水泳中、鼻に水が入って苦しい思いや、痛い思いをされたことが誰にでもあると思います。たとえば背泳ぎのスタート中であったり、クイックターン中によく起こります。
中でも一番関心の高いのがクイックターン中だと思います。
でも心配はいりません。理屈さえ理解されて、ターンの要領を練習すれば鼻に水が入るようなことは無く、上手にターンができるようになります。
そしてより上手に素早くターンができるようになって、楽しく水泳の練習に打ち込みましょう。
目次
1. 水泳のターン中、なぜ鼻に水が入るのか?
水泳中、長い距離を泳ぐ場合にターンが必須動作であり平泳ぎやバタフライではタッチターンだけですが、クロールや背泳ぎではクイックターンにより素早くターンすることが可能です。
1-1. 回転で鼻孔が水平より上方向を向く
クロールや背泳ぎをする場合、中・上級者を目指せば必ずクイックターンを経験することになります。
また背泳ぎに関しては仰向け状態で水中に居る時間が長いですから鼻に水が入るリスクも高いです。
それは言うまでもなく鼻孔が水平状態から上に向いた瞬間から下を向くまでの間、なにもしなければ水が鼻孔に侵入するのは自然の法則です。
従って鼻孔が上を向く可能性のあるクイックターンと背泳ぎの水中姿勢の場合には水の侵入を防ぐ対処をしなければなりません。
この鼻孔が水平より下方向を向いてさえいれば鼻から息を吸い込む動作をしない限り鼻に水が浸入することはありません。
とはいえ、通常人が陸上で呼吸をする場合、口呼吸も鼻呼吸も同時進行で無意識に行っています。この日常生活による呼吸に慣れている人が水中で水泳という非日常の運動をするわけですから鼻に水が入るリスクもあるわけです。
1-2. 息を止めるだけでは水の浸入は防げない
そして気管に水が入る危険を察知した身体は激しく痛みを伴うようなむせるという現象がおきて肺に水が入らないようにしているのです。
通常の感覚では息を止めれば大丈夫と思いがちですが、仰向け状態では鼻孔で水が落下するように水が浸入します。
従って水泳のクイックターンでは息を止める以上に何か対処をしなければなりません。
1-3. ターン中、鼻に水が入らない方法
では水泳中、鼻に水が入らないようにするためにはどうすればいいのでしょう。
1-3-1. 鼻栓をする
鼻栓は水泳でもシンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング)と言う競技で使われる鼻を塞ぐ道具があります。シンクロでは長い水中演技中各選手が鼻栓を着用している姿をよく見かけると思いますが、鼻栓は必需品です。
そして背泳ぎの選手でスタートやターンでの水中動作でバサロキックに必要とする選手が着用していますが、クロールの選手のクイックターンでは鼻栓を使っている水泳選手はみかけません。
でもこの鼻栓は鼻から息が吐けなく呼吸が浅く踏ん張りが効かないなどのデメリットが大きく水泳で使用している選手はほとんどいないのが実情です。
1-3-2. 鼻から息を吐く
では鼻栓をせずに鼻から水の侵入を防ぐには息を強く吐くしか方法がありません。それも水の落下に対抗する吐く息の力が必要です。
それに日常生活で吐く息は口呼吸が中心で鼻から息を吐くのは無意識中の吐く息で意識して強く吐く経験が人は少ないと思います。水泳選手にとって鼻に水が入る云々以前に呼吸方法を徹底的に練習する必要があるように私は考えています。
そしてターンテクニックはいかに素早く完結させるかがとても大切なとろこです。
2. 鼻に水が入らない対処法(呼吸法)

ではどのような呼吸練習をすればいいのかですが、ターンテクニックは次章に詳しく述べますが、
まずは水泳中の呼吸ですがターンに関わらずいかなる場合も呼吸は口から吸って鼻から息を吐く!
これを原則に水泳の練習を行うようにしましょう。
これは陸上でも普段の生活においても鼻から強く少しでも長く息を吐けるように心がけると良いでしょう。
口で息を吐く場合には口先をとがらせて息を吐く量・勢いを調整できますが、鼻の場合はこれができません。したがって鼻から強く息を吐き続ける動作を身体が覚えてくれるまで陸上でも練習をしましょう。
なんといっても水泳は意識呼吸のスポーツです。そしてターンに関係なくストロークにおいても吐く息が大切です。呼吸コントロールでペースを上げたりラストスパートの踏ん張りなども呼吸優位に働く水泳です。
クロールの場合にはクイックターン中は鼻から息を吐き続け息を吐いている時間内に素早く進行方向うつ伏せの体勢にはいることが重要です。
そしてクロールであれ、背泳ぎであれ、クイックターンそしてターン後の水中姿勢がとても大切ですから鼻から吐く息の長さと強さが中・上級者とビギナーとの大きな違いが現れているのです。
3. 鼻に水が入らない簡単なテクニック
では具体的な鼻に水の入らない簡単なテクニックに移りたいと思います。この記事では主にシニアのまだターン経験の浅い方々に焦点を絞って解説していきます。
3-1. 水中でのトンボ返り
クイックターンの練習をする前にまずプール25mをとんぼ返りをしながら進んでいく練習をしましょう。
3-1-1. 止まった状態でのとんぼ返り
まず、止まった状態でくるっととんぼ返り一回転をやってみましょう。
胸いっぱいに息を吸ってプールの底を蹴る力を反動に頭をお腹に入れるようにとんぼ返りです。このとんぼ返り中は鼻から息を強く吐き出す!
・頭を素早くお腹に入れ込む反動
・両手で水を下から上へ持ち上げる
この三つの力で素早くとんぼ返りを完結させてください。これが瞬間にできるように何度も練習してください。
最初の1回目には鼻に水が入ったかもしれません。でも2回目はしっかりと鼻から目一杯息を吐いて水の侵入を防ぎましょう。そしてとんぼ返りに時間かかると完結するまでに息が続かず息がとまったのかもしれません。次はもっと素早くできるようにがんばりましょう。
3つの力を確認してください。プールの底を蹴る力、頭をお腹に入れる反動、そして両手で水を押し上げる力です。押し上げるのは耳の後ろに水を押しやるイメージです。
このとんぼ返り練習を素早く難なく出来るように何度も練習しましょう。
3-1-2. プールの壁を蹴って蹴伸び姿勢でトンボ返り
この蹴伸び姿勢については次の記事で詳しく解説していますから参考にしてください。
止まった状態からのとんぼ返りで鼻に水が入らないように上手にできるようになれば次に壁を蹴ってスピードがある状態でとんぼ返りを練習してみましょう。
両手が気をつけの位置まで来たら先ほどのとんぼ返りの要領で頭をお腹に入れる反動と気をつけの意思から両手で水を持ち上げ耳の後ろまで水をプッシュします。この力でとんぼ返りです。止まった状態ではプールの底を蹴る力がありましたが今回は両手で一かきする推進力が代用です。
くるっととんぼ返り一回転です。進行方向を向いていると思います。鼻から水が入っていませんか。何度も繰り返せば鼻に水は入ってきません。
鼻に水が入ってくるようでしたら、また止まった位置からのターンの練習をやりましょう。
一回転が済んで進行方向を向いていますので次はプールの底を蹴って両手は前にしてイルカ飛びです。蹴伸び状態に入れたと思います。
ではもう一度両手を気を付けの位置までかく力・頭をお腹に入れる反動・両手を上に持ちあげる力でとんぼ返りです。このイルカ飛び蹴伸びとんぼ返りの練習を行いながら25mを進みます。
鼻に水さえ入らなければ楽しい練習だと思います。でもここまで来たらもう鼻に水が入ることは無いでしょう。
3-2. 背泳ぎ状態で壁を蹴る
では実際のクイックターンに入りましょう。
1,2回のクロールストロークでプールの底に「T」の字の印が目に入ると思います。目に入ったら両手で気を付けの姿勢に入ります。
そして力強く頭をお腹に入れる反動使ってとんぼ返りです。両手で水を上に耳の後ろまで水をプッシュすることを忘れないでください。この時は1回転せずに上体が上を向いた仰向け状態のまま壁を蹴ります。
反動で状態がターンの壁を向いてしまいますが、そこまでは回転せず仰向け状態でストップして水平状態のまま壁を蹴ります。両手で水を耳の後ろまでプッシュしたあと両手は進行方向を向いています。両手をまっすぐ伸ばせば素晴らしい蹴伸びスタートの姿勢が取れています。
仰向け状態で壁を力強く蹴ります。蹴ると同時に上体を横回転させてうつ伏せ状態に移行します。これでクロールのターンが完成です。
鼻から水が入っていませんか?鼻に水が入るようではターンの回転が遅いもしくは吐く息が弱いですから、この点を修正して練習を繰り返しましょう。
3-3. 浮き上がり
この間、ターン完了するまでに身体は前回転1/2、横回転1/2するのがクイックターンです。この2重の1/2回転を一度にするのは難しく鼻に水が入らないように素早くターンしなければなりません。

例えば、私のように仰向きで壁を蹴る人90度身体を垂直にして壁を蹴る人、そして完全にうつ伏せ状態で壁を蹴る人いろいろなタイプの人がいますがご自分で一番やりやすい方法で蹴りだすのが良いでしょう。
仰向けで蹴ると鼻に水が入るという人には少しで身体を横回転させて垂直以上になってから壁をけると良いと思います。
浮き上がり状態や鼻に水が入る状況次第で随時に変更ができるといいかもしれません。
3-4. タイミング練習
いままでクイックターンの部分的な解説をしました。でもターン前5mラインを通過後にターン完成して蹴伸び浮き上がり後5mラインを通過するまでをタイミングよく一連の動きで行うには相当に練習が必要です。上のアニメ動画を見てタイミングのイメージを覚えましょう。
ターン前5mラインを通過して何かきめでターンに入るかそれは練習の度に数を数えて練習し、その回数を微調整しながらタイミングをつかむのが大切です。
人それぞれストローク数に違いがあります。また個人の力量が向上することによってもタイミングは随時修正していく必要があります。
一連のストロークの中ではターンに入る時、気をつけ姿勢をどうとるかがタイミングをとるコツです。手を前で合わせて両手一緒にかいて気をつけをするかクロークのストローク中の手のかきで気をつけをするかはターン前のタイミングでいろんなケースが出てきます。
どんな状況でもターン前で気をつけができるようになると素晴らしいと思います。
3-5. 鼻に水が入ったときの対処
ターン中、鼻に水が入った時、それはもう耐えられないくらい鼻の奥が痛いですよね。お察しします。
でもその時には何回も鼻から息を何回も力一杯吐き出して痛みを早く解消してください。横になったりする場合もあろうかと思いますが、私は何度も勢いよく鼻から息を吐きだすことで痛みが取れると思います。
それに鼻から息を吐きだす練習にもなります。そしてこの鼻に水が入って辛い思いは誰でも経験することですからさほど心配はする必要はないと思います。
直ぐに解決できることだと思います。
4. まとめ
水泳の上達する過程でクイックターンは避けて通れません。でも「私はクイックターンはしない」とお考えのシニアスイマーもあろうかと思います。
でも個人メドレーではバタフライから背泳ぎ、背泳ぎから平泳ぎはターンで必ずうつ伏せから仰向け、仰向けからうつ伏せの動作をターンでしなければなりません。クイックターンでなくてもこの動作は必要です、クイックターンの要領は知っておく必要があり、また経験しておく必要があります。
このクイックターン練習段階で誰でも鼻に水が入るのは避けて通れません。
それは息を止めていれば鼻から水は入らないとの誤解はクイックターンでは通用しません。必ず息を強く吐かなければなりません。
そして慣れていない鼻から息を強く吐いている間にクイックターンが終了しなければ鼻に水が入ります。
従って鼻に水が入らないようにするためにはターンが上手になることなのです。ターンが上手になれば鼻に水が入りません。
この記事では鼻に水が入るメカニズムから水が入らないような効率的なクイックターンの要領やそのタイミングの取り方に詳しく述べてきましたがお楽しみいただけたでしょうか。
ターンが上手にできれば他のメンバーさんからは、それはそれは優雅に見えます。そのターンもレースのような素早いターンではなく優雅にスローモーションのようなクイックターンは素晴らしいパフォーマンスです。
どうぞそのような優雅で鼻に水が入らないようなターンをいち早く身につけて欲しいと願ってこの記事は以上とさせていただきます。
最後までお付き合いいただき心から感謝しています。ありがとうございました。
なお、水泳やターンに関して参考になる記事を紹介しておきますのでご一読いただければ幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。