水泳(クロール)における頭の位置をどう考えたらいいのか?
単純に頭の位置が高ければ、当然ながら下半身が沈んで水泳はおろかクロールなどはキックが上手く打てません。
でも頭の位置という表現は技術的には頭がプールの水面に大してどの位置にあり、そしてさらに重要な目線、腕の位置、水中姿勢について初心者にもわかりやすい内容となっています。
クロールは他の水泳種目に比較して最も速く泳げるスタイルです。しかしクロールは最も楽に泳げるスタイルでもあります。
どうぞこの記事を読んでいただき、疲れない楽なクロールのコツをつかんでいただき、優雅なクロールで泳いでいただけるよう心から願っています。
1. 水泳(クロール)の頭の位置
水泳初心者にとって泳いでいる時の頭の位置というのはとても関心のあるところだと思います。
まず最初に頭の位置について考えてみましょう。
でも中上級者になるとヘッドアップクロールという練習バリエーションがあってパワーアップのために頭を上げて泳ぐこともあります。
では水泳における頭の位置について解説していきます。
水泳運動の場合頭の位置は次の三つに分類できます。
・水面(横を向けば呼吸が可能) ・水没
ではこの三つをそれぞれポイントを解説していきます。
1-1. 水面の上
頭が水面の上に完全に出ている場合ですが、この場合呼吸は自由にできます。一番楽そうに見えますよね。
でも自分の身長を上回る水深のプールで頭を出していると下半身が沈んでとても泳げません。
でもキックや腕のストロークでしっかりとした推進力があれば頭を水没させない浮力を得られますので可能ではありますが水泳初心者には浮力のある浮き具が必要となります。
また、バタ足練習はそのほとんどが顔を水面から出したまま(頭が水没することなく)キックの練習をしています。
でもこれは案外苦しいものです。
水面上に頭が出ている状態は自然に下半身が沈み、泳ぐには相応しくないと言えるでしょう。
そしてバタ足練習をしながら息継ぎも練習するといった方法も重要だと私は考えています。
1-2. 水面
次に頭が水面にある状態です。クロールのようにうつ伏せで泳ぐ種目の場合は息継ぎ動作が必要です。
でも他の種目は息継ぎのタイミングで頭を水面から出して泳いでいます。こう考えるとクロールは呼吸に対してハンディがあると言えるかもしれません。
ここで後ほど詳しく解説しますが目線の方向がとても重要となることを理解して欲しいと思います。
1-3. 水没
では次に頭の位置が完全に水没している状態です。
この頭が水没している状態では特に初心者では猫背であったり、もがいたりとたとえ横を向いたとしても呼吸が不能となり苦しい泳ぎとなってしまいます。
2. より大切な目線と水中姿勢
頭の位置について解説をいたしました。頭の位置は通常は水面にあって目線の位置によって若干なりとも水没する度合いが微妙に変わってくるというイメージをもたれたことと思います。
2-1. 目線
では目線について詳しく解説していきます。
2-1-1. プールの真下を見る(アゴを引いて泳ぐ)
プールの真下にあるレーンラインを見ながら泳ぐというのは一番水の抵抗が少なく速く泳げます。でもこの泳ぎ方はかなり姿勢の維持が苦しく、呼吸のために横をむく首の回転角度が少ないと言ったデメリットがあります。
そして、前方の危険を察知するのが遅れるため、一般のプールでのクロールには少し不向きと言った欠点があります。
2-1-2. プールの前方ターンサイドを見る(アゴを上げて泳ぐ)
次に前方ターンサイドを見て泳ぐ目線の場合です。これはアゴを上げて泳ぐ場合です。
アゴを上げていますから、気道を圧迫することなく呼吸は楽となりますが、目線が前方であるがために下半身が沈んでしまうという欠点があります。
でも練習中、前方を泳ぐメンバーやすれ違いするメンバーとの接触を避けるため、必要ある場合には止むを得ずアゴを上げて泳ぐことも大切です。
2-1-3. 前方2、3m先を見る
では私がおすすめする目線は真下ではなく、2、3m先を見て泳ぐという目線です。
この目線がとても楽なクロールになると考えています。そして腕が入水して伸びる瞬間、視野の中に腕の先が見えるようでは腕のキャッチポイントの位置が深すぎていますで、もっと視野から遠ざけるように調整しましょう。
目線が真下よりも少し前にある方が身体もリラックスでき、体幹を水平に保つことができるように考えています。
呼吸も真下目線よりも首の回転角度も大きく呼吸も楽になるはずです。
2-2. 水中姿勢
では次に、特に頭の位置に意識をしてしっかりと水中姿勢の基本を練習していきましょう。
2-2-1. 水中姿勢(蹴伸び)をマスターしよう
ではクロールが上手に泳げるようになるためにはまずどうしてもマスターしなければならない基本は水中姿勢(蹴伸び)です。
この練習には前章で解説した頭の位置と目線が重要となってきます。
そして詳しい蹴伸びの手順やコツについては以下の記事を参考にしていただければ理解が深まると思います。
プールの壁を蹴って初速度マックスで泳ぎ出す時の姿勢が蹴伸びです。この姿勢は頭の位置は水没、目線は真下です。
水没は頭だけでなく全身が水中で一直線となる姿勢です。
両腕はしっかり伸ばし、両掌を併せ両耳を塞ぎます。肩の柔らかい人は頭の後ろで両腕が伸びる感じです。
スピードを殺さずに浮上してクロールのストロークに入っていくという流れとなります。
この体勢を維持するためには体幹部の筋力が欠かせません。この最も抵抗を受けない姿勢をマスターできればたとへ頭の位置、目線が変化してもある程度水中姿勢は崩れないと思います。
2-2-2. 臨機応変な目線
蹴伸びの水中姿勢では目線は真下と解説しました。それは壁を蹴る事による初速推進力を最大限維持するためです。
次に浮上してストロークが始まります。
そして25mクロールで泳ぐことになります。その中で微妙に目線を変え、フォームチェックも併せて行いながら泳ぎましょう。
私が目指すクロールは優雅でゆっくりとしたリズムの疲れない楽な泳ぎです。
ずっと目線を変えずに泳ぐというのも無理があと思います。
当然ながら少し前方を向いた目線で呼吸をし、リカバリーして入水するまでの間反対の腕が伸びその方に頭を乗せていくイメージです
身体が自然なローリングでロープで引っ張ってもらっているようなイメージでスムーズな推進力が得られます。
3. ともかく楽なクロールを目指そう
この記事を読んでいただけている方はまだまだ水泳経験の浅い方だと思います。水泳選手のような泳ぎは目標ではあってもまだまだと考えておられることと思います。
先ほど解説して蹴伸び姿勢を水中で見るだけでその人のレベルがわかるほど、蹴伸びの上手な人はクロールもとても上手でとても優雅に泳いでおられます。
見ている人をも癒すようなゆったりとしてフォームで止まることなく泳いでおられる姿は魅了されます。
これは目線を臨機応変に変えながら、呼吸をコントロールして出来るだけ体力減耗の少ないハイブリッドな泳ぎ方となっています。
頭の位置は浮上してからターンするまで常に一定で上下動することなく、目線を少しずつ変えながら呼吸、ストローク、伸びを意識して泳いでいるのです。
これには理屈なく、練習が必要です。ただ大好きなクロール選手の泳ぎをイメージにして、自分の泳ぎに少しでも活かしていく日々の練習が必要となってきます。
たまにはプールのインストラクターやスタッフに見てもらってチェックすするのも良いかもしれません。
以下の動画でイメージを作っていただけると良いと思います。
4. まとめ
水泳が上手になるコツは泳いでいる時にいかに水の抵抗を少なくできるかです。
これは初心者も上級者もアスリートも全く同じです。
初心者のうちはどうしても慣れない、水への恐怖、呼吸が自由にできないことによって姿勢が乱れ大きな水の抵抗を受け進まないという現象がおきます。
でもそれはある意味仕方のないことです。この記事で頭の位置、目線と水中姿勢を整えることで軸のしっかりとして水中姿勢を維持できることを解説してきました。
本文中でも述べましたが頭の位置や目線そして水中姿勢を考える場合、どうイメージすれば良いのかというのがしっくりこないと思いますが、私に言わせればロープで引っ張ってもらっている姿をイメージすればストンと肚に落ちるのではないでしょうか・・・ 両手でロープを握り、モーターボートで引っ張ってもらうことを是非イメージして欲しいと思います。
水泳選手の私も調子の良い時というのは本当に自分の身体で推進力を作り出すというイメージではありません。
まさにボートで引っ張ってもらっているような感覚です。姿勢の乱れや無駄な手足の動きはブレーキになるだけなのです。
どうぞ、これからのスイミングライフ! ともかく楽に優雅に水泳を楽しんでいただいて心地良い疲労感を得ていただきたいと思います。
この記事は以上とさせていただきます。
最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。
なお以下の記事はクロールの基本的なテクニックをまとめたセオリー記事ですので是非ご一読いただければ嬉しいです。
初稿:2020年6月23日
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。