クロールを泳ぐ時の腕の動き、すなわち腕の使い方とはどう考えればいいのでしょう。
解説書などを読んでもイマイチ、感覚的には理解しにくいのではないでしょうか・・・
そして両腕による綺麗なストロークを身につけていただけるよう、効果的な練習方法も合わせて紹介していきたいと思います。
ただ、心がけていただきたい事は、ゆっくりと安定したクロールこそ、より上手に・よりスピードを出せる泳ぎ方であることを理解していただけたら嬉しいです。
クロールの腕の動きはとてもシンプルです。さあ、Let’s try!
1. クロールの腕の動き(使い方)がブレイクスルー
クロールの腕の動き(使い方)について解説書やネット記事を読んでいると「C字曲線」とか「S字曲線」などの表現で腕の使い方について解説されているのをよく見かけます。
まずは次の動画を見てクロールで泳ぐ泳者の腕の動きをよくイメージに叩き付けて欲しいと思います。
では早速、腕の動き(使い方)について解説をしていきます。
1-1. 腕の動き
クロールの腕の動きが腕の軌跡だとすれば泳ぐ人によって十人十色でいろいろな表現をすると思います。
・少し横に開いて水を捉えてS字を描くようにかく!
・身体の内側に腕の軌跡が来るイメージでC字を描くようにかく!
などいろいろな表現があります。
ここで私が最もわかりやすいイメージを提供したいと思います。
直立して立ち、どちらかの腕に水の入ったバケツを持っているとします。この腕を頭上の一番高いところまで持ち上げる時、腕の軌跡はどう動かせるのが一番楽か?と言う視点で考えて欲しいと思います。
2. 手を伸ばして真横から頭上に
3. 肘を曲げて身体の近くを通って頭上に
さあ、いかがでしょう!答えは誰もが3だと答えると思います。
手を伸ばして身体から遠くの軌跡を描いて頭上に持ち上げるのは肩や腕の負担がかなりあると感じるはずです。
でも肘を曲げて身体の近くを通れば比較的楽にバケツを頭上まで持ち上げられます。
これはテコの原理の応用!支点を肩だけにするか肩と肘の2点を支点にするかの違いです。
入水後水を捉え肘を曲げて肘高な状態で身体の近くを真っ直ぐ腕が伸びきるフィッシュまでかき降ろすと言うのが一番理に叶っていると私は考えています。
この腕の動きが肩を傷めず肘にも負担をかけずに効果的な推進力を生み出す軌跡なのです。
1-2. 腕の使い方
では能動的な腕の使い方について解説したいと思います。
腕の動きは先ほど解説しましたがそれ以上に大切な事は水をいかに効果的にキャッチングするかと言う点です。
公園の手漕ぎボートをイメージしてください。いくら力があってもオールでしっかりと水を捉えていなければ全く前進しないのと同様に水を捉えることに全精力を傾注しましょう。
キャッチさえ上手くできればあとはスピーデーにストロークしようがゆっくりとしようがそのパワーによって推進力の違いが出てくるだけなのです。
これがクロールの腕の動き(ストローク)の生命線です。
ではこの腕の使い方をもう少しイメージを膨らませて解説していきます。
肩が入らないような隙間に1万円札を落として回収するシーンをイメージしてください。
腕が一番伸びるように身体をひらいて腕が最高に伸びる体勢をとります。そして親指を先導させて一番指の長い中指が1万円札に届くように懸命に肩、肘、手首、親指、中指と最大限伸ばします。
この腕のそして手の動かし方がクロールのキャッチの瞬間だとイメージしてください。
次に手首をしっかりと使って手のひらと手首とで水を引っ掛けるように水をキャッチします。
この感覚はさらにボルダリングでホールドを掴んで登っていくイメージで水をキャッチすると言うのが素晴らしい感覚だと思います。
1-3. ストローク
次にクロールの最終段階ストロークに入ります。
この腕の動きが力学的に言って最も水の抵抗が少ない泳ぎとなるのは理解できると思います。
腕の動きを別な表現をすると、片方の腕がプル・プッシュしている間は腕は水上をリカバリーしています。
いかがですか?
初心者の陥る腕の動きは腕がリカバリー中にもうかき始めていると言う欠点があります。これは加速しながらブレーキをかけているようなものです。
2. お勧めの効果的練習とポイント
では前章で述べた腕の動きを実現するための練習方法について解説していきたいと思います。
ポイントは以下の4つです。
・キャッチアップ
・ローリング
・より遠くの水をキャッチ
ではそれぞれ詳しく解説していきたいと思います。
2-1. 肘高(ハイエルボー)な腕の動き
肘が下がっていると推進力となり得る手のひらの移動軌跡が短くより強いパワーが失われてしまいます。
リカバリーも肘から抜き上げ肘を高くリカバリーする方が疲れません。
初心者の間はどうしても肘が下がりがちですから意識するように練習してください。
2-2. キャッチアップ
これはよりスムースなストロークを実現するための修正練習なのですが、初心者が始めてのクロールを練習する場合にもビート板を使って両手がビート板の上で合体する練習です。
実際のストローク中には両手が合体する間は存在しませんが腕のかきの始まりとリカバリーの終わりが1連の動きの中で瞬間的に合体する間があると理解して練習されると綺麗なフォームを身に付けることができるでしょう。
2-3. 適正なローリング
次にクロールの適正な腕の動き、腕の使い方を練習するためにどうしても必要となってくるローリングです。
このローリングを出来るだけ少なくするような練習を指導する指導者もいますが、私は適正なローリングというのは適正なキャッチをするために身体が自然なローリング状態となると考えています。
スピードを追求する競泳ではローリングしているロスをスピードアップに生かせ!と言います。しかし経験の浅い初心者には適正なローリングをマスターすることが適正な腕の動きにつながるのは必然と考えています。
2-4. キャッチに集中(より遠くの水をキャッチ)
そしてこれまでもキャッチが大切と解説してきました。要するにスカーリングを上手く使って水をキャッチングします。
私流には遠くの水をキャッチするために腕を上手く使えと言いたいと思います。
従ってこのキャッチに必要な練習は柔ない手首、そして小指サイドの小指から脇の下までの線を大切にする練習をおすすめします。
このキャッチ重視のストロークを見つけると本当に綺麗なクロールに変身できます。よりモチベーションの向上に繋がります。
そしてより速くを目指して競泳のステージに登って行けることでしょう。
3. 綺麗なストロークで楽に泳ぐ
綺麗なストロークとは今まで解説してきたような腕の動きを見せ意識的な腕の使い方によって実現するものだと思っています。
見ている人には「なんと美しい綺麗なクロールでしょう!」と注目を浴びるクロールです。
そしてハイブリッドなるが故に疲れが少なく長時間のクロールにも耐えることができます。
3-1. 腕の動きを意識
ともかくキャッチに全力集中というのが私のおすすめする腕の動きです。
これは加速時には当てはまりませんが、等速度で前進する時というはエンジンスロットルは小、ギアはハイスピードです。
この状態が最も疲労が少ないはずです、腕のキャッチに乗っていくイメージ、もっと言えばロープで引っ張ってもらう場合を想定してもらえれば自ずと理解してもらえると思います。
3-2. キックによるタイミング
このキャッチのタイミングを掴むためにキックを利用されることをおすすめします。
キャッチポイントの時、同じサイドのキックを打つことで前に乗っていけます。
私の場合はキックはキャッチの補助支援と考えています。
キックで大きな推進力は得られませんが、効果的なキャッチを産むために必要なキックです。
もし通常4ビート6ビートで泳いでいいらっしゃる方もキャッチのタイミングで効果的なキックが打てるような4、6ビートであるように心がけるのがキックのポイントです。
4. まとめ
クロールは他のどの泳ぎ方よりもスピーディーでそして楽に長い距離を泳ぐことのできる泳法です。
長年所属プールで泳いでいてもなかなかゆったりと滑るようにクロールで泳ぐ人は少ないと思います。
でも競泳選手経験のある人は本当に優雅に泳いでいらっしゃいます。
私もそのうちの一人です。通常のクロールは有酸素運動がわりです。疲れず優雅にクロールを泳ぐように心がけています。
もちろんレース前には十分なスピード練習を必要としますが通常ではクロールで疲労を感じることはほとんどありません。
私のようなシニアになると一度衰退した筋肉を復活させるには相当の時間と努力が必要ですからプールでは水中ウオークや筋トレをお忘れなく!
では最後にクロールの腕の動き(使い方)をまとめおきましょう。
・入水後しっかりと水を捉え、捉えたら肘高で身体の近くを通って真っ直ぐにかいて最大の推進力を得る
・リカバリー中も肘高で入水し、入水後より一段遠くの水をキャッチする
以上のような視点でクロールのストロークを練習しましょう。文字で表現するのはなかなか理解しにくい水泳の解説書やサイトコンテンツで溢れています。
でも長年水泳をしてきたからこそ言える表現があります。少しでも皆様のお役に立てれば光栄です。
以上この記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。
なお以下の記事もとても興味深い内容となっていますのでご一読いただけたら嬉しく思います。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。