クロールにおけるストローク中、手の軌跡は「S字カーブを描く!」とか
「真っ直ぐI字カーブを描く!」また「C字!」などといろいろな議論があります。
でもいろんな解説書をチェックしても結局のところ、あまりよくわかりませんよね!
そしてストロークの本来のポイントを解説していきたいと思います。
「S字」「I字」などはスイマーの感覚、プールサイドで見ている人とに大きなギャップがあること、さらに50mなどの短距離のクロールと400m以上の中長距離のクロールとはまた全く違った感覚があることにも触れてまいります。
1. クロールのポイントはS字ストローク?
クロールのストロークで手の軌跡のカーブがS字というのはどういう意味なのでしょうか?
私は現実問題このS字ストロークを意識したことなど一度もありません。意識はより遠くの水をキャッチすることに集中しています。
1-1. スイマーと見ている人との感覚のズレ
特にストロークに注目して見た時、きっとS字カーブに見えるでことしょう。
もし、私がローリングを極力避けてスピードを上げて泳いだ時、どう見えるでしょう。それは真っ直ぐなI字を描いているはずです。
私はどんな場面でもクロールは水をキャッチしてフニッシュまで真っ直ぐにプル・プッシュ・フィニッシュそしてリカバリーとストロークを刻んでいます。
この私のストロークが泳ぎ方が少し変わることで第三者の目にはS字もI字にも見えるのです。
このプールサイドから見えるカーブと実際に泳いでいる人の感覚とに大きな差があることをまず知って欲しいと思います。
私が運営するこのサイトを通じて水泳経験の浅い初心者やシニアや女性の水泳愛好家に水泳の楽しさを伝えていきたいと願っています。
その中で、スイマーが自分の目で見える状況と自分が泳いだ時の状況に大きな差があることをこの記事で理解していただけたら大きな喜びと感じています。
是非、この点を理解して欲しいと思います。
この記事に限らず、スイマーとしてイメージ的な側面での泳ぎ方を詳しく解説していますのでどうぞそんな感覚で読んでいただけたら嬉しいです。
ところでストロークはどうすれば良いのか?ということになります。
1-2. ストロークのポイント
ではクロールの場合、ストロークのポイントはどこにあるのでしょうか?
手漕ぎボートでオールを漕ぐことをイメージしてみましょう。どのように漕ぎますか?
・疲れてきた時でもキャッチだけは失敗しないようにオールを入水させる、あとは流す。
この感覚がクロールのストロークと全く同じだと思います。
そんな中でストローク曲線がS字だろうがI字だろうがさほど大きな問題ではないというのが私の考え方です。
私がよく話す例えなのですが、床にある水の入ったバケツを頭上に上げる時、腕の軌跡はどんな軌跡を描きますか?
身体の遠くではなく身体の近いところを肘を高くして頭上まで上げると思います。この逆がクロールだとイメージしてください。
従ってクロールの軌跡で考えるべきはカーブではなく身体からの距離がポイントです。
どの程度肘を曲げて身体に近づけるか、練習によってご自身のベストポジションを探るようにしましょう。
このストロークについては次の記事に詳しく解説していますのでご一読いただけたらより理解が深まります。
2. 上手くなるための正しい理解を
クロールのストロークにおけるポイントであるとよく言われるS字カーブによる描く手の動きについての検証を前章で述べました。
この手の軌跡についてはいろいろ諸説があると思いますが、現実にはそれぞれスイマーによって考え方があるように思います。
2-1. 入水直後のキャッチ
このキャッチが上手くいかなければストロークで効果的な推進力を得ることができません。それは前章でも述べました手漕ぎボートのオールのキャッチと全く同じです。
従ってキャッチ後の手の軌跡がS字であれI字であれそれは大きなポイントとはならないと思います。
上級者はこのストロークが開始されるキャッチにおける手の動きが実に巧みなのです。手首を上手に使って水をキャッチしているのです。
2-2. ストロークの距離
従ってキャッチからフィニッシュまでの距離が出来るだけ長い方が良いはずです。
従って、フィニッシュを早めに切り上げてリカバリーするのはNG、少しでも距離を長くするためにS字カーブを描くと言うのが考えられるストロークであるわけです。
この場合、最後のフィニッシュまでかき切るより、推進力を高めることができるかもしれません。
この両者の考え方についてはクロールを泳ぐ目的(長い距離を泳ぐのかスピード追求なのか)によって個人の想いも大きな要素だと思います。
またS字カーブによって水中に渦ができ大きな揚力が生まれるといった研究報告もあります。
2-3. ストロークの正しい理解
ストロークにおける大切なポイントは手の軌跡がS字だとかI字だとか言った議論とは違うのではないか!と言うのが私の考え方です。
その上で、各スイマー自身のオリジナリティーがあるのだと思います。
3. クロールが上手になるストロークのポイント
ではクロールが上手になるストロークのポイントをここで解説していきたいと思います。
片方の腕がストローク中、もう一方の腕はリカバリー中であったり入水直後であったりだと思います。そしてストロークの終盤プッシュからフィニッシュに達したタイミングでもう一方の腕はキャッチのタイミングを迎えつつあります。
この時の意識はストロークのフィニッシュにあるのか、キャッチングポイントにあるのか議論のあるところです。
最後までしっかりとフィニッシュをしなさいと指導する人もいれば、しっかりと遠くの水をキャッチしなさいと指導する人もいるかと思いますが、私の考え方は後者です。
3-1. 上手になるための4つのポイント
・より遠くの水を捉える
・キャッチングにおける手首の使い方
・自然なローリング
この4つポイントをクロール上達のために、提案したいと思います。
詳しくは次の記事をご覧いただければより理解が深まると思いますのでこの記事では省略します。
3-2. 目指す目標をイメージする
私が考える上手なクロールとは決してスピードのあるクロールとは少し違います。疲れないハイブリッドな省エネタイプのクロールです。
筋力のあるスイマーはガンガン回転数を上げてスピードを出すことができますが、疲労も当然ながら蓄積されます。
水泳における筋肉パワーは推進力を生み出す効果と同時に大きな水の抵抗も生み出してしまいます。従ってパワーがなくなれば減速となり長時間定速度で泳ぐことが難しくなります。
やはり長い距離、長い時間を泳ぐことのできるクロールこそ理想的な上手なクロールだと考えます。
その上でいかにスピードアップするかが競技を目指すアスリートのテーマではないでしょうか・・・
まず初心者の段階では上手に泳ぐために先に述べた4つのポイントを身につけて正しいクロールのストロークを身につけたいものです。
どうぞ、目指すべき目標を各人がイメージして楽しく練習しましょう。
4. まとめ
クロールのストロークにおける手の軌跡にスポットを当ててストロークのポイントがS字軌跡にあるのかどうか検証し、クロールが上手になるポイントを解説してきました。
いかがだったでしょうか?
もちろん多くの反論があるかもしれません。でも一理あるな!と感じてもらえたら私のこの記事の趣旨が理解してもらえたのだと思っています。
水泳は私の水泳人生の中でも大きな技術的進化を遂げてきました。
その過程においてルールも考え方も指導法も少しずつ変遷をしてきました。
そんな中で変わらない原則テーマは、パワーと推進力そして水の抵抗をいかに克服するかです。
還暦を迎え、さらに古希、喜寿、傘寿、米寿と長生きと併せていつも綺麗なクロールでゆったりと優雅に15分30分と泳いでいられたら最高だと思います。
そんな中で競技会を目標に頑張るクロールもあって良いと思います。
この記事ではクロールの大切なストロークのポイントは決してS字カーブと言うようなマクロ的なテクニック以前にもっと大切なポイントがありますよ!と言う内容で述べさせていただきました。
どうぞこれからも水泳をこよなく愛し、いつまでも若々しく水泳と共に健康で元気で過ごしていけたら最高の喜びです。
と言うことでこの記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき、心から感謝しております。ありがとうございました。
なお、以下の記事はクロールのテクニックをまとめた内容となっていますのでご一読いただけたら嬉しいです。
けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。