春になって川の水が温み暖かくなる頃、メダカは産卵期を迎えます。
気がつけば飼っている水槽の水草にメダカの卵を発見する時があります。こんな時どう対処すれば良いのでしょう。
その隔離方法についてそして孵化までの育て方について詳しく解説していきたいと思います。
産み付けられたメダカの卵を見つけるのも余程の観察力がなければなりませんし、その卵の孵化率を高めることが多くのメダカ稚魚を生き残させる技術です。
どうぞ暖かくなるころにはこの記事を参考にされて、「メダカの育て方」に必要な注意力と観察力を高めて大きな感動を手にしてください。
1【メダカの育て方】卵の隔離と飼育方法
メダカの産卵期は4月頃の水温18℃以上になれば産卵がみられ、秋頃までいつ産卵してもおかしくありません。
一般的に1年間に2〜3回散乱すると言われています。
産卵数は成熟メダカ1尾約30粒以上で産卵初期には数個
卵の形状は球形、透明、沈降性、直径は1.5mmと比較的大きく、水草などに付着する
孵化は25℃で約10日(孵化までの積算水温250℃と言われています。)
そしてこの水槽内の水草に産み落とされたメダカの卵をそのまま放置すれば成魚メダカの餌になってしまいます。ではどのように管理すれば良いのでしょう。
・回収して隔離
・少し暗く静かに孵化を待つ
・水質の悪化を防ぐ
ではそれぞれ詳しく解説していきたいと思います。
産卵に気づく
一番最初に重要なことは産卵に気づくことです。
その意味でも室内でメダカを飼うのが好ましいことなのですが、屋外のビオトープや庭先の鉢や瓶で飼うと産卵に気づくことが遅く、気がつけば小さなメダカが増えた!などと気づき初めて産卵の事実を知るといったケースが多いです。
その感動的な現場を目にする喜びもまたメダカを育てる醍醐味と言えるでしょう。
回収して隔離
メダカの卵は付着性の沈降卵です。従って水草などに産み付けられることが多いので水草をよく観察するとメダカの卵を比較的簡単に確認できるでしょう。
そして隔離した水槽には産卵床を設置してやって静かに孵化できるような対応をとってやることが大切です。
孵化水槽には少し卵管理用のクロレラなどグリーンウオーターを入れると少し飼育水が暗くなり良い環境です。この緑色の正体は緑藻類、藍藻類、ミドリムシでプランクトンと言って良いでしょう。
その後の動物プランクトンの餌にもなり、孵化後のメダカ稚魚に育っていきます。
少し暗く静かに孵化を待つ
上記のようにグリーンウオーターの事を述べましたが別水槽に産卵床を浮かせて静かに孵化を待ちましょう。1、2週間で孵化します。
この間、メダカの卵は徐々に細胞分割が進み目ができ、脊椎ができ魚らしくなってきます。卵が比較的大きいですから透かせば目がはっきり確認できるでしょう。
2 孵化までの大切な飼育管理
基本的な卵管理については前章で解説をしましたがここではもう少し突っ込んだ飼育管理について解説を行なっていきます。
ではその管理方法ですが、言うまでもなく観察です。
産卵床に光を当てるなどでしてしっかりと観察しましょう。水槽から産卵床を取り出して見るなどと言うのは厳禁です(笑)
・卵分割の状況と発生の進捗
・孵化仔魚の確認
ではそれぞれ解説していきます。
死卵の確認と回収
観察項目として死魚数は重要です。初産のメダカであれば成熟が十分でなく死卵となるケースが多いです。あまりにも死卵が多いようであればこの産卵チャンスは無いモノとして卵管理を撤収して次の機会を待ちましょう。
これらの経験も観察と記録がモノをいいますのでしっかりと観察をする事をマスターしてください。
卵分割の状況と発生の進捗
次に卵が元気に育っている事を確認するのは目視では難しいとは思いますが、拡大鏡で観察を行うととても勉強になります。
孵化仔魚の確認
そして最終的には孵化が始まり、孵化仔魚が元気に泳ぎ出します。
孵化仔魚の餌
孵化仔魚のヨークサックが消滅した頃にはメダカの仔魚は自ら餌を見つけて食べなければなりません。
自然界では動物プランクトンを食べていると思います。最初の餌はゾウリムシなどの単一細胞の動物プランクトンでしょう。そしてメダカが少し成長してからミジンコなどの餌を食べることとなります。
そこで課題はメダカの成魚を飼育している水槽では大きすぎ、餌の効率が非常に悪くなります。
でも卵管理の隔離水槽では小さく餌の効率が非常に良いと言う利点も生まれますので、ミジンコあたりの大きな餌を食べられるようになるまでは大きな水槽には移さないようにしましょう。
3 産卵率と孵化率を高める方法
さて、元気なメダカの孵化仔魚を得るためにはまず産卵率を高めることが重要であることは言うまでもありません。そして孵化率を高める必要がありますので、少し難しくなりますが解説していきます。
産卵率を高めるには
まず産卵率を高めるには良い親を育てることが大切です。そのためにも正しいメダカの育て方が必要です。
そこで参考までに雄雌の判別方法を解説すると、一般的に背ビレと尻ビレに大きな特徴があります。雄は背ビレの後方根元に亀裂があり尻ビレは平行四辺形で先がギザギザして雌よりも大きなヒレとなっています。
逆に雌は背ビレが丸みをおびており亀裂はありません。また尻ビレは雄よりも小さく台形をしています。このような雌雄の特徴的な違いを元に雌雄比率を考慮して適度な密度で育てましょう。
その他、餌や飼育水温など複雑な要素はありますが、産卵率を高めるためにまずは雌雄比率を理解して育てましょう。
孵化率を高めるには
それから産卵後の孵化率を高めるには前章で解説した点に配慮して育てることが大切となります。
おすすめはやはり、水槽を仕切って管理するよりは孵化仔魚が元気に成魚と同じ餌を食べるようになるまでは別の隔離水槽を用意して育てるのが好ましいかと思います。
4 まとめ
メダカの育て方について今回は受精卵の隔離方法に焦点を当てて解説してきました。
参考になったことと思います。庭のある鉢にメダカを飼っていて、暖かくなってふと見ると小さなメダカを目にすることがありますが、これはまさに繁殖が行われた結果です。
放っておいても、数匹の稚魚は生き残っていくのでしょうが、結果的にはいつの間にか小さな稚魚は姿を消してしまうのが一般的です。
メダカの飼育について私は室内で育てましょうと申し上げてきました。しっかりと観察をしてその飼い主の目を育て、メダカの命をしっかりと守って、次の世代へと繁殖を引き継いでいくことこそメダカの育て方の醍醐味だと思っています。
ではここで大切なことを申し上げておきたいと思います。
メダカは別の記事でも解説していることなのですが、自然界で生存する在来のメダカは絶滅の危機にあり、私達はほとんど目にすることができません。 今目にするメダカは人が人工的に繁殖したメダカなのです。 メダカの育て方に長けて、生残率も高くなってくればどうしても我が家の水槽では収容できなくなります。勢い、川や池への放流と考えるのも人情です。でもそれは自然界の生態系を壊す結果となりタブーとされています。 どうぞ、知り合いの方に分けてあげてまたメダカの魅力を引き継いていって欲しいと思います。 差もなくば、購入したショップに相談をして対処するように配慮してください。
以上少し辛口のメッセージを終わりの言葉としてお伝えして、この記事は以上とさせていただきます。
最後までお付き合いといただき心から感謝しています。ありがとうございました。
なお、以下の記事も興味深い内容となっていますのでご一読いただければ幸いです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。
私の現役時代は魚類の試験研究現場で長年勤め、魚の生き死について色々なケースを見てまいりました。読者の皆様に参考になる情報を提供できると思います。