クロールを優雅に左右呼吸で泳いでいるスイマーをたまに見かけますが、実に素晴らしいフォームで誰もが真似たいと思う泳ぎ方です。
最初に申し上げておきたいと思いますが、この左右呼吸のクロールは自己ベスト追求への絶対条件では無いと考えています。
すなわち、あくまでクロールの美しい理想的なフォームを作る上で、必要な練習バリエーションの一つと私は捉えています。
とはいえ、この左右呼吸ができるようになると、左右のバランスに優れたクロールが実現しますので練習としてはとても効果的です。
クロールが上手になるためにも、是非取り組んでみてください。
1. クロールの左右呼吸は憧れ!
私の場合は右利きなので右サイドで呼吸する方が楽にクロールを泳ぎます。でもクロールのフォーム修正にはこの左右呼吸練習をよくやりました。
この左右交互に呼吸をすると苦手なサイドの呼吸は苦しくとても違和感があります。
でもクロールは左右対称ではない泳ぎ方ですが、右ストロークと左ストロークではやはりパワーの差が顕著で左右のバランスが崩れタイムロスや見た目のぎこちなさが感じられるのも事実です。
ではここで左右交互に呼吸をしながらクロールを泳ぐ動画見ていただきイメージを掴んでいただきたいと思います。
動画を見ていただければわかるように、右で呼吸するストロークと左で呼吸するストロークに全く違和感がなく、いかにもスムーズに見た目とてもリラックスして泳いでいるのがわかります。
このどちらのサイドの呼吸もリラックスして泳げるのが理想ですがなかなかこの域に達するには練習が必要です。
私の通うプールでも左右交互呼吸を自分の泳ぎにしている人もいますが、これはとても少数集団です。きっと常に左右呼吸で練習しているのだと思います。
この左右呼吸を自分のスタイルにしている人はこのスタイルで自己ベストを持っているのでしょう。
でも大多数のクロールスイマーは片側呼吸で泳いでいます。
さて、ここで左右呼吸する趣旨はフォームの修正であったり、左右のバランスやタイミンなどのウィークポイントを持っている人にとってこの左右呼吸はとても意味のある練習バリエーションとなります。
従って貴方のクロールにより進化する技術の向上を目指しておられるのであれば是非この左右呼吸を練習バリエーションい入れていただいて欲しいと思います。
では現状のクロールでどのような指摘が考えるのか列挙しておきます。
・軸がブレるもしくは水中姿勢の左右バランスの問題
・呼吸のタイミンが良くない
・タイムが向上しない
このような問題点を抱えるスイマーにとって、現状を突破でする練習のバリエーションに是非左右呼吸を取り入れて欲しいと思います。
ところでクロールを初めて習う人やまだまだ水泳の経験の浅いスイマーにとって今のクロールは呼吸しやすいサイドで呼吸するのが一般的です。
とはいえ、最初から左右呼吸を教えるのも無理があります。この点を考えればやはり将来クロールの呼吸パターンをどうするかは本人次第と言えるでしょう。
2. 練習の手順と期待される効果のポイント
では早速、左右交互呼吸クロールの練習の手順について解説していきたいと思います。
まず左右呼吸クロールの泳ぎ方、この左右呼吸クロールに至る手順そして期待される効果や注意点を抑えておきましょう。
2-1. 左右呼吸クロールの泳ぎ方
次のストロークは得意サイドの呼吸、そして次のストロークはノーブレッシング、さらに次のストロークは呼吸サイドをスイッチします。
このストロークを繰り返すことが左右呼吸クロールの泳ぎ方となります。
まず最初のストロークでノーブレッシングとしましたがこれは理想型ですがまず最初のストロークをノーブレッシングにするのが私は大切だと考えています。
少し苦しいですが、最初のストロークから得意側の呼吸からスタートすると練習効果が低下すると考えています。
2-2. 練習の手順
次に練習の手順ですが、最初から左右交互呼吸をするよりも
まず第1段階として、不得手なサイドの呼吸をマスターしましょう。いつも右呼吸をしている人は左呼吸で25m泳げるように練習しましょう。
第2段階では左右交互ではなく、右呼吸から始めるなら複数呼吸、そして1ストロークノーブレッシング、それから右呼吸の同じ回数の左呼吸で泳ぎます。
そして最終段階として左右1回ずつの交互呼吸のクロールを練習しましょう。もちろん左右のスイッチには1ストロークのノーブレッシングを入れましょう。
呼吸に慣れてきたら苦手なサイドでもしっかりと腕を伸ばして最大限遠くの水をキャッチできるように肩甲骨を伸ばしていきましょう。
例えば、箸や歯ブラシを利き手ではない手を使うなどです。加えて逆サイドの手に意識して筋力を鍛えましょう。
2-3. 期待される効果
これは苦手サイドの呼吸に集中するために得意サイドのストロークを慎重に泳ぐからです。
そして不思議にも苦手サイドのストロークが理想型に近づきます。
心肺能力が向上が期待されます。呼吸が今までの得意サイドだけの呼吸ではどうしても楽をしようと泳ぎがどうしてもズサンといえば語弊がありますが、よりレベルの向上にブレーキがかかりますが、これを防ぐ狙いと効果が期待できます。
この左右呼吸の会得により、よりハイブリッドで楽でありながら、美しいフォームのダイナミックなクロールが実現できることでしょう。
2-4. 注意点
無理をして良いことは何もありません。
苦手なサイドで呼吸すること自体、大きなストレスと苦痛が伴います。決して無理をしないことだけは気をつけるようにしましょう。
それからどうしても苦手サイドにばかり意識が集中して得意サイドがおろそかになると言うのが問題です。
苦手サイドを上手くストロークするためにも得意サイドに意識を集中して基本に忠実に得意サイドの呼吸・ストロークを刻みましょう。
左右呼吸をマスターするには何と言っても苦手サイド呼吸のクロールで少しでも長く泳げるように練習しましょう。
得意サイド呼吸とのタイム差を比較するのを記録を残しておきましょう。
もし左右呼吸の方が速くなれば、左右呼吸が自身のクロールスタイルとなるかもしれません。
3. 左右呼吸で楽しいクロール!
左右交互の呼吸法によるクロールをマスターし、少しでも長い距離を泳げるようになるといろいろな面でメリットがあります。
まず、外海で泳ぐオープンスイムやトライアスロンのスイムなどに大きな武器になるでしょう。
安全面でのメリットさらには方向性に大きなメリットがあります。そう言う観点からこうした競技スイマーで交互呼吸を身につけている選手はかなり多い実態が物語っています。
そしてプールで楽しむ水泳愛好家も左右呼吸でクロールを泳ぐ人をたまに見かけます。でもまだまだ極一部のスイマーとなっています。
3-1. 左右呼吸はクロールの完成形?
苦手サイドの呼吸がよりスムーズな呼吸になってくるでしょうし、得意サイドの呼吸も今までの欠点が修正されてきます。
よってクロール全体のフォームが理想型に近くなってきます。
自分の目指すクロールが長時間のスイムであれ、タイムを競うスピードであれ自分のクロールフォームの完成に近くことでしょう。
その理想型が左右呼吸クロールかどうかは人それぞれ個人差があり、練習の歴史でありいろんな要素があります。従ってこの左右呼吸がクロールのフォームスタイルにとって理想型かどうかは疑問です。
それに競泳では自由形ですからフォームの制限制約はありません。
さて、この左右呼吸のクロールで面白い遊び感覚の練習を紹介したいと思います
3-2. 左右呼吸での遊び感覚練習
ここで少し、楽しみの観点からこの左右呼吸での遊び感覚の練習をご紹介しましょう。
3-2-1. 左右連続呼吸クロール
冒頭左右交互クロールの手順の中で基本的なところを解説しましたが左右交互の間に1ストロークのノーブレ(呼吸しない)を入れることを解説しました。
バランス感覚が必要ですが、とても楽しくて遊び感覚で泳ぐことができます。
でもさすがに疲れますから、ハイブリッドなクロールとはいえませんが遊び感覚でやってみてください。
3-2-2. ヘッドアップクロール
頭を上げた状態ですと下半身が沈みますがその沈みを強いキックとストロークの推進力でカバーし前進します。
当然ながらストロークの安定性には問題がありますがキック力、や腕力の筋トレにも効果が期待できます。
ジュニアのカリキュラムにはこのヘッドアップクロールが含まれており、25m、50mのヘッドアップクロールが要求されます。
3-2-3. 水球
このヘッドアップクロールを水球競技では重要なテクニックになっています。パスを受けたボールをこのヘッドアップクロールで保持してシュートタイミングを狙います。
ヘッドアップクロールに加え肘を高く空中で維持しボールを運んでいくわけです。
4. まとめ
ここまで左右呼吸によるクロールのメリットやこの練習の手順や期待される効果など、いろんな視点で検証を加えながら解説してきましたがお楽しみいただけたことを思います。
水泳の練習は元来楽しいものであるべきだと思います。
タイムが伸びない、少しも上手に泳げない、25mなら泳げるけれど50mは泳げないと暗い気持ちで泳ぐのはモチベーション維持の面からも問題があります。
練習の中に楽しみを感じながら日々泳ぐように心がけて欲しいと思います。
私は若い頃、クロールのタイムが伸びずにコーチから左右呼吸のクロールを泳がされたことがあります。
その時コーチから「お前は逆呼吸のストロークがすごく綺麗だぞ!もっと逆呼吸を練習しろ!」と言われたことがあります。
いつもの得意サイドの呼吸でクロールを泳いでいると、何かの原因で悪い癖がついたり、知らず知らずのうちに怠けて泳いでいてフォームやバランスを狂わせていることがあることを学びました。
どうぞ、クロールの現状打破にはこの左右呼吸クロールを泳いで修正作業をしてみてください。
本文中の注意点でも述べましが、疲れるまで頑張る必要はありません。そんな練習こそ楽しみを奪う原因です。
少しでも練習に楽しみを見つけて頑張って泳ぎましょう。と言うことでこの記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝申し上げます。
なお以下の記事はクロールの基本的な解説書的記事となっていますのでご一読いただけたら嬉しいです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。