水泳の上達には肩甲骨の動き(使い方)が必須です。
特にクロールは左右対称ではありませんから、肩甲骨の使い方も比較的楽に行えます。
さらにこの肩甲骨を上手に使える効果的な練習方法も紹介していきますので、中上級者を目指す水泳愛好家には価値ある記事となっています。
さあ、肩甲骨を最大限上手く使ってゆったりとダイナミックなクロールを目指しましょう。
そしてより上手に!よりダイナミックなクロールの実現に向け頑張りましょう。
1. クロールの肩甲骨の使い方
私は人生で肩こりというのはどういうものなのか未だ全く知りません。肩がこるような生活をしてはいるのですが全く肩こりはありません。
この最大の理由は人生ずっと水泳をしてきたからだと思います。その水泳も競技者としての経験が長かったために無意識に肩甲骨を使う泳ぎ方が身体に染み付いているからだではないでしょうか・・・
そして1回のストロークで手が動く距離が長く、より大きな推進力を得ると同時に大きな浮力を維持できるのです。
ではクロールにおいて肩甲骨の動きと使い方について詳しく解説していきましょう。
まず次の動画を肩(肩甲骨)に注目して見て欲しいと思います。
1-1. 肩甲骨の動き
すなわち蹴伸び姿勢で全身が完璧に軸が安定して真っ直ぐに伸びた状態でさらに前方の水をキャッチしようと思うと肩甲骨を前に突き出して腕を伸ばします。
クロールの場合ですと右腕でキャッチしようと思えば左腕より右腕の方が10cm程度前方を捉えることができます。それは肩甲骨の動きがポイントとなります。
そして同時に自然な形のローリングが起こります。ローリングを意識するのではなく右肩甲骨を前に突き出すことによって右肩甲骨が下がる現象が起こり自然なローリングとなります。従って頭のてっぺんから爪先までの軸はブレません。
次に左腕の場合も同様です。
片方の腕がリカバリー後入水し、水をキャッチしようとする時より遠くの水を捉えるための意識で肩甲骨の動きが生まれます。
従って肩甲骨の動きはクロールのストロークに合わせて左右交互に肩甲骨が前に出るという動きが生まれます。
私のようにシニアになると肩が加齢と共に肩の柔軟性が衰えてきますが、このクロールで前の水を捉えるという意識で肩甲骨優先の肩の動きが起こり、肩は泳ぎながら柔らかくなって来ると考えています。
陸上でのイメージを言えばふすまとタンスの間に落とした一万円札、手を伸ばしただけでは届かない場合どうするか?
より腕を伸ばして指の一番長い中指でタッチしようと試みると思います。
このイメージで肩甲骨が前に動き腕がより遠くの一万円札を捉えることができると思います。
こんなイメージでクロールのキャッチを試してみて下さい。
これは肩甲骨を動かすにはメリットがあるのですが、軸がブレる。タイミングが崩れるなどの支障となり減速要因となりますから注意が必要です。
あくまで肩甲骨の動き優先による自然なローリングを心がけましょう。
1-2. 肩甲骨の使い方
では肩甲骨の使い方という視点で解説します。
肩甲骨を前に出すという意識は決まって軸がブレるなどの弊害を生みます。
あえてここで「肩甲骨の使い方」と項目を作りましたが肩甲骨を使うなどと言った意識はまるで不要です。
違ったイメージで自然と肩甲骨が前に出るというのが正解だと私は考えています。
1-3. より遠くの水をキャッチする
ではどうするのか「より前方可能な限り遠くの水をキャッチする」これが一番重要なイメージであり結果として素晴らしい肩甲骨の動きが生まれます。
すなわち肩甲骨の使い方はより遠くの水をキャッチするという意識で良いと思います。
別のイメージで解説すればボートから伸びたロープで引っ張ってもらっているとイメージしてください。力を抜いて引っ張られるがままにしているイメージです。
クロールならば左右の腕を交互に引っ張ってもらっているというイメージです。
また別のイメージでは岩登りもしくはボルダリングをイメージしてより遠くの岩・ホルダーを捉えるイメージです。こうしたイメージは正に肩甲骨を有効に使うこととなります。
2. 上手な肩の動きのための効果的なお薦め練習方法
ではこの章ではこの肩甲骨を上手く使う効果的な練習方法を解説していきます。
練習のポイントは以下のとおりです。
・パドルを使った練習
・ストローク数の最小を目指す
では詳しく解説していきます。
2-1. ビート板を使った練習
まずはビート板を使った練習です。
小さめのビート板を使い画像のように横向きにバタ足キックをする感覚でビート板に乗せた腕をしっかり伸ばしましょう。
この練習により肩甲骨を前に突き出す感覚が身につきます。
2-2. パドルを使った練習
次にパドル練習です。
パドルを使ってしっかり前により遠くの水をキャッチするイメージで練習しましょう。
もし下半身が沈むようならプルブイを両足の付け根に挟みながら泳ぐと楽に練習できると思います。
2-3. ストローク数の最小を目指す
この練習の趣旨は1ストローク(左右1回のプルで1ストローク)あたりの泳ぐ距離を伸ばす練習です。
普通にクロールをして何ストロークで25m泳げるかテストして記憶しておきましょう。
次にそのストローク数を減らす意識で最小ストローク数を知りましょう。上達に比例してストロークの減少が現れてくるはずです。
2-4. コンビネーションスイムを忘れないこと
クロールに関して肩甲骨を有効に活用する練習バリエーションを紹介しましたが、これは1例に過ぎません。読者の皆さんがそれぞれ所属プールで知恵を出して肩甲骨の使えるように試してみてください。
ストロークとキックのタイミングやバランス、そしてリズムが狂うと見ていてどことなくぎこちなく感じたり見えたりします。これは正に肩甲骨が適正に動いていません。
遠くの水をキャッチすることができていません。当然ながらスピードも遅く見た目もスムーズではありません。
しっかりとコンビネーションでタイミング良く肩甲骨を伸ばし遠くの水をキャッチする使い方を意識してコンビネーションスイムで調整を図ることをおすすめします。
3. ゆったりとダイナミックなクロールを目指そう
クロールというスタイルは競技においては最もスピードのある泳法ですが、最もリラックスできて楽に泳げる泳法でもあります。
その最大の理由は水の受ける抵抗を最小限にできる泳ぎ方だからです。
言い換えればゆっくりと泳げるクロールをマスターすればより上手により速く泳げるようになる最大の近道であることを理解して欲しいと思います。
そのために一定の距離を泳ぐ場合に少ないストローク数で泳ぎ体力の消耗を減らし、さらに抵抗を最大限少なくすれば最高のハイブリッドクロールが完成することとなります。
そしてその二つを合体できれば最速のスピードを得ることができます。
基本は肩甲骨を上手く使い、出来るだけ1ストロークの推進力効果を高めさらに抵抗を減らす泳ぎ方をマスターしていきましょう。
4. まとめ
ここまでクロールを上手に泳いでいる人は肩甲骨がどういう動き方をするのか、そして上手に泳ぐためには肩甲骨をどのように使えば良いのかその使い方について詳しく解説してきました。
クロールで25m50mと泳げるようになると、より速く泳ぎたいという願望が優先しスピードアップの練習ばかりされているケースをよく見かけます。
クロールは25mなど短距離をパワーオンリーでガンガンせめていく泳ぎ方もある意味一つの考え方ですが、私はそんなクロールは求めたくありません。
私のようなシニアスイマーが高齢になってもゆっくりと優雅に泳ぐ姿に憧れます。そしていつでもそれなりもスピードも十分に兼ね添えている。そんなクロールを目指したいと思っています。
読者の皆さんもきっと私と同感ではないでしょうか・・・
クロールはサバイバルな泳ぎ方として最高の泳法だと思います。
危険が迫ってきた時、危険から逃れるためのハイスピード泳法であると同時に、遠い距離を安全に泳ぎ切るためのハイブリッドな泳法であり正にサバイバル泳法だと私は考えています。
そしてその二つの目的を満足させるには肩甲骨を上手に動かすことが最大の課題です。
肩甲骨を伸ばす動きは陸上でも十分に練習が可能です。陸上でも肩甲骨が上手に回転できるようにその使い方を工夫して柔らかい肩を身につけて欲しいと思います。
そして私のように肩こりのない柔軟な肩になり、クロールなど水泳がより上手に美しく理想な泳ぎに近づけられるよう願って、この記事は以上とさせていただきます。
最後までお付き合いをいただき、心から感謝しています。ありがとうございました。
なお、以下の記事はクロールの基本的な泳ぎ方を総論的にまとめた記事となっていますので是非ご一読いただけたら嬉しいです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。