水泳ダイエットをしようと水泳を始められた初心者スイマーにとって、平泳ぎで距離を稼いで泳ぐのはとても的を得た考え方です。
さらに、平泳ぎなら少しくらいは長い距離を泳げそうでも、一体どの程度の距離を泳げばダイエット効果が期待できるのでしょうか?
とは言っても、一般的には「水泳は単調で苦しいだけだ!」
とネガティブな想いを持っておられる水泳初心者も多いと思いますが、実は水泳はとても面白くて楽しい運動なのです。
特に平泳ぎが持つ特徴!「こんなメリットやデメリットがある」ということなども併せて、お伝えしていきます。
1. 平泳ぎで水泳ダイエット
水泳が得意とか好きな人はそんなに多くはないと思います。
それは水泳を得意とする私がプールで感じることは、止まらずに10分も20分も止まらずにずっと泳ぎ続けている人はごくごくまれです。
ジムやスタジオでは混雑していていもプールはウオーキングレーンには人がいてもスイムレーンには1レーンに多くて2人少ない時には1レーンを独占できるほど、プールは空いています。
それは私が通っているクラブの特色であるのかもしれませんが、やはり、プールで水泳は少し抵抗があるというのが一般的な感触なのかもしれません。

道具といえば水着とキャップとゴーグル、タオル類はレンタルにすればいつもの仕事に通うバッグに入ってしまうほどの用具類の量です。
そんな水泳の運動効果、ダイエット効果をこれから検証していきますが、
「水泳は実に素晴らしい有酸素運動だ」ということを感じ取ってもらえると思います。
1-1. 運動強度と消費カロリーの関係式
消費エネルギー(kcal)= METs × 運動時間(時間)× 体重(kg)× 1.05
という関係式があります。
従って水泳ダイエットを考えるときにこの式に当てはめれば消費エネルギーが簡単に計算できます。
1-2. 水泳ダイエットはどの種目が良いか
項 目 | METs値 |
クロール(普通の速さ) | 8.3 |
クロール(早い) | 10.0 |
平泳ぎ(レクレーション) | 5.3 |
平泳ぎ(トレーニング競技) | 10.3 |
背泳ぎ(レクレーション) | 4.8 |
背泳ぎ(トレーニング競技) | 9.5 |
バタフライ(全般) | 13.8 |
水中歩行(ゆっくり) | 2.5 |
水中歩行(早い) | 6.8 |
歩行、散歩 | 3.5 |
歩行、運動目的で早く歩く | 4.3 |
マラソン | 13.3 |
引用:「身体活動のメッツ(METs)表」(独)国立健康・栄養研究所から抜粋
まず、メッツ表から得られたMETs値をみればどの運動強度は優れているかが一目瞭然です。陸上歩行よりも水中歩行、それよりも水泳、なかでもバタフライに関してはマラソンに匹敵します。
もう少し泳ぐスタイルと運動強度を見るとおもしろいことがわかります。
平泳ぎとクロールの違いを考えると、平泳ぎは息を吸うときに顔をあげます。そしてビギナーの場合は常時顔をあげて泳いでいます。それはきっと呼吸が自由だから楽なのかもしれません。
そして背泳ぎは顔が常時空気中にあり、呼吸が自由です。
平泳ぎのレクレーションでMETsは5.3に対して背泳ぎのレクレーションは4.8です。この違いは呼吸のしやすさが一因だと私は考えています。
でも背泳ぎは少し泳ぎのスタイルとしては平泳ぎよりも難易度が高いかもしれません。
2. お薦めする初心者に効果的な泳ぐ距離とは?

平泳ぎは誰でもできる泳ぎ方ですが実は平泳ぎは難しい泳法であることをお話しせねばなりません。
私の専門種目が平泳ぎだからこのことは実感しています。
平泳ぎは4種目の中で一番遅い泳ぎ方の種目でパワーだけでなくタイミングがとても大切なスタイルなのです。それは呼吸を前で息をしなければなりません。その呼吸の時、胸で大きな抵抗を受けます。
平泳ぎは英語ではブレストストロークと言われるくらいです。この抵抗が泳いでいる人には苦しいのです。そしてまた、この呼吸時には下半身が沈んでしまい、その下半身さえもが大きな抵抗をうみます。
したがって、速く泳ぐ、距離を稼ぐには不向きな泳ぎ方なのです。
でも海での水泳は海水という浮力の高い水では顔をあげて遠泳がありますが、その海でさえ、楽に泳ごうと思えばクロールでしょう。
2-1. 平泳ぎはクロールへのつなぎ
・初心者でクロールで距離が稼げない方には平泳ぎでダイエットに必要なつなぎの種目として平泳ぎで距離を稼ぐ
そんな気持ちで平泳ぎをとらえられて、クロール練習も取り入れられてクロールでもある程度の距離は泳げるようになることが好ましいと思います。
そしてゆくゆくはクロールで本格的な水泳ダイエットに変えていってほしいです。
2-2. 平泳ぎのメリット
それから平泳ぎは私の感覚でいけば、推進力は腕が2、キックが8くらいのイメージで泳いでいます。
クロールでの推進力は腕が7、キックが3くらいでしょうか・・・
それだけ平泳ぎのキックの推進力は強いということです。
このことはストローク数に関係します。
25mをどれくらいのストローク数で泳ぐかというと、壁を蹴ってスタートして水中で一かき一蹴りできますので、10m以上は軽く距離を稼げますのであと5回か6回で25mの距離を泳げます。
クロールの場合だと、右左のかきで1ストロークで数えて11回で25mです。
では次にどれだけの距離を泳ぐのかについて述べていきたいと思います。
2-3. 泳ぐ時間
先ほどの公式からMETs値に×時間は1時間です。30分なら0.5です。
そしてご自身の体重で変動します。
比較的やさしい平泳ぎであっても1時間を泳ぎ続けることは容易なことではありません。でもたとえ10分でも20分でも泳げばそれなりに効果を得ることができます。
それに私たち水泳選手がよくやる練習メニューにインターバル練習があります。50mなら1本目と2本目に休憩をいれます。
そして5本とか10本とかある程度のスピードで泳いで泳力強化のための練習をします。ただ、1分も休むと完全休息となるのでトレーニング効果が低下します。
個人差もありますが、水泳ダイエットで考えれば60秒程度の休憩はOKだと私は思います。
このように水泳ダイエットの場合泳ぎ続けるのが最も効果があるのは当然ですが、途中で止まって60秒ほどの休憩を入れることは一向にかまいません。
・ビート版などを使った練習を取り入れて、プールに居る時間はできるだけ底に足を付かないことを心がけて欲しいと思います。
休憩をするのであればウオーキングレーンで水中ウオークをして運動は休みなく継続させることが水泳ダイエットには必要です。
泳ぐ時間はプールに居る時間だと考えればいいと思います。
したがって、水中ウオーキングも含めて30分から45分は頑張りましょう。
そして徐々にウオーキングよりも泳いでいる時間が伸びてくれば良いとそんな風に考えればいいと思います。
2-4. 泳ぐ距離
次に泳ぐ距離についてですが、500mとか1000m泳がなければいけないなどと考える必要はまったくありません。
それは勿論続けて泳げればそれにこしたことはありませんが、
最初のうちはストリームライン練習のイルカ飛びやビート版を使った練習など楽しい時間を過ごすことが長続きするためには必要です。
でも平泳ぎでどれだけ続けて泳げるかというのもチェックしておきましょう。
・このように少しずつ距離を伸ばしていきましょう。
・プールに来たら1回は泳げる距離チェックをしましょう。
・それから足を付くタイミングですが、無理をして頑張りすぎないように苦しくなったら足を付くようにしてください。
2-5. 心拍数
水泳ダイエットでよく議論になる必要な泳ぐ距離などがありますが、
私は心拍数が重要だと考えています。
ウオーキングをするときにもこの心拍数を目安にしています。
有酸素運動の場合はこの最大心拍数の60~80%が有効だと言われています。
私は今でもプールに行けば折に触れて頸動脈に指をあてて計測しています。
6秒間の脈拍を2回数えてその平均を60倍する値をその時点の心拍数と判断しています。水泳では140くらいになるように泳いでいます。
2-6. 週に泳ぐ回数
1週間にどれだけプールに行けばいいのかという点ですが、
水泳ダイエットを考える場合、ウオーキングやジョギングを1週間に何回すればいいのかと同じ質問とお考え下さい。
でも施設利用経費の問題やアクセスの問題もあるでしょう。
それぞれ個人の実情に応じて考えて下さればいいと思います。
天気の良い日はウオーキング、雨の日はプールというのも良いでしょう。
またプール併設のスポーツクラブのメンバーさんなら、ジムで筋トレをした後、水泳で有酸素運動などは最高のパターンです。
2-7. 顔をつけて泳ぐ
それから泳げる距離が伸びた来たら、顔をつけて平泳ぎができるように練習しましょう。
前に述べたMETs表にもあるように顔をつけたフォームスタイルの方が運動強度が高くなりますから、
慣れて泳ぐ距離が伸びてきたら随時、顔を付けて泳げるようになりましょう。
足を蹴って一番推進力がある時には顔を水中に付けてストリームラインの姿勢が取れるように練習してください。
そして腕をかくタイミングで顔を水面にあげて呼吸をするイメージです。
3. 楽しい水泳ダイエットの練習方法

ではここでビギナーの方でも楽しんでもらえる水泳ダイエットを紹介します。
なにも平泳ぎとかクロールなどのスタイルにこだわる必要などありません。
3-1. ビート版などを用具を使って楽しく
プール施設には用具としてビート版やヘルパー、プルブイという練習器材が用意されています。
これらの用具を使って楽しく泳げばそれで水泳ダイエット効果が十分に得られます。
ビート版はウレタン製で手を支え、顔を上げたまま平泳ぎのキック練習や、クロールのバタ足ができます。

またプルブイは両足の股に挟んで腰が下がってしまうのを防ぎながら泳ぐ道具なのですが、クロールを泳ぐ時、腰から下が下がってしまう場合などに使う補助用具です。
そのほか、ヌードルや腰や腕に付けて浮力を高めるヘルパーと言った用具があります。
ヘルパーはジュニア用の補助用具ですから大人には少し抵抗があるかもしれませんが、使ってみるのも面白いと思います。
3-2. 水中姿勢(ストリームライン)練習

それからこのストリームライン練習がとても大切というか水泳の基本練習ですから何度も繰り返して練習して欲しいと思います。
手順はまずプールで立った状態で両手をまっすぐに上に上げて両耳を挟むようにします。
両手は絡めるように片方の手の甲をもう一方の手の平で包み込むように重ねます。
こうすることで頭の上で、手と肩でできる三角形が小さくなります。
背筋は真っ直ぐにです。反り返ってもダメです。
この姿勢(ストリームライン)をプールの壁を蹴って水中に飛び出すイメージです。
正しい姿勢が取れればそれだけ、進む距離が伸びていきますから、繰り返し練習しましょう。
膝を曲げた状態だけのストリームライン姿勢をとって水の中に沈み込みます。
状態がプールの底と平行になったタイミングで壁を蹴って飛び出します。
腹筋、背筋など体幹部の筋肉を総動員してストリームラインの姿勢を維持します。
最初のうちは5mラインを越えられないかもしれませんが、うまくなると少しずつ距離が伸びていきます。
そして推進力が無くなって止まったら足を底について立ちます。
次はプールの底を蹴ってイルカのように飛んでまたこのストリームラインで水中に突入します。
25mの壁までこのイルカ飛びを繰り返して水中姿勢の練習を行います。

この練習を繰り返すことは水泳の基本とも言えるもので、私はウオーミングアップやクールダウンではいつもやっています。
3-3. 水泳ダイエットの魅力
ダイエット運動というというまでもなく有酸素運動です。
水泳以外にもウオーキングやジョギングがあります。
水泳は水中という非日常の環境である水の中の運動です。
幼い時にスイミングスクールに通った方も多いと思いますが、非日常なるがゆえにその後に水泳をする機会はほとんどないと思います。
夏に海へ出かけることはあっても運動として泳ぐことはほとんどないと思います。
でもプールというのは今では冬でも泳ぐことができます。
スポーツクラブにプールが併設されているところも多いでしょう。
さらに、公営のプールも、私営のプールも至るところにあっていつでも泳げる環境が整っています。
それに水の中というのは冷っと感じる水温、浮力、水の抵抗、波、泡など陸上とはまるで違う力が働きます。
腰や膝にトラブルのある方には浮力という強い味方が膝や腰への力をカバーしてくれます。
長時間、水の中にいて身体を冷やさない限り、それは人にとって本当に素晴らしい運動環境です。
ダイエットを考えたときには水の抵抗という運動負荷が高く、身体に優しい水泳を含めた水中運動がプールにはあります。
そして平泳ぎやクロールにしろ、少しずつ泳ぐ距離が伸びる喜びは本当に楽しくモチベーションの維持・向上に恰好の運動です。
こらからも単に水泳にとどまることなく、水中ウオーク、アクアエアロにアクアダンスなどプールでのレッスンメニューにもトライされて
プールで楽しく過ごしていただければダイエット効果はさらに高まることと思います。
4. まとめ
水泳でダイエットとお考えになっている方が今一番気にしていらっしゃる、平泳ぎではどれほどの距離を泳げば効果があるのかという点について
私の経験も交えてここまで述べてきました。
平泳ぎであれその他の泳ぎであれ、距離よりも時間を意識してウオーキングや平泳ぎ以外の泳ぎも含めて止まらずに最低30分は動き続けましょう。
ともかく、必死に25m泳いで壁で10分以上も休んでいるようではダイエット効果は期待できません。それに必死に泳いだことで、筋肉に乳酸が蓄積され身体への負担も大きく、あまり好ましい泳ぎ方ではありません。
ゆっくりと優雅に長い距離を泳ぐというのが最高の泳ぎ方であることをまとめとさせていただきます。
いかがでしょう、お楽しみいただけたでしょうか・・・
また水泳効果で忘れてならないことに、子供が水泳教室に通う、大きな目的の一つにぜんそくを治したい、もっと元気になってほしいと願う親御さんも多くいらっしゃいます。
これは口コミなのでしょうが、本当に、水泳は免疫力が高くなると私も考えております。水泳をすることで呼吸筋が強化されて免疫力が向上するという説もあります。
私も風邪を引きそうになると泳ぎます。そして風邪知らずというのが私の健康法です。
このような特徴的な水泳効果も頭に入れていただき、どうぞ、水泳ダイエットをお楽しみください。
ではこの記事を以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝いたします。
なお、水泳ダイエット関連記事で以下の記事も興味深い内容となっていますのでご一読いただければ幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。