平泳ぎではなぜクイックターンをしないのでしょうか?
この疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
そして、シニアや女性など競技会と無縁のスイマーにとって競技会ルールなど関係のないのですから大いにクイックターンを楽しんで欲しいと思います。
平泳ぎは苦しくて楽しくない泳ぎ方です。少しでも楽しみを持つ意味でもクイックターンはとても素晴らしい練習バリエーションとなることでしょう。
それから平泳ぎから入るクイックターンはクロールよりもやりやすいと思います。
是非楽しんでやってみましょう。
1. 平泳ぎとクイックターンの関係
競技会における平泳ぎ種目でのターンでなぜクイックターンはやらないのでしょうか?それはルール上禁止されているのでしょうか。
まずルール上の平泳ぎターンについてチェックしてみましょう。
1-1. 平泳ぎ競泳競技規則
第7条 2
スタート後と折り返しの後の最初の一かきの始まりから、体はうつぶせでなければならない。 折り返し動作中は、壁に手がついた後、うつぶせ状態でなくてもよいが、足が壁から離れたと きには、うつぶせ状態でなければならない。(後略)
同条 6
折り返し、ゴールタッチは、水面の上もしくは下で、両手が同時に、かつ離れた状態で行わ なければならない。(後略)
一般社団法人日本マスターズ水泳協会 競泳競技規則 より抜粋
競技会規則では上記のように規定されています。すなわちクイックターンがダメだとは規定されていません。
加えて壁を両足で蹴る場合にはうつ伏せ状態でなければなりません。すなわち壁を蹴るまでにうつ伏せ状態まで身体をひねる必要があります。
こうした理由により平泳ぎのターンは両手タッチによるタッチターンが有効でありスピード、体力消耗度も考えて競技会ではクイックターンは行われていないのです。
ちなみにクイックターンが一般的なクロールをチェックしておきましょう。
第5条 1
自由形はどのような泳ぎ方で泳いでもよい。ただし、メドレーリレーおよび個人メドレーに おける自由形は、バタフライ・平泳ぎ・背泳ぎ以外の泳法でなければならない。
同条 2
折り返し、ゴールタッチの際は、泳者の体の一部が壁に触れなければならない。
同条 3
スタート後、折り返し後は、体が完全に水没していてもよい距離 15mを除き、競技中は泳者 の体の一部が水面上に出ていなければならない。壁から 15m地点までに頭は水面上に出てい なければならない。
一般社団法人日本マスターズ水泳協会 競泳競技規則 より抜粋
上記のようにクロールではターンにおいて平泳ぎのような制約はなく、泳者の身体の一部が壁についていれば良いことになっており、クイックターンはとても有効なターン方法と言う訳です。
クイックターンをして壁を足で蹴りさえすればこのルールを順守できるのです。
1-2. 水泳選手における練習時のターン
水泳選手の練習ではターンは競技会を想定して常にタッチターンで練習すべきで、コンビネーションスイムとターンのタイミングを常に練習で合わせておく必要があります。
そしてターンに入る前はスピードを落とさず、ターン後の水中におけるドルフィンキックと一かき一蹴りを常に練習をしておく必要があります。
ただ、平泳ぎ選手にとってクイックターンはレクレーションです。
私もハメを外してよく平泳ぎクイックターンをやったものです。
1-3. 一般スイマーの平泳ぎターン
スポーツクラブのプールで水泳を楽しみとして泳いでいるメンバーにとっては競泳のルールなど関係はありません。
平泳ぎでクイックターンをして注意される理由はありません。ただプールのローカルルールでどんな種目でもクイックターンは禁止されている場合にはNGです。
2. 競技会以外では大いに楽しみましょう!
水泳選手やマスターズスイマーでなければ大いに平泳ぎのクイックターンで楽しむのも一興です。
そしてそれはとても有効なエクササイズになります。私はどしどしやってみる必要があると考えています。
2-1. 平泳ぎでクイックターン
私自身がクイックターンの練習として平泳ぎを泳ぐときのターンでもクイックターンをすることがよくあります。
もちろん平泳ぎの競技規則違反ですが、両手タッチはしません。でも練習ですし、一般スイマーにとって競技規則など順守する必要もありません。
平泳ぎの場合、左右対称ですからクイックターンがやりやすいのでクイックターンの練習にはもってこいです。
ターンに入る10mほどは全力で泳ぎターンして残りは流すと言う泳ぎ方も面白いかもしれません。
2-2. クイックターンの手順
余談ですが平泳ぎの場合におけるクイックターンテクニックを紹介しておきますと
壁を蹴って水中でうつ伏せになって一かき一蹴りをしてターン後最初のストロークを開始します。
ただ、このクイックターンは平泳ぎの競泳競技規則に反していることだけは認識しておいてください。
そしてクイックターンについては以下の記事を参考にしてください。
3. ターンはとても大切
平泳ぎの場合特にターンは重要です。それでなくてもストロークでスピードが上がらない種目ですからターンで壁を蹴って生じる初速は有効に使うべきです。
そして初心者の場合ほとんどのスイマーが25m以上泳ぐのにとても勇気が必要です。25mの泳力の次は50mだと考えている節があります。
3-1. 壁は休憩する場所でなくターンする場所
従って25m以上泳ぐ人は数少ない状況です。すなわち25mの壁で多くの人が休みすぎています。
従ってまずはタッチターンを覚えてターン技術を磨いてください。
こう言う考え方に立てばこそ、50mの泳力を手に入れる時間の短縮となることでしょう。
3-2. 遊び感覚でターン練習
そして4つの泳ぎ方をマスターできれば種目がかわる時のターンを練習することとなり、ますます水泳の魅力が高まります。
ターン練習はスイム練習より遊び感覚で楽しめる数少ないエクササイズですからプールに来たらターン練習も必ずやって楽しみましょう。
・背泳ぎから平泳ぎへのスイッチターン(バケットターン・そのままクイックターン)
・平泳ぎやバタフライで両手タッチ後のクイックターン
・クイックターンで仰向けのまま壁を蹴って浮き上がるまでにうつ伏せになる
・同じくクイックターンで少しひねった状態で壁を蹴る
など遊びターンはいくつも思い浮かびます。
4. まとめ
平泳ぎのクイックターンについて競泳競技の場合の事例をまず解説することで、平泳ぎの場合にはどうしてクロールのようにクイックターンをする選手がいないのかご理解をいただけたことと思います。
自由形の場合、競技ルールに忠実に従っているクイックターンだと言うことも理解できたことでしょう。
クロールの場合はターン時に身体の一部がタッチしていれば良いことになっていますからタッチターンでは手を足と2回壁にタッチすることとなりタイムロストなりますが、クイックターンの場合は壁を蹴る足のみのタッチで完結するアドバンテージを有します。
いかがでしたでしょうか、お楽しみいただけたことを思います。
平泳ぎはとても苦しい種目で私は大嫌いです。でも自分の専門種目ですから、日々知恵を絞って省エネ泳法を今も考えています。
そんな中でターンの上手さは正に平泳ぎの絶大な省エネにつながります。ターンで壁を蹴る大きな初速と水中前進距離が伸びれば伸びるほど、平泳ぎのスイムが楽になってきます。
平泳ぎの上手な人は10人中10人がターン上手です。
頑張ってターンを練習しましょう。
さてプールで水泳を楽しむ愛好家のほとんどは競泳のレースなどには無関心だと思います。
ですから、「平泳ぎではクイックターンはできない!」などと固いことは言わずにどんどん平泳ぎでもクイックターンをして楽しみましょう。
さて、無関心な競技会ですが、このレースに参加することはそれぞれ愛好家の水泳人生の大きなインパクト与えます。
マスターズ水泳競技大会は5歳刻みで競技が行われます。もちろん競泳ルールに則って行われます。
もし一度レースに参加されたなら、水泳への楽しみがきっと2倍にも3倍にも膨れ上がります。
強制するものではありませんが、一度トライしてみるのも良いかもしれません!
と言うことでこの記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。
ありがとうございました。
なお、以下の記事もとても興味深い内容になっていますので是非ご一読いただけたら幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。