練習メニューの1例を示してお話しをさせていただきましたが、テーパー期間に最も大切なことはメンタルをいかに強固に、レースで良い結果を出し切るかです。

これはトップスイマーも同様に悩んでいることです。

選手権などの競技会では予選(準決勝)、決勝とレースのスケジュールが決まっていますが、マスターズレースではタイムレース決勝で1発勝負で結果が出ます。

そのためにもテーパー期間中にしっかりとしたレースプランを煮詰めておく必要があります。

そしてレース当日にはなんの悩みもなくレースに臨む心構えが大切です。でもこれは至難の問題です。

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目標設定と競技会エントリー

年間目標を立てましょう・・・!

今年は自己ベストを更新するのか、競技会で優勝するのか、大会記録を狙うのかそれとも競技会開場めぐりをするのか・・・

選手自身、あなたの年間計画を立てましょう。

その計画に基づきエントリーする競技会を選定しましょう。

そしてその計画に従って年間練習メニュープランをたてる必要があります。

礎的な泳力強化、ウィークポイントの洗い出しとその解決、エントリー競技会を目指したトレーニングプラン作り。

このように1年1年を大切に計画に従って実行していきましょう。

メンタルの強化

上記の年間トレーニングプランとエントリー競技会、競技種目が決まれば、まず既に達成できたイメージとしてありありと形作っていきましょう。

成功イメージ

自分のレース終了後の電光掲示板の一番上の欄には自分のレーンNOと名前、記録が表示されています。そして一番右にはGR(大会記録)と表示されています。

このシーンをありありイメージとして描き、自分のガッツポーズが見えます。

ここまでありありとイメージしながら日々のトレーニングに努めましょう。そしてゴール後、チームに戻ったときチームメイトに「おめでとう」と賞賛された時にどんなコメントを言うかまでしっかりと考えておきましょう。

こんなふうにイメージを育てて明確にしていけば、不安、プレッシャーから開放されます。

テーパー期間中に入ってテーパーメニューを消化する上でも、全く違ったメンタルで臨めます。

テーパーメニュー実施のアドバイス

テーパー期間における練習に際して、自分の隣のレーンには自分よりの速い人を選んで泳ぎましょう。

いしはら
私は学生時代には平泳ぎが専門種目だったので、自分の隣のレーンには背泳ぎ選手を選びました。理由は最終ゴールでは負けてしまうのですが、スタート25mは私に分があります。そしてラストスパートでは背泳ぎについていく展開を練習しました。

それから、自己ベストが出るときは練習であれ本番レースであれ全く疲れていません。

イメージしたゴールシーンを現実化させるために知恵を絞ってテーパーメニューの充実を図りましょう。

本当に不思議です。ゴールして疲労感があればまず間違いなく自己ベストを更新しておらず、かなりのタイム差があるはずです。

テーパー期間中にAN系の練習メニューでAN3の全力で自己ベストを狙いにいっても疲労感があればもう一度EN系に戻りその日のAN系は中止しましょう。

EN系に戻し練習量を落とすもしくは完全休息で練習を休みましょう。

そして完全休息してイメージテーパーに徹して次の機会を狙いましょう。

そしてテーパー期間中にAN3で疲労感を感じない感覚を得ましょう。

イメージテーパーが完璧であれば必ず疲労感がなく、練習AN3で自己ベストが更新されると思います。

そしてそのままレース当日を迎えます。そして当日競技会プールでウオーミングアップをすると、なんとも幸せな気持ち良さに包まれます。

それはまさしく調子が良い、絶好調といえるでしょう。

メンタルテーパーの構築なくして絶好調コンディションはありえないと私は思います。

5 自己ベストを目指して

さあ、競技会当日を迎えました。後は自分のレースを待つだけです。当日の召集場での不安とプレッシャーはたまりませんが、音楽を聴くのもいいでしょう。何か言葉を唱えるのもいいでしょう。

私なら、お気に入りの音楽を聴きながらゴール後、仲間のところに返った時のコメントを今一度修正します。もっとかっこ良く素敵な言葉を探しながら自分のレースを待ちます。

自分レースで他のレーンの選手が強く見えるのは不安があるからで、メンタルテーパーがもう既に失敗しており、勝てるはずがありません。

隣レーンの選手と笑顔で「頑張りましょう!」とアイコンタクトなどがベストでしょう。

その時点でもうこっちが優勢です。

でも狙いは記録です。自己ベスト目標ですから、自分の立てたレースプランにしたがって惑わされてはなりません。

最初から全力でぶっ飛ばす選手もいれば、そうでない選手もいます。

召集場ではともかく、もう「まな板の鯉!」身体が気持ちよく感じられるようにリラックスして待ちましょう。

さあ、前のレースの選手がスタートして自分のレースがやってきました。召集場から自分のレーンに向かいます。クラブチームに目をやり同僚の視線を確認しましょう。

チームメイト全員が歓声を上げています。

こんな幸せなシーンがあるでしょうか!とことんこの幸福感を味わいましょう。

今一度真正面の電光掲示板の一番上を見つめましょう。いまは何も表示されていません。あと1分程度で自分の名前が一番上に表示されます。

号砲とともに一斉にスタート、入水のときに水の冷たさが気持ちよく感じられたら絶好調です。まず間違いなく浮き上がりトップに違いありません。

あとはゴール目指して、全力で泳ぐだけ、そしてゴール前25mは完全AN3でぶっ飛ばしましょう・・・

6 まとめ

以上、水泳競技におけるテーパーについてその考え方そして具体的なメニューについて詳しく述べてきました。

練習メニューについては私のよく行う1例を示しましたが、メニューは各指導者によって考え方も違い、いろんなメニューが考えられます。

一概にどれがいいかは言えません。

どんなメニューを行なおうと、メンタル面がしっかりしていなければメニューなどなんの役にも立ちません。

むしろ、疲労が蓄積し、故障の原因にもなりかねません。

私のようなシニア世代になってから学生時代にやっていたようなメニューをこなせるわけもありません。

テーパー成功の鍵

目標設定のやり方、イメージの醸成方法、自分を信じてさえいれば自分のイメージがテーパーメニューにも生きて来ます。

テーパーがメンタルと練習メニュー成果がバッチリ上手くいったときの尺度は本文中にも述べましたが自己ベストを狙って全力で泳いでも全く苦しくありません。

これが最大のチェックポイントだと私は今でも信じています。

たとえ、結果として自己ベストが出なくても、大会記録の更新であったり、優勝していると思います。

そして、このレースの後、すぐにリレー種目があっても全く疲労感は無くやる気満々でリレーに臨めると思います。

今日は調子が良い!これはテーパーに成功した証拠です。

あなたの健闘を祈ってこの記事は以上とさせていただきます。

最後までお付き合いいただき心から感謝しています。ありがとうございました。

 

なお、以下の記事もとても興味深い内容となっていますのでご一読いただければ幸いです。

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