【クロールのサイドキックドリル】練習目的、期待される効果と注意点

クロールの練習バリエーションにあるサイドキック、この練習は自然なローリングと大きなストロークでダイナミックに泳ぐ練習であると同時にスピードアップにもとても効果的な練習です。

この記事ではクロールのサイドキックに注目してこの練習バリエーションの目的と効果について詳しく解説していきます。クロールの新たな感覚が身につき格段の上達が見込めるドリルです。

どうぞサイドキックのテクニックを身につけ、より上手によりダイナミックにクロールが泳げるようになりましょう。

ただ注意する点としてはサイドキックを主体にしたローリングが強くなると軸がブレたり、大きな抵抗を生む悪影響も考えられます。

従って、練習の後には必ずコンビネーションスイムでフォームチェックをやるようにしましょう。

いしはら
こんにちは!

けんこう水泳運営者の石原(@T.ishihara)です。

1. クロールのサイドキックドリル

サイドキック

サイドキック

クロールのサイドキック練習!

バタ足キックはよくやるオーソドックスな練習メニューですが、この練習バリエーションを行っている光景はあまりみたことがないかもしれません。

少しクロールが上達してくるとローリングを上手に使いましょう。というのがコーチなど指導者からのアドバイスだと思います。

そのローリングを上手に取り入れるために、このサイドキックを練習するのが一般的です。

このドリルにはビート板を使って片腕ずつ、またビート板を使わずに練習するなどのパターンがありますので読者の皆さんもご存知かとは思います。

今一度このサイドキックについて改めて検証していきましょう。

まず次の動画でサイドキックをご覧いただいて、模範的なサイドキックで泳ぐイメージを持っていただきたいと思います。

以上のようにサイドキックで左右交互に美しいフォームで泳いでいる姿をご覧いただけたかと思います。左右ともに完全に横を向いていますね。

実際のスイムでは、これだけ身体を開いてクロールを泳ぐことはありません。でも自然なローリング中にも効果的なキックを打っています。

ある意味、バタ足練習のように真下にキックを蹴り下げ・蹴り上げを行うキックはクロールでは少ないのかもしれません。

またキックは身体が下を向いている時もローリング中も効果的なキックを打つ必要があり、このサイドキック練習の意味があると言えるでしょう。

右サイド、左サイドと開く方向に得て不得手があり、また同時に呼吸するタイミングも関係してきます。

このサイドキック練習で左右の得て不得手を無くし、どちら側でもスムースに呼吸ができまた効果的なキックが打てるというのが理想型となります。

そしてこのサイドキックの練習により、左右交互のストロークにおいて変わらない軸、そしてブレない軸を維持することで抵抗の少ないクロールが実現されます。

これからの練習ドリルには是非このサイドキックバリエーションも取り入れられるようおすすめします。

2. 練習目的、期待される効果と注意点

ではこのサイドキックを練習するときに本来この練習が意図する練習目的、期待される効果そして注意点について詳しく解説していきたいと思います。

この記事はクロール初心者であったり、シニアスイマーなど経験の少ないスイマーを対象にまとめていきますので選手の皆さんには言わずもがなでありますが、基本に立ち返る意味でお読みいただけたら嬉しいです。

まずこのサイドキックの目的からです。

2-1. 練習の目的

サイドキック練習の目的はスムーズで自然なローリングというのが一般的セオリーだとは思いますが、あえて私はそうは言いたくありません。

2-1-1. 究極の目的

ポイント
私が目的とするのはたった一つ、より遠くの水をキャッチするために手をより遠くに届ける事を目的としています。

これが私流のサイドキックの究極の目的です。従ってビート板を使って練習する場合はより遠くへビート板を伸ばすのが目的です。

ビート板を使わなければ伸ばしている手の中指が一番遠くに届けるのが究極の目的です。

もちろんキックも大切ですが意識の中では遠くの水をキャッチするためにはどんなキックが効果的なのかを考えてキックをうつく事を考えて練習をして欲しいと思います。

したがって、真横にキックを打つ必要はありません。キックは真下に蹴っても一向に構いません。

真下にキックするイメージで伸ばした手が最も遠い水をキャッチする意識があれば、ごく自然なサイドキックになります。

練習するスイマーの泳力によって当然スタイルも違って当然です。でも真横に打つキックと思い込むのは止めておきましょう。

2-1-2. 練習バリエーション

・ビート板を使いビート板に腕を乗せていく感覚です。

・ビート板は多いタイプからプルブイ兼用の小さなビート板と違うタイプを使っても練習してみましょう。

・ビート板を使わずにサイドキックをやってみましょう。この場合息継ぎが上手くいくように練習しましょう。普段息継ぎをしないサイドも息継ぎをやってみましょう。

・キックは2ビート、4ビートです。6ビートはサイドキックでは不要というのが私の考え方です。

・強くて深いキック、浅いキックと違ったタイプのキック練習もやってみましょう。

・練習が終われば必ずコンビネーションクロールで練習のイメージを忘れないように泳ぎましょう。

2-2. 期待される効果

効果としては目的とダブルと思われるかもしれませんが、ここで述べる期待される効果とはもちろんより遠くの水を捉えることができるのが最大の効果ではありますがここで言いたいことはまた違った波及効果を解説したいと思います。

ポイント
1番の効果は肩甲骨を前に出せるようになることです。目的が理解されれば自ずと肩甲骨が前にでます。言い換えれば肩甲骨の長さだけ腕のリーチが伸びる効果があります。

そして全身の姿勢がよくなりクロール最大のメリットです。

ポイント
2番目の効果としては完全に横を向くことがなく推進力が失われない。

この効果はサイドキック練習がローリング目的ではないことの現れです。スピードにつながる推進力を維持する効果が期待できると思います。

ポイント
最後の波及効果は省エネハイブリッドなクロールが実現するということです。すなわち疲れないクロールが身につき特にシニアにはとても効果的な有酸素運動クロールが実現します。

2-3. 注意すべきポイント

では練習する時点で注意すべきポイントは意識の問題!

より遠くの水をキャッチするという意識は常に持っておきましょう。そして伸びた指の先から足先までの軸はブレないこと、下半身が沈まないのは言うまでもないことです。

ポイント
それから頭の位置ですが、伸ばした腕に頭を預けるような感覚です。こうすることで腕は伸びやすくなり、疲れません。

3. より大きく優雅に、よりダイナミックに

サイドキックのイメージ、手順やその目的、期待される効果について解説をしてきましたが出来るだけ遠くの水をキャッチする事を私は究極の目的であると述べました。

その理由はより上手なクロールを目指すためです。上手にクロールが泳げれば、当然ながらスピードアップも容易です。クロールを練習していてもなかなか速く泳げないスイマーの欠点を修正することが可能です。

その速く泳げない欠点とは水の抵抗に対して常に対抗しているため、水の抵抗を最小にする修正が行われず、パワーで対抗する選択肢のみで泳いでいるからです。

このサイドキックの練習を通して水の抵抗を最小にする水中姿勢とパワーとはまた違った身体を伸ばすことで減速を抑えながら推進力を得る効果を体感して欲しいと思います。

この効果をイメージ的に表現すれば以下のような3つのイメージでサイドキックを試してみてその感覚を身につけクロールの上達に活かしてください。そうすればより上手に、そしてよりダイナミックなクロールが身につくことでしょう。

3-1. ロープで引っ張ってもらっている感覚

ポイント
まずボートから伸びたロープを片腕ずつ交互に引っ張ってもらっている感覚をイメージしてください。伸びた手は最大限伸びているはずです。

そして頭の位置、体幹、足のキックも引っ張ってもらっている推進力の邪魔をしない最も効果的なスタイルが身についてきます。

このイメージを持っていただいてサイドキックを試してみてください。

練習後のコンビネーションスイムでその効果が生きてくるでしょう。

3-2. ボルダリングでホールドをよじ登る感覚

次にボルダリングをしているイメージを持って泳いでみましょう。

ボルダリングとは手の届く最も遠いホールドを探しとると思います。自分の腕のリーチ内にあるホールドを使っていてはなかなか上手にはなりません。

ポイント
少しでも遠くのホールドをキャッチしてそのホールドに全体重を乗せて上え登っていかなければなりません。

このイメージをサイドキックに活かしていくのです。ビート板を使わずにサイドキック練習をする時には是非このイメージを思い出していただきたいです。

前に出す腕が交代する場合、水中を移動する時にしっかりと水をキャッチして水を捉えながら腕が動くのを体感できると思います。

サイドキックで腕を伸ばしている時には手首より先で水のキャッチングポイントを探しているイメージが湧いてきます。

単に手のひらを預けている感覚よりさらに進化するはずです。

3-3. より遠くの水をキャッチする意識

ポイント
全体的なイメージとしてはより遠くのキャッチするイメージを常に忘れないようにこのサイドキックで練習して欲しいと思います。

こうしたイメージの練習により、肩甲骨がより前に移動し、水中姿勢が伸び、軸もブレないと言う効果が維持できるはずです。何と言ってもクロールはダイナミックに泳ぐのが秘訣です。

常に大きなストロークでダイナミックに泳ぐ練習をしているスイマーが、ラストスパートで無酸素運動としてのノーブレッシングで回転数マックスでスパートすれば誰にも負けないスピードの推進力を得ることができるでしょう。

すなわちより上手によりダイナミックにを念頭にサイドキックの練習も是非取り入れてください。

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4. まとめ

以上、サイドキックと言うあまり一般的ではない練習バリエーションに焦点を絞ってその目的や効果そしてその手順について主にイメージ的な考え方を中心に解説してきました。

もちろん指導者について練習しておられるスイマーにとっては全く違った考え方であったかもしれません。でもこう言う考え方もあるんだと知っていただければきっと役に立つここと思います。

また貴方がクロールがなかなか上手にならないと悩んでいるスイマーであれば是非このサイドキックを試してみてまた違ったクロークの感覚を体感していだければ上達のヒントとなりことでしょう。

終わりに

最後にサイドキックはローリングを主眼においたバリエーションドリルであり、真下だけでなく横向きな状態でのキックを練習するためのものとの固定した考え方ではなく、より遠くの水をキャッチする究極の目的がある。

こんな考え方をする指導者もいるんだと知っていただくことが私のこの記事の趣旨であります。

どうぞ、日頃の練習ドリルでは無いかもしれませんが、ウオーミングアップやクールダウンにでもトライしてみてその泳いでみた感触を味ってもられえれば嬉しいです。

クロールはパワーだけのスタイルではありません。のんびりとゆったり、優雅に水面を滑るように泳ぐクロールを是非身につけられ、泳ぎの幅を広げていただければ幸いです。

この記事は以上とさせていただきます。最後までお付き合いをいただき心から感謝しています。ありがとうございました。

 

なお、以下の記事はクロール全般の教科書的な記事ですのでまたご一読いただければ嬉しいです。

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2021.01.25